漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第4章 その9

2006年07月15日 04時33分05秒 | 漫画家志望
 ( この写真は、東京豊島区南長崎のN商店街である。練馬区江古田からこの道を通って目白
  の仕事場まで自転車で通いました。もう、ここには25年前の賑やかさはありません。《 2006
  年3月 撮影 》 )
    
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                 その9
 

漫画家志望の青年にとって、本を読む事はとても大事な事なのですが・・・
ただ、読んでいるだけでは何の意味もありません・・・・。 何を何冊読め
ば良いとか言う事もありません。

クロッキーが基本的な絵のトレーニングなら、読書は頭の柔軟体操とウェイ
トトレーニングと言ったところではないでしょうか・・・

つまり、適当にダラダラ読んでいるのは時間の無駄なのです。 これは、あ
くまで私の個人的(!)経験ですが・・・ まず、「 量 」は平均で月に7,8冊
のペース( 50を過ぎた今の私には、とても出来ません! )で。 本の種類は世
界文学を中心に種々雑多。 そして、読み方は・・・・飛ばし読みです。

本の導入部( 約4,50ページ )でその本の質を判断し、時間の無駄だと思えばじ
ゃんじゃん飛ばしてしまう事。 まあ、たいていどんな本でも一つや二つは
勉強になる事柄があるので、それをつかめば十分です。 次の本へ進みまし
ょう。 この読み方は、頭の柔軟性とスピードを鍛えます。

注意しなくてはいけないのは・・・・ 「 せっかく買った本だから、つまら
なくてもしっかり読もう 」とか、「 飛ばし読みでは頭に入らないから、全部
読もう 」といった観念にこだわってしまう事です。

これでは、頭の柔軟性やスピードを失います。 つまらない本に貴重な時間を
さいているヒマはないのです。

「 読書を楽しんじゃいけないのか? 」と思う人は、きっとステキな読書家に
なれます。 漫画家志望者にとって、「 読書の楽しみ 」など「 おつり 」に過
ぎません。 本は自分のためではなく、漫画( 読者 )のために読むのです。
  
ところで、大事な点がもう一つ・・・・。 飛ばし読みできない本もあるわけ
です・・・・。それは、人それぞれによって違うと思いますが・・・・

私の場合はドストエフスキーやトルストイ、バルザック、デュマ・・・・など・・
・・・・。これらは、しっかり読みました。とても飛ばし読みなどできません
でした・・・・。

映画についても同じような事が言えます。 当時( 1980年頃 )はレンタルビデ
オがまだなかったので、映画館によく通いました。 つまらない映画を10分以
上見る義理はありません。 それより、別の映画を見に行った方がましです。 
また、優れた映画を繰り返し何度も見る事も大変勉強になります。 

私は黒澤明の映画「赤ひげ」を池袋の文芸座に毎日朝一番から夜の終映まで3日
間見に行き続けた事があります。 冬の寒い頃で、館内の弱い暖房では、体が冷
え切り4日目はカゼをひいて寝込んでしまいました・・・・。

クロッキーで絵の基礎を磨く。読書で頭を鍛え、映画で演出を学び、音楽の中で
想像力を養う・・・・・。 まったくこれだけやってりゃ、どんなボンクラだっ
て、漫画家になれんじゃないかァ?・・・と、思うのですが・・・・・・・・。

私の様な凡人の中の凡人が・・・ まったく見込みのない漫画家志望者が・・・
・・・ 遅刻と怠惰と不善を絵に描いた様なこの私が・・・・ 一から出直す事
で、少しだけ「らしい形」が出来上がってきていたのです・・・・。デビューす
る5年ほど前でした・・・・・・・。
   
   
   
          「 漫画家アシスタント 第4章 その10 」 へつづく・・・


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【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
          「第4章 その1」  「第5章 その1」  「第6章 その1」
          「第7章 その1」  「第8章 その1」  「第9章 その1」
          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」


   
  

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23 コメント

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なるほど!!!すごく勉強になりました! (rasu)
2006-07-16 12:12:52
私は実は、本があまり読むのが苦手でして、、どうしても、面白くない本を最後まで

読むことができません。。ということで、

どうしても読書をするのが億劫になりがち

なんですが、、

この手はいいですね!!本は、本当に面白い本に出会えればすごいスピードで読めるんですけど、、ほんとつまらない本を読むのは苦痛です^^;こうすれば、誰かに面白いよって紹介されなくても、自ら面白い本を探すことが可能ですよね!!

私もこれをしてみます。
返信する
rasuさん、コメントどうもありがとう。 (yes)
2006-07-17 03:04:50
本の良し悪しを出だしの4,50ページで決める話は、実は・・・黒澤

映画の脚本で有名な橋本忍氏の読書法を元にした話です・・・・。

 

さて・・・・ 買った本を最後までキチンと読まないと、なんだか・・

・・・申し訳ない様な・・・・。 中途半端な「罪悪感」にとらわれる

様な気分になるのはなぜでしょうか・・・・・? 

 

作者には印税が入り、本屋さんには利益が入り、買った本人は金

と時間を失って、「罪悪感」を得る・・・・。

 

まったくバカげた話だと思います! 戦争中の物資不足の時代じゃ

あるまいし・・・・。 世の中にはいい本がいっぱいあるのに、つま

らない本に時間とヤル気を奪われて、結局、本を読まなくなって

しまう・・・・とても、もったいない事だと思うのです・・・・。

 

rasuさん・・・! グッと来るような本にめぐりり逢えたら教えてく

ださい!

   

返信する
初めまして。 (tomo)
2006-07-17 06:08:18
数週間前にこのブログに辿り着いてから今日まで、じっくり時間を掛けて拝見してました。

このブログは凄いですね!アシスタントさんの世界って全く知らなかったので、初めて知ることだらけでした。人間関係って本当に大変なんだなーとか、背景のこととか…。

ずっしり数十年分の重みが入っていて、時間を掛けずには読めませんでした。



置いてあった漫画二つも拝見しました。一つ目は主人公の気合いに驚いたり、怒濤の展開に衝撃を受けたり、主人公の落ち込みっぷりに胸が痛くなったり、最後は揺さぶられるような感想があり、とにかく感情が動く話でした。

二つ目は、読み終わるまで「あれ?これはどういうオチになるんだろう?」と思いつつ見ていたらこんな終わり方をするとは!

話のしんみりした雰囲気と、「こんなオチが!」という気持ちが混じりつつ、その直後についつい読み返してしまいました(笑)

どっちも面白かったです。



ここは、リンク先のサイトさんにも書いてありましたが、「人生を考えさせられる」ブログだと思います。

私は軽ーい気持ちで「いつか漫画家になりたいなあ」程度に思っていたのですが、ブログを見てから色々と考え込んでいます。今となっては何であんな漫画を舐めたような考え方だったのかが不思議なくらい…



今後もこそこそ来させて頂きますね。アシスタント、頑張ってください!
返信する
二回目です (taro)
2006-07-17 20:17:20
>世の中にはいい本がいっぱいあるのに、つま

らない本に時間とヤル気を奪われて、結局、本を読まなくなってしまう・・・・とても、もったいない事だと思うのです・・・・。





この「つまらない本」というのは、"拙い"という意味なのか、"興味がない"という意味なのかで、若干、話が変わってくるような気がしますね。

前者で、読んでいて何も思わなかったり、どこかで一度読んだような話で得るものがなかったり、というなら「時間の無駄」は大いに納得できます。

でも後者だと、それは自分の「了見が狭い」から、という要素も含んでるような気がします。なので50ページで見限るのは、ちょっと早過ぎるんじゃなかな、と。新しい発見が、常に面白いとは限りませんし…。



この前者と後者を見極める能力も、やはり必須になってきますね。ボクも、買った本はちゃんと読まないと気が済まない性格でして。それでも既に何百冊と積んでいて、一生かかっても読み切れないのは火を見るより明らか。





ちなみにボクが自分に気合を入れる際は、「自分は三ヵ月後に死ぬ」とか追い詰めてみます。

のんべんだらりと生きていては、何も出来ずに終わってしまう…!
返信する
本は知識?よりも創作意欲のために読む (rasu)
2006-07-17 22:21:03
まあ、読み出して次が気になる!!と思わせられる

本でないと、読むのがつらい、だから、本を読まなくなる。。という悪循環を抜け出すにはいい方法かなと、、私は、買ってつまらない本は読まなくても、罪悪感はないですが、なんか無駄な気がして、もったいない意識のほうが多いですね・・・後、もともと、読書嫌いだったので、あんあり手に取らないことが多いです^^;



つまらない本というのは人それぞれですし、やはり出だしでぐっと来ないものはだらだら、読んでいてもこないです。私は本は知識だと思っていません。。今の時代、正直、知識を得ようとしたら、本では、残念ながら、古いことも多いし、足りないところもたくさんあります。もし、知識を得たいなら、本だけでなく、TV、ネットなどのほうがより最新の知識が得れます。。まあ、ただ、メディアはうそぱっちなことが多いので、そのことを深く知りたいと追えば、結局、本も読むことになるのですが、、最近は、TVもなかなかの情報をしているので、TVだけでもかなり深い知識を得れます。

それと、一番大切なのは、、たくさん本を読んでいても、知識を得ることに興味がないとたくさん読んでも

意味がないってことですね。逆にいえるのが、興味があればたくさん本を読まなくても、自然と知識がつくものだと思います。。だから、常に興味の対象をたくさん持つことが大切な気がします。



私は、本を読むのは知識よりも、創作意欲を

沸かすために読むものなので、たとえ、本の読解力

なくて、真のよさがわからなくてもいいと思います。用は、それをよんで、わくわくしたいかどうかという話、、な気がしますが、、どうなんでしょうか?

やはり、他人の作品を読んでよかった、とかここがいまいちとか思うことが、次の創作につながる気がします。



ただ、本のほうが映画やアニメなどよりも、情報量が多いので同時に知識も得れやすいという感なので、本を読んで知識を得よという風にもいわれるのかな?と

思うんです。
返信する
tomoさん、taroさん、rasuさん、コメントありがとう。 (yes)
2006-07-18 03:37:33
>tomoさん へ・・・・

 

はじめまして。 ブログだけではなく、漫画作品に対してまでも

うれしい感想をどうもありがとう! とても勇気付けられます!

  

tomoさんも漫画を描いているのでしょうか? プロに成るかどう

かではなく、漫画を楽しむ事はステキな事だと思います。 昔(

30年以前)は漫画を読む事や描く事は「悪い事」だったのですが、

今はもう時代は変わり「習い事」や「メジャーな仕事」に「格上

げ」になっている様ですので、思いっきり漫画の世界を楽しんだ

らいいと思います! 

   

是非また、「こそこそ」お越しください! お待ちしています!

    

  

>taroさん へ・・・・ 

 

正直に言って・・・・ taroさんのコメントを読んでいると、「20代

の自分」からコメントをもらっている様な気がします・・・・。

 

taroさんの、より論理的であろうとする姿勢や、自分を追い込む

上昇志向。そして、思い通りにいかない事へのジレンマ・・・・。

 

私は今、「20代の自分」に向かって言っているわけです!

 

 『今の調子でいい! その調子でいいのです!』

 

rasuさんが色々とコメントしてくだったているので、私の意見は

ほんの付け足しですが・・・・・・・・・・ 

 

本の良し悪しを決定するのは各人の主観を尊重(信じる)。 とり

あえず量を読めば、自然と「いい本」と出合えると思います。

 

『小さな川も汚れた川もどんな川でも流れ続けていれば、いず

れ必ず海へ出る』

 

 

>rasuさん へ・・・・

 

いつも、コメントどうもありがとう。 

 

確かに、映画やアニメなどより本の方が「ため」になりやすいで

すよね。 映像を見ているだけより、「読む」という行為の方が

努力を要するわけですから、より身につくということでしょうか。

 

いつもながら長文のコメントをどうもありがとうございます!

「メディアはうそっぱちなことが多い・・・・」って所、面白かった

です! 

  
返信する
Unknown (横から失礼)
2006-07-18 07:58:47
感性を磨くために本を読み女性と付き合うことが大切なはず。

本の斜め読み方などの技術論はナンセンスだと思うけどな~

返信する
なんと… (taro)
2006-07-18 13:38:42
>taroさんのコメントを読んでいると、「20代

の自分」からコメントをもらっている様な気がします・・・・。



ああ! 実はボクも、yesさんの事を「未来の自分」のように感じていた所がありました!

しかもボクは、まさしく20代の小僧なのです。分かるものなんですね。



>『小さな川も汚れた川もどんな川でも流れ続けていれば、いずれ必ず海へ出る』



はい。頑張ろうと思います。

ちなみにボクの座右の銘、『流れる水は、腐らない』なんですが(笑。一個上のレベルを垣間見ました。この言葉、胸に刻みつけます。

返信する
横から失礼さん、taroさん、コメントどうもありがとう。 (yes)
2006-07-18 19:06:42
>横から失礼さん へ・・・・



スイマセン。 話が横道にそれている様に見えるかもしれません

が・・・・ 実は「読書」はものすごく重要な問題なのです。



ただ量だけ読めばそれで済む訳ではなく、「どう読むか」が重要になって

くるのです。 実は当時(1980年代)師匠の言うように必死に本を読んだの

ですが、期待したほどの効果があるとは思えずこう質問しました・・・・・

 私  「先生、本は結構読んでるんですが・・・あまり関係ない様な・・・」

 師匠 「読みャ~イイってもんじゃにィよォ! 頭使って読めッ!」

と、叱責された事がありました・・・・。

 

本の読み方はそうバカに出来ませんので、この様にくどく書かざるを得な

かったのです。 ・・・・しかし「読書」についてならまだ説明は楽なのです

が・・・・・ 女の事となるとこれは・・・・もう・・・・・ なんとか、逃げられない

もんかなァ・・・・・などと・・・・・・・・・ 困っているわけで・・・・・・・・・・。

 

 

>taroさん へ・・・・

 

とても気持ちの良いコメントをどうもありがとう! 『打てば、響く』と

は、まさにこれですね! 



さて、taroさんの座右の銘『流れる水は、腐らない』も、とてもステキな

言葉だと思います! お互いに大事にしましょう!







返信する
初めまして (hito)
2006-07-19 21:55:04
ブログ全て拝見させて貰いました。



私は漫画家を目指している者ですが、

調度そろそろアシスタントをしようと

思っていた矢先にこのブログを読んでしまい、

正直ちょっと気が重くなってしまいましたが、

漫画家やアシスタントの世界の事について色々分かったし

自分自身に対しての戒めとなったので

読んで良かったと思っています。



今回の読書の件ですが、

私は昔行っていた専門学校の先生から

「B級映画を見ろ」

と言われた事があります。



つまり悪い(「つまらない」とはまた別かもしれませんが)映画を見る事で

その映画のどこが悪かったのかを考え、

どうすればそこが良くなるかも考えてみる。

そしてそれを自分の描いた「未熟な漫画」に

うまく投影させる事が出来れば

自分の漫画をそれと同じように良くする事が

出来るかもしれないし、

出来なくても必ず別の機会で

それが役に立つ時が来るという事です。



勿論「良い作品」も見なければ成長する事が出来ないし

私の場合は主に漫画に関しての事なのですが、

私は「良い作品」を読む(見る)事も「悪い作品」を読む事も大事だと思っています。

そしてつまらない作品を読む時はただそれをつまらないとしか思わずに

「何故つまらないんだろう?」

「もし自分だったらここをこうしよう、そしたらきっと面白くなる」

と自分なりに思案しながら読んでいくと

結構楽しくなってくるし勉強にもなります。



これは「知識を得る」とは目的が違ってきますが、



「悪い作品」を読んでそれを直し、

「良い作品」を読んで自分の作品を直す。



つまりは「直す」事により自分のレベルを

高める事が出来るのではないかという事なんです。





あと論点がずれてしまいますが、

成長する事に対して必要なのは

「学び」と「実戦」

だと私は思っています。



「学び」だけではきっと得られるものに限界がありますが、

「実戦」(私の場合実際に漫画を描く事)をする事により

今まで学んで来た事をまた別の視点から見る事ができ、

更にまた新しい事を「学ぶ」事ができる。

そしてまた「実戦」をしてまた「学び」、、、

この繰り返しを上手くやって行く事が出来れば

人はどこまででも成長していけると

私は思っています。



でも逆に言えばこの「学び」と「実戦」の

どちらかでもおろそかにしてしまえば

成長が止まってしまうのではないでしょうか?



だから、例えば漫画家志望の人で

「僕は画力が上がったら漫画を描くよ」

と言ってる人がいますがきっとその人は

実際に漫画を描いてみた方が早く画力が

上がると思いますし、



何も学ぼうとせずに

だらだらと漫画を描き続けている人も

成長できないと思うのです。





ちなみに今の私に足りないものは

「実戦」です。

これからどんどん前に

進んで行きたいと思っています。

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