F16戦闘機
【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(8月28日の動き) NHK 2024年8月28日 18時41分
ゼレンスキー大統領 欧米側供与のF16戦闘機投入 明らかに
ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアのミサイルなどを迎撃する任務に欧米側から供与されたF16戦闘機を投入したと明らかにしたうえで、さらなる供与が必要だと訴えました。
ロシア軍は26日から27日にかけて多数のミサイルや無人機を使った大規模な攻撃を相次いで仕掛け、28日もウクライナの電力会社が首都キーウで緊急停電の実施を発表するなど市民生活への影響が続いています。
ウクライナのゼレンスキー大統領は27日、記者会見で「F16は成果をあげている。今回の大規模攻撃の際、ミサイルや無人機をF16で撃墜した」と述べ、今月4日、ウクライナへの到着を公表したF16戦闘機をすでに防空任務に投入したと明らかにしました。
そのうえで「まだ十分な数ではない」として欧米側からのさらなる供与が必要だと訴えました。
こうした中、ウクライナと国境を接するロシア南部ロストフ州の知事は28日、無人機による攻撃を受けて、燃料貯蔵施設で火災が発生したと明らかにしました。
ロストフ州では今月18日も無人機による攻撃で石油貯蔵施設で火災が発生し、ウクライナ側からの攻撃が相次いでいます。
一方、アメリカのシンクタンク「戦争研究所」は27日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝ポクロウシクに向かうロシア軍について「このところ進むペースが比較的速くなっている」と指摘し、ロシア側がウクライナ東部で攻勢を強めていると分析しています。
IAEA事務局長 “クルスク原発はぜい弱” 攻撃しないよう訴え
IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長は、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州にある原子力発電所を視察し、砲撃などの攻撃にぜい弱な状態だとして重大な事故を防ぐために、原発を攻撃の対象にしないよう訴えました。
ウクライナ軍が越境攻撃を続ける、ロシア西部のクルスク州のクルチャトフには、クルスク原発があり、ロイター通信によりますと、戦闘が行われている場所からおよそ40キロ離れているということです。
プーチン大統領は8月22日、ウクライナ軍がこの原発を攻撃しようとしたと主張し、IAEAに通報したことを明らかにしました。
これを受けて、IAEAのグロッシ事務局長は状況を確認するため、27日、現地を訪れ、およそ4時間かけて原発を視察しました。
視察のあと取材に応じたグロッシ事務局長は、原発は通常どおり稼働していることを確認したと明らかにしました。
一方で、原発には衝撃から守る構造物がないと指摘し「砲撃や無人機、あるいはミサイルの衝撃に対し非常にぜい弱だ。このような原発が前線に近い場所にあるのは、非常に深刻だ」と述べ、懸念を示しました。
そして「原発はどのようなことがあっても攻撃してはならない」と述べ、重大な事故を防ぐために原発を攻撃の対象にしないよう訴えました。
インド モディ首相 プーチン大統領と電話会談 和平交渉を促す
インドのモディ首相は、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行って、ウクライナ情勢について意見を交わし、戦闘の終結が見通せないなか、和平交渉を促しました。
両首脳は27日、電話会談を行いインド政府の発表によりますと、モディ首相は、ロシアが侵攻を続けるウクライナ情勢について平和的な解決に向けて、対話と外交が重要だと改めて強調したということです。
その上で、ロシアとウクライナを含む関係国が、誠実かつ実務的に関与することが必要だとして、支援していく考えを示しました。
モディ首相は8月23日、ロシアによる軍事侵攻後、初めてウクライナを訪問して、ゼレンスキー大統領と会談を行い同様に和平交渉を促しています。
一方、ロシア大統領府によりますと、今回の電話会談でプーチン大統領は紛争解決の方法について、ロシア側の立場を説明したということです。
プーチン政権は、ロシア西部クルスク州へのウクライナ軍の越境攻撃を受けて、ウクライナ側と和平について話し合うつもりはないという意向を繰り返し表明していて、戦闘の終結は見通せない状況です。
ロシア西部 州知事 ウクライナ軍の侵入警戒呼びかけ
ウクライナに隣接するロシア西部のベルゴロド州のグラトコフ知事は27日、SNSに「敵が国境を突破しようとしているという情報が入った」と投稿し、ウクライナ軍が州内に侵入しようとしているとして警戒を呼びかけました。
その上で「ロシア国防省によると、国境の状況は厳しいままだが、統制はとれている」としています。
一方、グラトコフ知事は州内にウクライナ軍の無人機による攻撃があったとも投稿し、商業施設や住宅などで火災が発生するなどの被害が出たとしています。
“ウクライナ東部では難しい防衛戦”
ウクライナのゼレンスキー大統領は首都キーウで開かれた記者会見で、ウクライナで製造した弾道ミサイルの実験に初めて成功したほか、欧米から供与されたF16戦闘機の運用がすでに始まり、ロシア軍のミサイルなどを破壊したと述べました。
また、シルスキー総司令官もビデオ通話で参加し、ロシア西部クルスク州への越境攻撃で、これまでに1294平方キロメートルの地域と100の集落を掌握し、ロシア軍兵士594人を捕虜にしたとしています。
一方で「ポクロウシクの戦線の状況はかなり厳しい。敵は人員や兵器で優位に立ち、大砲や航空戦力を積極的に使ってくる」と述べ、ウクライナ東部では難しい防衛戦が続いているという認識を示しました。
ゼレンスキー大統領 軍事侵攻終わらせるための計画 米に提示へ
ゼレンスキー大統領は、ロシアの軍事侵攻を終わらせるための計画を9月、アメリカのバイデン大統領に提示すると明らかにしました。
ロシア西部への越境攻撃も計画の一部だとしていて「ウクライナにとって公平な条件で戦争を終わらせたい」と強調しています。
ゼレンスキー大統領は27日、首都キーウで開かれた記者会見でロシアの軍事侵攻を終わらせるための計画があると明らかにしました。
8月上旬から始めたロシア西部のクルスク州への越境攻撃も計画の一部だとした上で、ウクライナの安全保障を確立する戦略やロシアに外交的な圧力をかけることなどが盛り込まれているとしています。
そして、9月、アメリカを訪問し、この計画をバイデン大統領に提示するほか、大統領選挙に立候補している民主党のハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領にも伝えるとしています。
そのうえで「計画の要点は、ロシアに戦争をやめさせることだ。ウクライナにとって公平な条件で戦争を終わらせたい」と強調しています。