下流から見た久杉橋、右手に見えるのが商品の直売所
上流から見た久杉橋、右手に見えるのが本社社屋
岩国市の山奥に、ネットを通じて世界市場に名を連ねる日本酒の醸造元、旭酒造がある。
ブランド銘を「獺祭(だっさい)」という高級日本酒として、地元はもとより海外市場で大きな評価を受けている。
下戸の私でも、口当たりがよくて確かに旨いと思う。しかし高嶺(高値)の花で、いつもの晩酌にとは手が出せない代物ではある。
この山間の蔵元を、2018年7月の西日本豪雨による土砂災害が襲った。出荷前の製品や醸造工程に大打撃を受けて計り知れない損失となった。
しかし、世界に名を馳せる新進の醸造元だけにその立ち直りも早く、ブランド名に傷を付けることもなく製造再開、雇用も守った。
その工場の前を昔から流れている小さな川を挟んで、商品直売所がしつられられている。工場と直売所を結ぶ約21mの小さな橋が「久杉橋」と呼ばれる話題の橋である。久杉橋も当然ながら西日本豪雨で跡形もなく流された。
何故にこの復旧なった久杉橋が注目されるのか。この橋のデザインを担当したのが、建築家でありデザイナーとして世界中から注目され絶賛されている「隈研吾」氏の手による作品だからである。彼の仕事ぶりや学歴などは、ここで述べるまでもなく多くの方が先刻ご承知であろうから省略するが、兎に角大変な実力者である。
災害復興の象徴としてデザインを依頼された彼は、山口県産のヒノキ8トンを使い、美しい曲線を描く久杉橋を創り上げた。
新しい橋は長さ21メートルのコンクリート製で、欄干両側に1266本(長さ30センチ~2・7メートル)の10・5センチのヒノキ角材が組み合わされている。19年11月に着工、今年6月末に完成した。総事業費は3億7千万円で、デザイン料2億円を旭酒造が負担、工事費1億7千万円は県が支出した。維持、管理は7月から岩国市が担っている、というもの。
小さな町の山里に、象徴として世界につながる力を持っていると、デザイナーご本人に言わしめた、まさに目をみはるばかりの美しい曲線美。匂うばかりのヒノキの躍動。叶うなら現物をお見せしたいところではあるが、拙い写真をご覧頂いてさらに想像を膨らませて頂ければ幸いである。
一度はおいでよいわくにへ 人情溢れる城下町
緑の山に囲まれて 湧き出る清流数知れず ・・・・・・自慢するもの少ない我が町にも、こんな新たな名所が生まれているんだよ。
かく云う私も噂には聞いていたが、実物見学は初めてである。
親しい友からの近回りお勧めスポットの一つ。見応えがあった。
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