漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第8章 その1

2010年06月06日 23時01分32秒 | 漫画家アシスタント
( この写真は、私が開いたタイマッサージのお店入口です。 普通のマンションを店舗にしました。
 内部は、なるべく明るくし、逆にマッサージを施術する個室は濃青色で統一して、落ち着いた雰囲
 気を演出しました。《 2004年、撮影 》 )
  
  
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
                 その1
   
     《 漫画家アシスタント、タイマッサージ屋のオヤジになる 》
 
 
 
読者の方々の中には・・・
 
 「 なぜ、タイ式マッサージ店( ※参照 )なんか開くんだ? さっさと
  漫画を描けばいいじゃないか! 」
 
・・・と、怪訝に思われる方もあるかもしれません・・・・・
 
それは、「 第7章 」にも書きました様に・・・250ページを3年かけて描いて
も20万円ほどにしかならなかった事に懲りてしまっていたからなのです。
 
漫画を描く事自体が「 苦痛 」を伴うものだという事を、漫画を描かない方々
に理解してもらうのは難しいのですが・・・・・
 
 
漫画で成功するパターンは・・・その「 苦痛 」の果てに、本に掲載されたり、
評価されたり、報酬を貰ったり・・・そして何より「 達成感 」に浸る喜びが
あるものです・・・・。
 
こうした好循環に恵まれる漫画家志望者( 新人漫画家 )よりも・・・・・
 
創作の「 苦痛 」の果てに、本には載らず、不評にさらされ、報酬も得ない・・
・・・これを繰り返すと、創作する事に「 苦痛 」だけが心に刻みつけられて
しまう・・・・
 
そんな漫画家志望者の方が圧倒的に多いのではないかと思います・・・・・
 
 『 漫画描く事に苦痛を感じる様になったら終わりじゃないか・・・ 』
 
若い頃には他人事だと思っていたそんな言葉が・・・年を取ってから己自身に
降りかかって来たわけでした・・・・。
 
 
以前から、私のカミさん( ※参照 )がお店をやりたいと言っていましたので、今
回の減俸とリストラの危機を一つの契機として、タイ式マッサージ店を開く事
に決め、その金策のために80歳の実母の老後の資金をあてにするという反則技
にでました。
 
私は、営業の予想収支計算書などを見せながら400万円( かなりの大金です )ほ
どの開業資金を借りたいと話しました・・・
 
 「 こんな計算書通りにはいかないと思うけどねェ・・・・ 」
 
こんな不況の時代に、バカ息子が何を考えているんだか・・・・と、うんざり
したような声でそう言うのですが・・・・
 
 「 貸すのはイイけど・・・利息は年利で5%もらうよ 」
 
結局、利息を含めて毎月10数万円の返済計画を約束。 最大の問題を越えた後
は、実行あるのみ。
 
私は、毎日の様に、さいたま市から池袋の空きマンションの物件を見て回る事
になりました。
 
数件目で見たマンションは、東京芸術劇場通りの並木道沿いにある白くて大き
なマンションでした。
 
繁華街にも近く、美しい並木道にも面している事が理想的でした。しかし・・・
 
不動産屋さんに案内されてエントランスに入ろうとした時・・・
 
正面のエレベーターから、風を切る様に大柄な男たちがやって来ます。先頭の
男は真っ白なスーツにノーネクタイで角刈り頭。まさに、「歩く東映ヤクザ映
画」!
 
 「 こ・・・怖わぁ・・・・! 」
 
明らかにその筋の・・・見上げる様な勇ましい姿とすれ違った後・・・不動産
屋さんとは一言も口を聞く事も無く・・・空き部屋の説明にも上の空・・・・・
 
池袋と言えばさすがに繁華街・・・・・
 
経営が成り立つかどうかよりも、重大な問題がありそうな・・・・・
 
 『 マンションを探すよりも、まず・・・暴力団対策が必要なのか・・・! 』
 
 
 
            「 漫画家アシスタント 第8章 その2 」 へつづく・・・


                ★前の記事へ→ 「漫画家アシスタント第7章 その37」へ戻る 】

 
 
 
 【 ※参照 】
 ・タイ式マッサージ店・・・2000年頃からのエスニックブームで、新宿、新
  橋、池袋などを中心にポツリポツリと開店し始めた施術院。(風俗店で
  はありませんが、盛り場辺りには、怪しげなお店も・・・)
 ・カミさん・・・1995年、タイのチェンマイ出身。1995年に結婚して来日、
  とても明るいが・・・いったん怒ると鬼より怖い。酒を飲んだら乱暴者。
 
 
 
       * 参考 *   
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  .............. 私(yes)のアシスタント履歴
  
  1974年昭和49年 さがみゆき先生 主に(少女系)怪奇漫画。単行本1冊分、
           4,5ヶ月のお手伝いでした。 (19歳)
     
  1976年昭和51年 かわぐちかいじ先生 この当時、氏は今ほど有名ではなか
           ったのですが、背景技術をみっちり仕込まれました。(20歳)

  1977年昭和52年 村野守美先生 漫画界一の豪傑と言われ、エピソードには
           事欠きません。たった1週間しか勤まりませんでした。(21歳)

  1978年昭和53年 ジョージ秋山先生 当時「浮浪雲」(ビックコミックオリ
           ジナルに連載)が、すごい人気で、渡哲也、桃井かおりの
           主演でTVドラマ化されていました。(23歳) 

  2017年平成29年 ジョージ秋山プロを退社、タイ・チェンマイにて隠居中。(62歳)

                    
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【 各章案内 】   「第1章 改訂版」  「第2章 改訂版」  「第3章 改訂版」
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          「諦めま章 その1」   「古い話で章 その1」
          
「もう終わりで章 その1」 「移住物語 こりゃタイ編 その1」





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