ほぼ週二 横浜の山の中通信

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消費税の軽減税率は規制緩和や行政の簡素化に逆行

2014年12月05日 | 国際・政治

公明党は、消費税が10%になった時、軽減税率を実施すると言っています。ヨーロッパでは、日本の消費税に相当するVAT(付加価値税)の税率は、ほとんどの国において20%前後で、生活必需品や新聞・雑誌などには軽減税率を適用しています。下表では、新聞・雑誌と食料品だけを掲載しています。軽減税率はもっと多くの項目に適用されています。

 

ヨーロッパ主要国のVAT(付加価値税)

EU日本代表部http://eumag.jp/question/f1012/ と

日本の財務省のVAT(付加価値税)のページ

http://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/108.htm

から作成。元の表には軽減税率と適用される物品の詳細が載っているが、ここでは省略。

 

軽減税率の問題は、生活必需品とそうでない物との境界が恣意的で、その決定に利権が入り込む余地が大きく、政治が絡むことが大いに予想されます。

例えば、書籍と言っても、学生の参考書から、数万円もする豪華本もあるし、アダルト本もあって、軽減税率にするにしても税率が同じではおかしいし、税率を変えるにしてもその境界の線引きはケースバイケースになるので、結局誰かが恣意的に決めることになる。それは、役所?業界団体? これって、行政の簡素化や規制緩和に逆行しているのでは。結局、同じ標準税率が一番公平では?

それに、新聞・雑誌への軽減税率の適用は、新聞・雑誌を抑えるには効果的では? そこで、ヨーロッパでの新聞・雑誌への圧力の実情を知りたいところですが、何かのキッカケが無いと出てこないでしょう。

また軽減税率を適用すると消費税収入全体が減少し、それを補うために結局消費税の標準税率をまた上げなければならなくなる。

 

EU日本代表部のページには、VATの現状として、

・軽減税率を適用する根拠が明確でない場合があり、業種間で不公平感がある

・ひとつの商品(サービス)に、軽減税率と標準税率のものが混在

・国毎に税率が異なり、EU域内での国を越えた取引で有利不利がある

・VATの目的であった「中立性」と「簡素性」が揺らいでいる

の問題をあげ、改革の必要性を言っています。

確かに、これでは「中立性」と「簡素性」は感じられません。

 

全て標準税率にする代わりに、低所得者に何万円かを給付するという案もありますが、これが良いかどうか?悩むところです。

いずれにしても、1000兆円(1億2000万人の人口で割ると、一人当たり833万円)を超えた借金を減らそうとすると、生半可なことでは不可能です。

2014.12.05


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