ほぼ週二 横浜の山の中通信

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電車内でテロが起きた場合の対応について

2022年02月05日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

今回は前に書いたブログ(下記2件)では書ききれなかったことの続きを書きます。

2021年11月1日の「ドジな鉄道会社と司法試験不合格と羅生門跡

2021年11月4日の「再び、ドジで何も考えていない鉄道会社

 

アホなTV局には危機対応の話なんて出来っこない!

 

昼のTV番組で、先日の京王で起きた事件の類似事件が起きた時の対応を話していたが、あまりに現実離れした話をしていたので呆れてしまった。だいたい、気動車(ディーゼルカー)を見て、「電車!」と言っているようなTVに、鉄道での危機対応という難しい話など出来るわけが無い。

 

まあ、かわいい女の子が「電車!」というのはギリギリ許すけど、いい年をしたおっさんが「電車!」と言うのは絶対許せない。

 

事件の概要

 

もうほとんどの人が忘れていると思うので、まず事件のあらすじから。

2021年10月31日夜、京王線(この部分はトンネル)を走行中の特急電車内で、若い男がナイフで乗客に切りつけて傷を負わせ、車内に放火する事件を起こした。電車は駅(地下駅)に停車したが、電車のドアがホームドアとズレていたので車掌がドアを開けなかった。それで一部の乗客は窓を開けてホームドアを乗り越えてホームに脱出した。

 

乗客が車内に設置された非常通報装置を作動させたけど、乗客はその場を離れたので、車掌は乗客から話を聞けなかった。また、車掌は運転指令と電話で話していたが、車掌も状況を的確につかんでいなかったので、運転指令からの指示は出なかったようです。

 

NHKではこの事件の特集をやっていたが、どこまで本当のことなのか、判断がつきかねる項目もあった。例えば、非常通報装置を押せば車掌や運転士と話せると言っていたが、運転士は非常通報装置が押されたことを知っていたのだろうか? 乗客が運転室の窓を叩いて運転士に「止めろ!」と叫んだと言っていたが、これが本当なら運転士は非常通報装置が操作されたことを知らないことになる。仮に知っていたとしても、運転していたので、どうしようも無かったかもしれない。

 

結果として、運転士は電車を駅間(この辺りはトンネル)で止めずに、駅まで運転して止めたのは良かった。

 

私のこの事件に対する印象は、鉄道会社はこういう事件が起きた時の対応マニュアルを持っていなかったのか、持っていたとしても現実離れした杜撰なマニュアルだったのでは?ということ。

 

電車内のテロの初期対応は乗客がすることになる

 

この事件の報道を見たり聞いたりして感じたことは、乗務員だけでは対応が出来ないこと。一部の路線では、既に運転士だけで車掌のいない電車も走っている。将来は無人運転の可能性もある。そうすると、電車内でテロが起きた時、いかに逃げるかも含めて初期対応は乗客がやらざるをえない。

 

じゃあ、乗客が車内の非常装置を知っているかどうかは非常に心細い。非常装置の詳細を広く知らせると、テロ犯もそれらの対応を考えるという人も居るかもしれないけど、じゃあ、乗客はどうすれば良いの? 私は非常装置の使い方をもっと乗客に知らせるべきだと思う。

 

この事件の問題の一つは、乗務員に事件が正しく伝わらなかったこと。もっとも、正しく伝わったとしても、車掌は何もできなかったと思う。運転士に連絡して最寄りの駅に停車し、警察と消防に連絡することくらいか。下手に車内アナウンスすると犯人を刺激するかもしれない。

 

非常通報装置の疑問

 

そもそも、京王の非常通報装置がどうなっているのか、乗客は知っていたのかな? 知っていたのなら、非常通報装置を押しただけでその場を離れなかったと思う。

 

① 非常通報装置は車掌と話せるだけ? 運転士や運転指令は会話を聞ける? 

 

既に書いているが、非常通報装置を押すと車掌と話すことはできるのは分かったが、運転士はその会話を聞けるのかな? 運転士が事情も分からず、トンネル内で急停車すると余計に被害を大きくする可能性もある。それに、何か起きても駅まで走ることを周知していないと乗客との間で齟齬が生じる。

 

乗客が車掌と話ができたとしても、その乗客が事態をどれだけ正確に把握しているか、わからない。例えば隣の車両から、乗客がどうっと逃げて来たので、非常通報装置を押したけど、その乗客は現場を見ていないので何が起きたか説明できない。それに複数個所から非常通報装置が押されたら、優先順位はどうなる? 早い者勝ちかな。

 

②非常時に、乗客の安全を考えて電車を止めるには、どうする?

 

車内でテロが起きた時、電車を安全に止めるにはどうすればよいのかな? トンネルの中だろうと、鉄橋の上だろうと、何も考えずにどこでも直ぐに止めるのはアホ。より安全な場所に止めるよう努力するべきです。特に、地下部を走る電車ではトンネル内で停止するのはリスクが大きいので、最寄りの駅まで動かすべきです。

 

それより大きな問題は、電車を止める時に誰が決定するのかわからないこと。非常通報装置を受けた車掌なのか、それとも車掌から連絡を受けた運転士なのか、それとも車掌から連絡を受けた運転指令が運転士に連絡するのか? 現在のシステムがどのようになっているのか、わからない。だいたい非常時に連絡を取り合っている時間があるのか?

 

それに、非常通報装置が押された時のJRや私鉄各社の対応がバラバラだったら、乗客は混乱する。

 

非常用ドアコック

 

非常用ドアコックは、これを操作すればドアは手で開くという装置。京王の事件で非常用ドアコックを開けた人はいるらしい。疑問は、電車が走行中でも手でドアは開くのか? 開きそうだな。危険だけど。

 

鉄道会社は、乗客が車掌に連絡せずに非常用ドアコックを操作し、ドアを開けるのは想定していなかったというけど、非常時には乗客だって非常用ドアコックを操作するだろ。いちいち、車掌と話すか。本当に杜撰!

 

今後の類似事件への対応が心細い

 

類似事件は今後に起きると予想されるけど、今回の事件への電鉄会社の対応を見ていると、不信感が湧いてくる。こういう非常時には、車掌や運転士だけでは対応できないのは自明だし、いちいち乗務員に連絡してからその指示を待っているなんて出来っこない。乗客もただ犯人から逃げるのではなく、避難経路を作ったり、弱者の避難を手伝ったり、犯人が迫ってくるのを防いだり、火の手を消したり、など好まざることをやらざるを得ない。そうすると素人がギリギリの判断をすることになる。

 

しかし、乗客は電車の構造や電車からの避難に関する知識はほとんど無い。どうすりゃ良いんだ。

 

非常設備は各社共通にするべき

 

JRと私鉄、私鉄から私鉄に乗り換えた時に、「この会社は非常通報装置がここに有って、監視カメラは付いていないので、非常通報装置を押したら、車掌に説明しなきゃならないな」とか、「非常通報装置は向うに有るので走っていかなきゃ。監視カメラは付いているので、通報するだけで良いな」とか、乗客が判断することにしないでほしい。というか、それは無理。だから、非常時に使用する装置(例えば非常通報装置や監視カメラ)とその使用方法は各社共通にするべきです。

 

非常通報装置だけでは無理、やはりカメラ

 

京王の事件の時、乗客と非常通報装置で話せるのは車掌だけなのか、運転士もその話を聞けるのか、ハッキリしない。メディアによって報道内容が違う。運転士が非常通報装置による乗客との対話が聞けないのなら、車内で何が起きているのかは把握できないことになる。運転士は運転に専念する必要があるかもしれないけど、車内で何が起きているか、乗客と車掌の話が傍受できるようにするべきです。

 

それに監視カメラは必要です。いずれ運転士だけの運転になった時に、別の場所にいる運転指令が監視カメラ映像を見て判断し、運転士に連絡することになるのだろうな。犯人が監視カメラを破壊する可能性もあるけど、やらないよりまし。

 

非常通報装置が作動したら、付近の電車は止めるべき

 

多分、これは既に行われているのかもしれない。非常通報装置が作動したら、付近を走行中の電車を止めるべきです。もし、電車内で異常事態が起きたら、先頭の電車の連結部を降りて逃げろなんて言わずに、ドアを開けて線路上に逃げられるようにするべきです。線路に降りると危ないとか言うけど、それより危険なことが車内で起きたら仕方ないじゃないか。

 

ただし、第三軌条方式の地下鉄や新交通システムなどは、地上に高電圧線が通っているので、この電源も切る必要がある。

 

JR東日本は何を考えているのか?

 

JR東日本は、将来山手線などの電車を車掌無しの運転士だけで運行すると、先日の記者会見で発表した。JRは正気だったのかな? 車内での傷害・放火事件が起きたのが2カ月ほど前なのに? このような事件が発生した時に、被害を最小限にする対応がハッキリしていない時に、なぜ運転士だけの電車運行を発表したんだろう? 

 

この記者会見で、記者は質問したんだろうか? 京王線で起きた事件がまた発生した場合、運転士だけでどう対応するんですかと。警備員を電車に乗せるのかな?

 

JR東日本は、一人乗務だけでなく、自動運転を目指すといっていたけど、自動運転する場合のテロ対策はどうするつもり? 

 

京王の対策が出た

 

このブログの下書きを書いていた時、京王電鉄からテロが起きた時の対策が出た。主な内容は

・リアルタイムで見られる監視カメラを全車に設置する

・全駅のホームにも、リアルタイムで見られるカメラを設置

・非常用設備を見やすくする

で、私が上に書いてきたような内容になっている。ただしこれだけでは不足なので、更なる対策が必要。

 

ついでに再び、リニア新幹線は手荷物検査が必須

 

2015年7月4日の私のブログ「リニアは手荷物検査が必須」にも書いたように、リニア新幹線は手荷物検査が必須です。今回の事件で、リニア新幹線の手荷物検査の必要性が再認識されたと思う。

 

2022年2月5日

 


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