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ほぼ週二 横浜の山の中通信

人と異なる視点から見る

東京の地下鉄は行き当たりばったり その2

2023年01月21日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

2016年02月21日のブログ「東京の地下鉄の路線は行き当たりばったり」で、東京の地下鉄の計画性の無さを書いた。今回はその続きです。

 

新線建設は打ち止めだったのでは?

 

旧営団地下鉄、現在の東京メトロは副都心線の建設で新線は打ち止めと聞いたことがある。ところが

 

(1)東京メトロ南北線を白金高輪駅から品川駅に延伸する

(2)東京駅から東京ビッグサイトに新線を作る

       (こちらはメトロではなく、都営地下鉄ですが)

(3)メトロ有楽町線の豊洲駅から、半蔵門線住吉駅まで新線を作る

 

など新線を作る話になっている。ここでは、(1)と(2)の新線を取り上げる。(3)は今回取り上げない。

 

(1)東京メトロ南北線を白金高輪駅から品川駅に延伸する

 

東京都の資料を紹介します。

今後整備される環状4号線の地下を通ることで土地買収のリスクを減らすことを優先したのがクネクネと曲がった路線になったと言い訳している。その結果、随分遠回りになってしまった。最短で白金高輪駅と品川駅を結ぶと1.8キロメートルほどだけど、遠回りした結果2.8キロメートルほどと1キロメートルほど増えてしまった。

 

こんなことになったのは、メトロ南北線が東急目黒線に乗り入れする時に、品川乗り入れをこれっぽっちも考えていなかったことが原因。それに、都営三田線もそのまま延伸すれば品川に到達するのに、不自然に曲がってやはり東急目黒線に乗り入れしている。

地下鉄という建設費がメチャクチャかかる路線なのに、東京の地下鉄はホントに行き当たりばったり。計画も何もあったもんじゃない。日本人は計画が苦手という話を聞くが、全く同感です。

 

(2)東京駅から東京ビッグサイトに新線を作る

 

この新線は、東京駅から東京ビッグサイト付近の駅を結ぶ地下鉄です。臨海部の人口増で従来交通の混雑対策や近くに駅が無い地域の交通を整備する意図がある。しかし、臨海部にあれだけタワーマンションを作っておいて、交通を考えなかったのか、計画性の無さが伺える。

 

ところで、この新線は沿線に車庫の場所が取れないのでは? そうすると、東京都が出資する東京りんかい線から直通させるのかな?

 

それに、つくばエキスプレスの延伸部分と相互乗り入れするとか、JRの羽田アクセス線と相互乗り入れとか、なかなか壮大な計画です。どこまで実現するのやら。

 

2023年1月21日

 


鉄道フェイクニュース 関西の東海道線「快速」他

2022年10月02日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

今回は鉄道フェイクニュースが三題です。

 

関西の東海道線には昔から「快速」があった

 

「『新快速』が運行開始した日 関西最速の称号 当初は都市間ノンストップ」という「乗りものニュース」の記事がYahooに載っていた。その中にその中に次のような記述があった。

    ・・  ・・  ・・  ・・  ・・  ・・  ・・  ・・

 新快速導入前の関西圏の優等列車は、もっぱら特急・急行列車が担っていました。1時間に2~3本が運行され、山陰・四国・九州方面へと足を伸ばしていました。

 普通列車も1日に何便かが快速運転され、停車駅が大阪・三ノ宮・神戸・兵庫・明石・大久保・土山・加古川といったような速達便もあったそうですが、関西都市圏で速いのは結局私鉄の速達列車で、「中長距離の国鉄、日常利用の私鉄」という棲み分けが続いていたのです。

 ・・  ・・  ・・  ・・  ・・  ・・  ・・  ・・

 

  • 「新快速」が走る前の東海道線、京都・大阪間の様子

(神戸・大阪間の様子はあまり知らない)

 

京都・大阪間の東海道線は(昔も)複々線で、内側を緩行線、外側を快速線が並んで走っています。快速線を「快速」が、緩行線を各停と有料の優等列車「特急・急行」が走っていた。追加料金無料の「快速」は、特急料金の必要な「特急」以上の速度で走っていたので、内側の緩行線を走る「特急」に追い付いて、追い抜いていくのが痛快だった。

 

「快速」は湘南タイプの電車で、12両だったか?かなり長かった。京都・大阪間はノンストップだったか、高槻に停まったような? 東海道線の「普通」(各停のこと)は京都止まりなので、「快速」は京都から滋賀県方面にも各駅停車で走っていた。滋賀県の野洲電車区(今の名称はややこしいので昔の名前です)は「快速」のために出来た?

 

京都の場合、阪急や京阪は京都中心部に駅があるので、国鉄(現JR)より線路の距離が長かった。それなので、「快速」の京都・大阪間の所要時間は、私鉄の特急(無料)より速かった?記憶がある。

 

したがって、京都・大阪・神戸(三宮)を移動するのに有料の「特急・急行」を使う人など存在しなかった。「快速」が十分速いし、無料だし、かなりの頻度で走っていた。

 

この「快速」より速い電車なので、「新快速」になった。中央線快速のように「特別快速」という名前になるという噂もあったけど、結局「新快速」になった。

 

  • 「乗りものニュース」の記事は間違いが多い

 

このような状況だったので、この「乗りものニュース」の記事は間違いが多い。

 

「新快速導入前の関西圏の優等列車は、もっぱら特急・急行列車が担っていました」

これは、上に書いたようにウソです。京都や大阪、三宮(神戸の都心部の最寄り駅)の都市間移動で「特急・急行」を使う人などいるもんか! 「特急・急行」と「快速」の二つは、用途が全く異なるし、車両も異なる。

 

「普通列車も1日に何便かが快速運転」

これもウソです。「快速」が付けたしのように書かれているが、「快速」は「普通(各停)」と同じくらいの頻度で運転されていた。

 

「停車駅が大阪・三ノ宮・神戸・兵庫・明石・大久保・土山・加古川といったような速達便もあったそうです」

「速達便」て何? 「快速」のこと? なら「快速」と書けばよいのに。これには大阪から京都方面の「快速」は書かれていないが、実際は京都方面にも「快速」が走っていた。この人は東海道線に「快速」が走っていたことを知らなかったとしか思えない。

 

「関西都市圏で速いのは結局私鉄の速達列車で、『中長距離の国鉄、日常利用の私鉄』という棲み分けが続いていたのです」

これもウソです。こんな話は初めて聞いた。

 

私がここまで書いた話は、鉄道雑誌御三家には時々掲載されていて、割と有名な話です。「乗りものニュース」のこの記事を書いた人は、関西の人では無さそう。しかも若い。しかも調査不足。

 

自動車では許されないのに鉄道では許される

 

ディーゼルカーを見て「電車!」という若い女の子は許せるけど、良い年をしたおっさんが「電車!」というのは許せないという話。ディーゼルエンジンの自動車を「電気自動車!」と言うとバカにされるのに、ディーゼルカーを見て「電車!」という大人は許されるのかな?

 

私の今までの経験では、北海道、秋田県、山形県のおっさんがTVで「電車!」と言っていた。詳しくは「日産の「ノート」は電車?」参照。

 

 

大田区役所はバブル不動産屋が作った

 

大田区役所の地下には「蒲蒲線」用の鉄道駅のスペースがあるという都市伝説があるという話。これはありえない。なぜなら、大田区役所の建物はバブル不動産屋が作ったから。詳しくは「大田区役所の地下に・・・は、鉄道フェイクニュース」参照。

 

結論

 

最近、ネットに乗る鉄道ニュースは質が悪い。

 

2022年10月1日

(追加)関西の東海道線では、各駅停車は「普通」です。「各駅停車」とは言わない。東京周辺では、「普通」という名前の(実質)快速があるので混乱する。

 

 


日産の「ノート」は電車?

2022年08月17日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

「これ電車? ディーゼルカー? 電車警察な人も気になる“ハイブリッド”な特急『ひだ』に乗ってきた」という記事がネットに出ていた。月刊乗り鉄話題(2022年7月版)の記事だそうです。しかし、あまりに違和感満載の記事なので一言。

 

「ディーゼルカー」を「電車」と呼ぶおっさんとかわいい女の子の話題については、今までにいくつかのブログを書いて来た。

・2022年07月22日の「TVの重箱の隅をつつく その12 安住アナが『電車!』と『笑点』とマザコンが原因?

・2015年07月29日の「電車? パンタグラフが無いんですが・・・フジテレビには無理かなあ?

 

TVは訂正などしない

 

+++++で囲まれた部分は、引用です。

 

    +++++     +++++      +++++     +++++

 ところで、テレビ番組やラジオ番組で、出演者がディーゼルカーを「電車」と紹介したのち「先ほど電車と言いましたが、ディーゼルカーだそうです」と訂正することがあります。もう一般用語として「電車」でもいいじゃないかな、と思います。実際にディーゼルカーの車内放送でも「電車」って言うし。伝わりやすい方でいいよね。

    +++++     +++++      +++++     +++++

TVで「電車」と言った後で「ディーゼルカー」と訂正したところなど、見たことが無い。何かの幻では? それに、車内放送(車掌が放送しているのか、録音なのか?)で、ディーゼルカーを「電車」と呼ぶなんて信じられない。どこのJRか、どこの路線なのか、教えて欲しい。このような車内放送にクレームが来ないのかな? 訂正放送が流れないのかな?

 

ディーゼルカーを「電車」と言っている人たちがいるのなら、田舎に住むいじらしさを感じて悲しくなるし、それに同調しているJRにも悲しくなる。(JRは、ディーゼルカーを「電車」と呼ぶことで、地元の電化の要求を拒否しているのかな?)

 

ディーゼルエンジンで動く自動車をEVと呼ぶ人は皆無

 

「ディーゼルエンジンで走る自動車」を「電気自動車EV(電気自動車を略すると電車です)」と呼ぶ人は一人もいない。それなのに、「ディーゼルエンジンで走る鉄道車両」を「電車!」と呼ぶのが許されるのはどうして? 電車を見たことが無い田舎の人は、「ディーゼルカー」と「電車」の区別がつかないのかな? それとも、「ディーゼルカー」と「電車」と呼ぶことで、田舎に住むことを慰め合っている?

 

日産の「ノート」はハイブリッド?

 

この記事では、ディーゼルエンジンで発電しモーターで走る新型特急車両「HC85系」を 「ハイブリッド」と紹介している。自動車でも、ガソリンエンジンで発電しモーターで走る日産の「ノート」があるが、こちらは「ハイブリッド」と呼んでいない。(私が調べた範囲では)

 

ということは「HC85系」を「ハイブリッド」と呼ぶのは、おかしいのでは?

 

昔からディーゼルエンジンで発電しモーターで走る「ディーゼルカー」はあった

 

2021年12月10日の「温故知新の『電気式』気動車(ディーゼルカー)」に書いている様に、私が子供の頃の「ディーゼルカー」の変速装置には、「液体式」と「電気式」があった。あと歯車式という1両でしか走れないのもあったがここでは省く。「液体式」は液体を介して回転数を変える方式。「電気式」はディーゼルエンジンで発電しモーター回転数を変える方式で、「HC85系」と同じ。

 

(「HC85系」は大昔の「電気式ディーゼルカー」とシステムが若干異なるが、「電車」と呼べるほどの大きな変更ではないし、「ハイブリッド」と呼ぶには微妙に違う)

 

当時は液体式の性能が不十分だったが、しだいに性能が向上し、「ディーゼルカー」や「ディーゼル機関車」は「液体式」に変わり、「電気式」は廃れていった。このように大昔から「電気式」はあったが、誰も「電気式ディーゼルカー」を「電車」という人はおらず、「ディーゼルカー」だった。

 

新型特急車両「HC85系」は電車か?

 

上にも書いたように、ディーゼルエンジンで発電しモーターで走る新型特急車両「HC85系」は、クモハ85形、モハ84形、クモロ85形のように、電車のような車両表記になっている。(上記の車両表記の「モ」はモーターのことで、モーターを持った車両を表す)

 

これは、JR東海が新型特急車両「HC85系」を電車のような扱いにしていることを表している。しかし、これはおかしい。上に書いたように、ディーゼルエンジンで発電しモーターで走るディーゼルカーは大昔から存在し、それにはディーゼルカーを表す「キ(気動車のキ)」が車両表記に付いていた。それとの整合性をどうするんだ!

 

現実をしっかり見つめるべき

 

ディーゼルエンジンで動く自動車を「電気自動車(電車)」と呼ぶ人は皆無(かえってバカにされる)なのに、ディーゼルエンジンで動く鉄道車両を「電車」と呼ぶ人(私はバカにします)が許されるのは信じがたい。

 

また、ディーゼルエンジンで発電しモーターで走る新型特急車両「HC85系」を「ハイブリッド」とか、「電車」と呼ぶのはおかしい。特にJRがおかしい。

 

旅行文がおかしい

 

この記事の後半は、新型特急車両に乗っての旅行文になる予定?だったと思われるが、これが単なる旅行案内で、旅行案内としても内容がヒドイ!

 

2022年8月17日

 


蒲蒲線に予算?東京都は金持ち!

2022年06月14日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

6月6日に大田区が新空港線(蒲蒲線という呼び名もある)の負担割合が決まったと言う大田区の発表があった。総事業費は1360億円で、そのうち東京都が3割、大田区が7割を負担するらしい。構想のハッキリしない事業に400億円もポンと出すのはさすが金持ちの東京都。

 

このニュースを伝えるメディアの中には、あまりにド素人のような報道をしているところがあり、悲しくなった。例えばNHK。NHKの伝えたニュースの中に次のような画があった。

これを見ると、新空港線は大田区役所のあるJR蒲田駅/東急蒲田駅から、京急蒲田駅へ直接向かっている様に描いている。この図は大田区が提供したのか、NHKが作ったのか不明であるが、これはミスリードというか、蒲蒲線初心者の良くやる間違い。実際は、下図のように緑色で書いた線(第一期)と黄色で書いた線(第二期)が正しい。

 

今回の発表の元になる新空港線の大田区案を見直した。新空港線は東急矢口渡駅付近から地下に入り、東急蒲田地下駅から、京急蒲田駅の南150㍍にある地下の「南蒲田駅(現在は存在しない)」に向かう区間が第一期になる。ただし、最近の大田区案では「南蒲田駅」とは呼ばず、「京急蒲田地下駅」になっている。本来の「京急蒲田駅」は高架なので、大田区案では乗り換え時間を6分20秒としている。

 

新空港線の大田区案をGoogleマップ上に描くと下図のようになる。大田区案は不明確な部分があるので、その部分は私が推測して描いた。

 

これをさらに詳しくイラストで描くと下図のようになる。

 

過去の大田区案と比べると違う点がある。

・多摩川線の蒲田駅付近では、地上線を廃止し地下線のみになっている

・京急蒲田駅から150㍍離れた駅を「京急蒲田地下駅」と呼んでいる。以前は「南蒲田駅」だったけど?

 

以前と同じ点は

・多摩川線の東急蒲田地下駅はプラットホームが一つで両側に線路という構成

・東急蒲田地下駅と京急蒲田地下駅を結ぶ地下線は、「区道」の地下

この「区道」は、2車線の一方通行道路。この道路を道なりに行くと「大田区産業プラザ」という施設に出る。東急蒲田駅から京急蒲田駅周辺へ至る道路で、この「区道」より広い道路は無い。「大田区産業プラザ」は、高架の京急蒲田駅から150㍍以上離れている。

・東急蒲田地下駅と京急蒲田地下駅を結ぶ地下線は、単線

・これらの地下線の運行は東急

 

不思議に思った点は

・大田区案のイラストを見ると、東急蒲田地下駅や京急蒲田地下駅には現在の多摩川線の電車(18㍍車3両のワンマン運転)がそのまま乗り入れるような?(まあイラストだけどね)

 

・このイラストでは、東急東横線(ほとんどが10両になる)や東急目黒線(ほとんどが8両になる)の電車が乗り入れられない(まあイラストだけどね)

 

・前から指摘しているが、東急東横線や東急目黒線の電車が新空港線に乗り入れるには、東急多摩川線を通り抜ける必要がある。ところが、東急多摩川線はほとんどが地上線であり、線路を渡ってプラットホームに行く田舎駅が多い。しかも追い越しできる線路が無いので、急行運転ができない。

 

・多摩川線多摩川駅は、プラットホームは2本で、4両対応の長さしかない。ここに8両や10両の電車を走らせるには、駅の改造が必要。

 

・以上をまとめると、8両や10両編成の電車が多摩川線に乗り入れるには、多摩川線と多摩川駅の大改造が必要。補助金が出るにしても、この費用は東急の負担で、1360億円には含まれていないと思われる。

 

・新空港線の京急蒲田地下駅から150㍍離れた高架の京急蒲田駅への連絡通路は事業費に入っている? それとも京急に負担させる?

 

・東急蒲田地下駅や京急蒲田地下駅のプラットホームは、10両編成対応で作るのかな?

 

(結論)

・大田区は東急と話し合ったのかもしれない。東急は金を出したくないので、大田区が新空港線を作っても、運行を担当する東急は現在の東急多摩川線の3両編成の電車しか直通させないのでは? 

 

・これが本当なら、東急多摩川駅で東横線や目黒線から多摩川線に乗り換え、さらに京急蒲田地下駅から6分20秒かけて京急蒲田駅まで移動し、京急空港線に乗り換えることになる。そうすると、乗り換えは合計2回になり、利便性がグッグッと二段階下がる

 

・積極的?だった東急がこれではどうしようもない

 

・新空港線で金の持ち出しが多い割に恩恵の無い京急との話合いはもっと大変

 

再確認しますが、大田区の構想する「新空港線」は東急蒲田駅やJR蒲田駅と京急蒲田駅を結ぶのが目的ではなく、その名の通り東急蒲田駅やJR蒲田駅(近くに区役所がある)と羽田空港を結ぶのが目的です。したがって、「蒲蒲線」という呼び名は適当ではありません。

 

2022年6月14日

 


電車内でテロが起きた場合の対応について

2022年02月05日 | 鉄道・リニア新幹線・航空機

今回は前に書いたブログ(下記2件)では書ききれなかったことの続きを書きます。

2021年11月1日の「ドジな鉄道会社と司法試験不合格と羅生門跡

2021年11月4日の「再び、ドジで何も考えていない鉄道会社

 

アホなTV局には危機対応の話なんて出来っこない!

 

昼のTV番組で、先日の京王で起きた事件の類似事件が起きた時の対応を話していたが、あまりに現実離れした話をしていたので呆れてしまった。だいたい、気動車(ディーゼルカー)を見て、「電車!」と言っているようなTVに、鉄道での危機対応という難しい話など出来るわけが無い。

 

まあ、かわいい女の子が「電車!」というのはギリギリ許すけど、いい年をしたおっさんが「電車!」と言うのは絶対許せない。

 

事件の概要

 

もうほとんどの人が忘れていると思うので、まず事件のあらすじから。

2021年10月31日夜、京王線(この部分はトンネル)を走行中の特急電車内で、若い男がナイフで乗客に切りつけて傷を負わせ、車内に放火する事件を起こした。電車は駅(地下駅)に停車したが、電車のドアがホームドアとズレていたので車掌がドアを開けなかった。それで一部の乗客は窓を開けてホームドアを乗り越えてホームに脱出した。

 

乗客が車内に設置された非常通報装置を作動させたけど、乗客はその場を離れたので、車掌は乗客から話を聞けなかった。また、車掌は運転指令と電話で話していたが、車掌も状況を的確につかんでいなかったので、運転指令からの指示は出なかったようです。

 

NHKではこの事件の特集をやっていたが、どこまで本当のことなのか、判断がつきかねる項目もあった。例えば、非常通報装置を押せば車掌や運転士と話せると言っていたが、運転士は非常通報装置が押されたことを知っていたのだろうか? 乗客が運転室の窓を叩いて運転士に「止めろ!」と叫んだと言っていたが、これが本当なら運転士は非常通報装置が操作されたことを知らないことになる。仮に知っていたとしても、運転していたので、どうしようも無かったかもしれない。

 

結果として、運転士は電車を駅間(この辺りはトンネル)で止めずに、駅まで運転して止めたのは良かった。

 

私のこの事件に対する印象は、鉄道会社はこういう事件が起きた時の対応マニュアルを持っていなかったのか、持っていたとしても現実離れした杜撰なマニュアルだったのでは?ということ。

 

電車内のテロの初期対応は乗客がすることになる

 

この事件の報道を見たり聞いたりして感じたことは、乗務員だけでは対応が出来ないこと。一部の路線では、既に運転士だけで車掌のいない電車も走っている。将来は無人運転の可能性もある。そうすると、電車内でテロが起きた時、いかに逃げるかも含めて初期対応は乗客がやらざるをえない。

 

じゃあ、乗客が車内の非常装置を知っているかどうかは非常に心細い。非常装置の詳細を広く知らせると、テロ犯もそれらの対応を考えるという人も居るかもしれないけど、じゃあ、乗客はどうすれば良いの? 私は非常装置の使い方をもっと乗客に知らせるべきだと思う。

 

この事件の問題の一つは、乗務員に事件が正しく伝わらなかったこと。もっとも、正しく伝わったとしても、車掌は何もできなかったと思う。運転士に連絡して最寄りの駅に停車し、警察と消防に連絡することくらいか。下手に車内アナウンスすると犯人を刺激するかもしれない。

 

非常通報装置の疑問

 

そもそも、京王の非常通報装置がどうなっているのか、乗客は知っていたのかな? 知っていたのなら、非常通報装置を押しただけでその場を離れなかったと思う。

 

① 非常通報装置は車掌と話せるだけ? 運転士や運転指令は会話を聞ける? 

 

既に書いているが、非常通報装置を押すと車掌と話すことはできるのは分かったが、運転士はその会話を聞けるのかな? 運転士が事情も分からず、トンネル内で急停車すると余計に被害を大きくする可能性もある。それに、何か起きても駅まで走ることを周知していないと乗客との間で齟齬が生じる。

 

乗客が車掌と話ができたとしても、その乗客が事態をどれだけ正確に把握しているか、わからない。例えば隣の車両から、乗客がどうっと逃げて来たので、非常通報装置を押したけど、その乗客は現場を見ていないので何が起きたか説明できない。それに複数個所から非常通報装置が押されたら、優先順位はどうなる? 早い者勝ちかな。

 

②非常時に、乗客の安全を考えて電車を止めるには、どうする?

 

車内でテロが起きた時、電車を安全に止めるにはどうすればよいのかな? トンネルの中だろうと、鉄橋の上だろうと、何も考えずにどこでも直ぐに止めるのはアホ。より安全な場所に止めるよう努力するべきです。特に、地下部を走る電車ではトンネル内で停止するのはリスクが大きいので、最寄りの駅まで動かすべきです。

 

それより大きな問題は、電車を止める時に誰が決定するのかわからないこと。非常通報装置を受けた車掌なのか、それとも車掌から連絡を受けた運転士なのか、それとも車掌から連絡を受けた運転指令が運転士に連絡するのか? 現在のシステムがどのようになっているのか、わからない。だいたい非常時に連絡を取り合っている時間があるのか?

 

それに、非常通報装置が押された時のJRや私鉄各社の対応がバラバラだったら、乗客は混乱する。

 

非常用ドアコック

 

非常用ドアコックは、これを操作すればドアは手で開くという装置。京王の事件で非常用ドアコックを開けた人はいるらしい。疑問は、電車が走行中でも手でドアは開くのか? 開きそうだな。危険だけど。

 

鉄道会社は、乗客が車掌に連絡せずに非常用ドアコックを操作し、ドアを開けるのは想定していなかったというけど、非常時には乗客だって非常用ドアコックを操作するだろ。いちいち、車掌と話すか。本当に杜撰!

 

今後の類似事件への対応が心細い

 

類似事件は今後に起きると予想されるけど、今回の事件への電鉄会社の対応を見ていると、不信感が湧いてくる。こういう非常時には、車掌や運転士だけでは対応できないのは自明だし、いちいち乗務員に連絡してからその指示を待っているなんて出来っこない。乗客もただ犯人から逃げるのではなく、避難経路を作ったり、弱者の避難を手伝ったり、犯人が迫ってくるのを防いだり、火の手を消したり、など好まざることをやらざるを得ない。そうすると素人がギリギリの判断をすることになる。

 

しかし、乗客は電車の構造や電車からの避難に関する知識はほとんど無い。どうすりゃ良いんだ。

 

非常設備は各社共通にするべき

 

JRと私鉄、私鉄から私鉄に乗り換えた時に、「この会社は非常通報装置がここに有って、監視カメラは付いていないので、非常通報装置を押したら、車掌に説明しなきゃならないな」とか、「非常通報装置は向うに有るので走っていかなきゃ。監視カメラは付いているので、通報するだけで良いな」とか、乗客が判断することにしないでほしい。というか、それは無理。だから、非常時に使用する装置(例えば非常通報装置や監視カメラ)とその使用方法は各社共通にするべきです。

 

非常通報装置だけでは無理、やはりカメラ

 

京王の事件の時、乗客と非常通報装置で話せるのは車掌だけなのか、運転士もその話を聞けるのか、ハッキリしない。メディアによって報道内容が違う。運転士が非常通報装置による乗客との対話が聞けないのなら、車内で何が起きているのかは把握できないことになる。運転士は運転に専念する必要があるかもしれないけど、車内で何が起きているか、乗客と車掌の話が傍受できるようにするべきです。

 

それに監視カメラは必要です。いずれ運転士だけの運転になった時に、別の場所にいる運転指令が監視カメラ映像を見て判断し、運転士に連絡することになるのだろうな。犯人が監視カメラを破壊する可能性もあるけど、やらないよりまし。

 

非常通報装置が作動したら、付近の電車は止めるべき

 

多分、これは既に行われているのかもしれない。非常通報装置が作動したら、付近を走行中の電車を止めるべきです。もし、電車内で異常事態が起きたら、先頭の電車の連結部を降りて逃げろなんて言わずに、ドアを開けて線路上に逃げられるようにするべきです。線路に降りると危ないとか言うけど、それより危険なことが車内で起きたら仕方ないじゃないか。

 

ただし、第三軌条方式の地下鉄や新交通システムなどは、地上に高電圧線が通っているので、この電源も切る必要がある。

 

JR東日本は何を考えているのか?

 

JR東日本は、将来山手線などの電車を車掌無しの運転士だけで運行すると、先日の記者会見で発表した。JRは正気だったのかな? 車内での傷害・放火事件が起きたのが2カ月ほど前なのに? このような事件が発生した時に、被害を最小限にする対応がハッキリしていない時に、なぜ運転士だけの電車運行を発表したんだろう? 

 

この記者会見で、記者は質問したんだろうか? 京王線で起きた事件がまた発生した場合、運転士だけでどう対応するんですかと。警備員を電車に乗せるのかな?

 

JR東日本は、一人乗務だけでなく、自動運転を目指すといっていたけど、自動運転する場合のテロ対策はどうするつもり? 

 

京王の対策が出た

 

このブログの下書きを書いていた時、京王電鉄からテロが起きた時の対策が出た。主な内容は

・リアルタイムで見られる監視カメラを全車に設置する

・全駅のホームにも、リアルタイムで見られるカメラを設置

・非常用設備を見やすくする

で、私が上に書いてきたような内容になっている。ただしこれだけでは不足なので、更なる対策が必要。

 

ついでに再び、リニア新幹線は手荷物検査が必須

 

2015年7月4日の私のブログ「リニアは手荷物検査が必須」にも書いたように、リニア新幹線は手荷物検査が必須です。今回の事件で、リニア新幹線の手荷物検査の必要性が再認識されたと思う。

 

2022年2月5日