寒さに耐えるために地中に潜っていた虫たちも、地上に出ようと言う気になり始める季節。
蟄(あな)を啓て(ひらいて)世間に顔を出そうとする様子を、簡単に言うと「啓蟄」という言葉になるのだろう。
二十四節季の中でも一番身近に季節を感じる「節季」ではある。つまり移り行く季節の節目として、心揺さぶるものがある。
さあ、春が目の前だ!重ね着を1枚減らして身軽になろう。そして躍動の一つもしてみよう。という意欲を掻き立てられるような気がする。それも、花粉症などという厄介なアレルギー体質を持っていないから、そんな呑気なことが言えるのかもしれない。
花粉症に泣かされる向きにとっては、お気の毒なシーズン到来というから、季節の移り変わり一つをとっても、人間社会は思いのままにならぬものではある。
しかしながら、啓蟄を迎えたからと言って何もかも陽気に、前向きに、とばかりではいられない悩みも抱えてはいる。ただそのような事柄に対してでも2月の冷え込みよりは、少し気持ちが上向くということか。
喜寿同窓会の返信状況がはかばかしくない。返信はがきは先ず先ず順調に帰って来ている。
問題は出席者の数である。「お陰様で元気です。皆さんによろしくお伝えください」と、堂々と欠席に〇をして寄越す地元在住者の何と多いことか。
地元で元気に暮らしているのなら、最後の同窓会に出席したら・・・と言いたくなる。これは幹事の思い。
それとこれとは話が違う。行きたくないものは行きたくない・・・。これが欠席する者の言い分。
まあどっちにも言い分がある。が、それらをなんとかクリアーして実行に移すのが案内状を発信した幹事の務めである。
「今回は出席できないが、最後と言わず、有志だけでも集めて傘寿の祝いを計画してくれよ」という我がまま男もいる(笑)かたや「一回も出たことにない同窓会に最後なので出席します。楽しみです」という女性もいる。
締め切りまで10日を切った。あと10人上乗せが欲しいな~。無理だろうな~。
穴から這い出て、最後の同窓会に来てみんさいや、面白いけ~。と独り言。ちょっと切なさを伴う啓蟄ではある。