( この写真は、東京池袋・・・雨のネオン街である・・・・。若い頃のガンさんはこの街でよく遊んだ
ようだ・・・・。《 2007年1月、撮影 》 )
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
その33
漫画が売れてアニメ化されたりドラマ化されたりする輝かしい業界の一面
と、売れない漫画と心中する人々のドブ板の裏側の様なジメジメした世界
は、まったく表裏一体と言えます。
ガンさん( 仮名:羽賀 司郎、東京出身、33歳 )に起こった事は、この表と裏
が、そして光と影がまったく偶然につながってしまった様なものです。
1983年。短期アルバイト・・・山谷の労働者・・・流れ歩いた末にヨレヨ
レの姿でとあるソープランドの「 ボーイさん募集 」の張り紙にひかれて面
接を受けます・・・・・・
その店長はガンさんを見て・・・・・ 全てを了解している様なやさしい眼
差しで・・・・・・
「 大丈夫ですよ・・・・うちで仕事をしてくれている人たちは、みんな
同じ様な苦労をしていますからね・・・・・・ 」
そう言って、すぐ寮に部屋を用意し雇ってくれたそうです。
もうガンさんは漫画の事など忘れ、全然違う世界で生きていたのです。毎日、
朝から深夜まで接客と部屋のセッティングや掃除、たまに来る警察や保健所
の検閲をパスするための素早い対応などなど・・・・・・
Jプロを離れて早や5年、池袋にあるこのソープランドに勤めてから半年以
上の時間が過ぎた頃でした・・・・・・・・。
J先生のヒット作「 ○ンクのカーテン2 」の実写版映画の制作スタッフがガ
ンさんの仕事をしているソープランドにロケのために突然やって来たのです・・
・・・・・・・!
『 ええッ・・・! J先生の「○ンクのカーテン2」がァ・・・・・・? 』
ガンさんは混乱します・・・・・・! 自分がいつもお客の汚物や風呂の汚れ
を掃除しているその個室に、ドッサリと映画撮影の機材が運び込まれ、J先生
の作品が制作されている!
今、自分の目の前で・・・・まばゆいばかりのライトが幾つも輝いている。
「 はじめは、ヤダなァと思ったよ・・・Yちゃん(私)。 俺はもう漫画
の事は忘れたかったんだから・・・・ そしたら、よりにもよってJ先
生のだよォ・・・・・・・・」
しかし、次の瞬間・・・ガンさんの頭に浮かんだのは・・・・・・・・
『 漫画が俺を追っかけてきやがった・・・・! 』
そして、頭の中で何かが大きく動き出します・・・・・・・・・
山谷での生活・・・ 現場で一緒に汗を流した仲間たち。 重たい鉄骨をかば
い合いながら運んでいた親子の労働者。 その日の稼ぎをその日に飲んでしま
う労働者。 酒飲んで暴れてガーガー寝ながら涙と鼻水を流していた労働者。
ご飯と梅干だけの土方弁当を分けてくれた名も知れぬ労働者・・・・・・
そして、美しく哀しいソープランドの女たちと、一風変わったそのお客たち・・・
・・・・・。
「 面白い話 」は、いくらでもあったのです。 「 自分でなければ描けない話 」
も沢山あったのです! 自分の目の前に・・・・・!
ガンさんの瞳に生気が蘇ってきます・・・・!
『 こ・・・これだッ! これを描くんだ・・・・・! 』
気が付けば、ガンさんはまぶしそうに黄金色に光る「 くもの糸 」をしっかりと
その手につかんでいたのでした・・・・・。
自分だけの・・・「 まんが道 」という「 くもの糸 」を・・・・・・・・
「 漫画家アシスタント 第4章 その34 」 へつづく・・・
★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第4章 その32」へ戻る 】
【 各章案内 】 「第1章 改訂版」 「第2章 改訂版」 「第3章 改訂版」
「第4章 その1」 「第5章 その1」 「第6章 その1」
「第7章 その1」 「第8章 その1」 「第9章 その1」
「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
ようだ・・・・。《 2007年1月、撮影 》 )
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その33
漫画が売れてアニメ化されたりドラマ化されたりする輝かしい業界の一面
と、売れない漫画と心中する人々のドブ板の裏側の様なジメジメした世界
は、まったく表裏一体と言えます。
ガンさん( 仮名:羽賀 司郎、東京出身、33歳 )に起こった事は、この表と裏
が、そして光と影がまったく偶然につながってしまった様なものです。
1983年。短期アルバイト・・・山谷の労働者・・・流れ歩いた末にヨレヨ
レの姿でとあるソープランドの「 ボーイさん募集 」の張り紙にひかれて面
接を受けます・・・・・・
その店長はガンさんを見て・・・・・ 全てを了解している様なやさしい眼
差しで・・・・・・
「 大丈夫ですよ・・・・うちで仕事をしてくれている人たちは、みんな
同じ様な苦労をしていますからね・・・・・・ 」
そう言って、すぐ寮に部屋を用意し雇ってくれたそうです。
もうガンさんは漫画の事など忘れ、全然違う世界で生きていたのです。毎日、
朝から深夜まで接客と部屋のセッティングや掃除、たまに来る警察や保健所
の検閲をパスするための素早い対応などなど・・・・・・
Jプロを離れて早や5年、池袋にあるこのソープランドに勤めてから半年以
上の時間が過ぎた頃でした・・・・・・・・。
J先生のヒット作「 ○ンクのカーテン2 」の実写版映画の制作スタッフがガ
ンさんの仕事をしているソープランドにロケのために突然やって来たのです・・
・・・・・・・!
『 ええッ・・・! J先生の「○ンクのカーテン2」がァ・・・・・・? 』
ガンさんは混乱します・・・・・・! 自分がいつもお客の汚物や風呂の汚れ
を掃除しているその個室に、ドッサリと映画撮影の機材が運び込まれ、J先生
の作品が制作されている!
今、自分の目の前で・・・・まばゆいばかりのライトが幾つも輝いている。
「 はじめは、ヤダなァと思ったよ・・・Yちゃん(私)。 俺はもう漫画
の事は忘れたかったんだから・・・・ そしたら、よりにもよってJ先
生のだよォ・・・・・・・・」
しかし、次の瞬間・・・ガンさんの頭に浮かんだのは・・・・・・・・
『 漫画が俺を追っかけてきやがった・・・・! 』
そして、頭の中で何かが大きく動き出します・・・・・・・・・
山谷での生活・・・ 現場で一緒に汗を流した仲間たち。 重たい鉄骨をかば
い合いながら運んでいた親子の労働者。 その日の稼ぎをその日に飲んでしま
う労働者。 酒飲んで暴れてガーガー寝ながら涙と鼻水を流していた労働者。
ご飯と梅干だけの土方弁当を分けてくれた名も知れぬ労働者・・・・・・
そして、美しく哀しいソープランドの女たちと、一風変わったそのお客たち・・・
・・・・・。
「 面白い話 」は、いくらでもあったのです。 「 自分でなければ描けない話 」
も沢山あったのです! 自分の目の前に・・・・・!
ガンさんの瞳に生気が蘇ってきます・・・・!
『 こ・・・これだッ! これを描くんだ・・・・・! 』
気が付けば、ガンさんはまぶしそうに黄金色に光る「 くもの糸 」をしっかりと
その手につかんでいたのでした・・・・・。
自分だけの・・・「 まんが道 」という「 くもの糸 」を・・・・・・・・
「 漫画家アシスタント 第4章 その34 」 へつづく・・・
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「諦めま章 その1」 「古い話で章 その1」
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」
「漫画家アシスタント物語」へのコメント、お久しぶりです!
私は、幸か不幸か子供の頃から漫画家に成る事が夢でしたので、
その結果がどうなろうと、途中で引き返そうと思う事がまるで
ありせんでした・・・・。
ただ、この年までアシスタントをやると分かっていたら漫画家へ
の道を進む事はなかったと思います。 でも、先の事なんて誰に
も分からないですから・・・・・・(ただ、自分の人生を受け入れるし
かないですね・・・・・)
漫画家志望者の多くが私と同じ様にかなわぬ夢を見続ける事が麻
酔薬でも打たれたかの様にモウロウと歳月を重ねてしまう結果に
なってしまう様です・・・・・。
ここに「夢の怖さ」が有る様です・・・・・・。 しかし・・・私は死ぬ
まで「大バカ人生」のまま夢からさめたくない・・・と、いうのが
本心ではありますが・・・・・・・・・・・。
>にっぱちさん へ・・・・
にっぱちさん、お久しぶりです。 いつも読んでいただいてどう
もありがとう!
次回「その34」を楽しみにお待ちいただいているご様子・・・・
とても嬉しい限りです! これからもどうか、よろしくお願いい
たします!
>ラティさん へ・・・・
ラティさんの先生の言った事は、まったくその通りだと思います。
しかし・・・・ ラティさんもその事を十分理解されている様だし・・・
何だかもうすぐブレークしそうなんじゃないですか・・・?
(前にも同じ様な事を書きましたが・・・・!)
とにかく、漫画で世に出る事よりも、出た後で生き残る事の方が
はるかに難しいのでありますが・・・・・・・・・。 では、どうすれば
良いのか・・・・・ んな事が分かっていれば誰も苦労しないですね・・
・・・・・!
>ミルキーウェイさん へ・・・・
お久しぶりです。ミルキーウェイさん、コメントどうもありがとう!
あと、3,4日ほどお待ち下さい・・・・! 「その34」は予定通りに
アップできると思います!
奇跡ですね・・・!
つくづく、人生って面白いなぁ!と思いました。
あー 早く続きが読みたいですっ!
一週間が待ち切れない!
ただ漫画を描くだけなら誰でもできるよ
そうじゃなくて、自分の漫画の武器は何か
なにだったら誰にも負けない漫画描けるか?という
ことを考えて書かないとだめだ。
と言われました。これを言われて、いままで
フラフラ、人に言われるがままに、自分の書きたい
ことやら方向を変えたりしていたけど、なんか
道が見えた気がします。
つまり、努力や頑張るって、そういうことも
含まれてると思います。っていうかむしろ、
どうしたらいいのか?を常に考えつづけ、常に
実行し続けていけるかどうかということなのかも
しれないです。ただ描き続けているのは努力では
ないってことなんですよね・・
(ってほんと、耳がひじょーに痛い言葉なんですが
しみじみそう思います。私も頑張らないと!常に
前進とチャレンジあるのみってことですよね)
もちろん、大ヒットが飛ばせるかどうかは時の運
とかあるでしょうが・・
でも、細々とでも漫画家として仕事がありつづけて
長く漫画を描けると思います。
が、いつも読ませていただいています。
次が楽しみです。
早く読みたいです!!
「これだけ頑張れば、漫画家になれるよ!」
みたいな事は書かれてませんよね。漫画入門みたいな本は何冊か読みましたが、「漫画の描き方」はともかく一番大切な
「そもそも描きたい事が有るのか?」と言う事や
「描く気有るのか?」
と言う事はは全く外して書いてある気がいたします。(そもそも書く気が無い人はこんな専門書を手に取らないだろうと言われればそれまでなんですが。)昔、苦労している役者の方に、「30歳くらいに「今ならまだ戻れるかな・・?」なんて思う時が来るよ。俺は2回くらい来た。」なんて27歳くらいの時に言われました。幸い、そんな事はリアルに考えずに35歳になりました。良かった!チャランポランで!!!
コメントどうもありがとう!
こんな偶然は、ガンさんのこの話以外で聞いた事ありません。
確かに、フィクションとして書かれた場合より、事実あった事と
いう前提があるからこそ、成立しうる話ではあると思います。
>Unknownさん へ・・・・
鋭い・・・ご意見をありがとうございます・・・・。
人生甘くありません・・・・。 努力といっても「並の努力」ではと
てもとても・・・・・・
>ゆうじさん へ・・・・
うまく届くようですね。 コメントお待ちしています!
コメントどうもありがとう!
ところで、「引っ張り方」なんですが・・・・
時々、ちょっとやり過ぎかな・・・・とか、読者に期待を持たせ過ぎ
て、後でお叱りでも受けやしないか・・・・・などと実は心配だったり
して・・・・・・
>ぱるちゃん へ・・・・
これ・・・・この話、ガンさんの話・・・・・実は・・・・・ 無許可(!)な
んですよね!
ガンさん本人は、まさか自分の話がネットで公開されているとは
つゆ知らず・・・・・・・ 今だに本人にはあいさつも連絡もせずに勝手
書いているわけで・・・・・ つまり、漫画にするとかしないとかの
以前の問題として・・・・・・・・・!
しかし、ガンさんが今いったい何処で何をしているのか・・・・・・・・
風の噂ではチラホラと・・・・・・と、いった程度の事しか分からず・・・
・・・・・・
まあ・・・・・・・・ お会いできれば、色々な話が聞けていいんですが、
かれこれ12,3年は合っていないのではないでしょうか・・・・・・・・・
それにしても、ガンさんがこのブログを読んだらどんな顔をするで
しょうか・・・・・・・・・・・・!
努力したら報われる、チャンスは訪れるとよく聞きますが、神様は残酷な存在だと改めて思う結果になるのかもしれないですね。
努力者には報いが来る、そう思って頑張るしかないでしょう
創作したらこうはいかないでしょうな。
確率とか無視した出来事ってあるんですねー。
ガンさんの深く掘り下げた心理描写なんかすると、ガーーンときそうですよね。
『 漫画が俺を追っかけてきやがった・・・・! 』
この台詞を最後に言うためにバーーーンと話を広げていって欲しいです。
文字だけなのにYesさんの話は、やっぱり面白いのです。
何か絵が見えてきます。
漫画家さんは違うなぁ~
ま、まさかこういう展開になっていくとわ!でもやっぱり、YESさん引っ張り方うまいですよ!
て、とても嬉しい限りです! ありがとうございました!
今回の話は、まったく偶然にしても出来過ぎの様な・・・・!
普通、ある特定のソープランド(日本全国に何軒あるやら・・・)
に映画のロケが入る事すらまず、考えられないのに・・・・自分に関
係する映画のロケがやって来るとは・・・・・ ガンさんもさぞ驚いた
事と思います・・・・・!
しかし、実際にそれは起こり(!)さらにその事が巡り巡って、
私にも大きな影響を及ぼす事になったわけです・・・・・・
その経緯については、いずれ本編にて・・・・・・!
『 こ・・・これだッ! これを描くんだ・・・・・! 』
なんというか、悟りのような。
これもガンさんの苦難に満ちた人生のなせる技でしょうか…