漫画家アシスタント物語

漫画家アシスタントの馬鹿人生40年と、リタイア後のタイ移住生活。

漫画家アシスタント 第4章 その3

2006年06月03日 22時22分38秒 | 漫画家アシスタント
  ( この写真は、東京の目白駅近くの交差点です。この路地を真っ直ぐ行った先にクロッキー
  教室がありました。《 2006年5月、撮影 》 )
 
 
【 はじめての方は、どうぞ 「第1章 改訂版」 よりご覧ください。 】
 
 
 
               その3
 
 
モデルの女性は衣服を脱いで全裸になりました・・・・。

自分のお風呂に入る時みたいに、当たり前の様に裸になります。 ただ、
服を脱ぐ場所は小さなつい立とカーテンで仕切られたわずかな空間です。
( 更衣室? )そこから、パッと裸で舞台に登場します。

12~4畳ほどの室内には10人ほどの生徒( 学生や主婦から老人まで )が
折りたたみイスにすわり、モデルさんの立つ舞台を見上げています。 部
屋の中央に教室を管理する先生がすわり、一緒にクロッキーをしています。

立ちポーズ、座りポーズ、10分のコース、5分のコースとそれぞれ短く区
切られています。 生徒はそれに応じて、各一枚一枚のクロッキーを仕上
げていきます。 

限られた時間の中で、払ったお金に見合った成果をあげようと、みんな真
面目にエンピツや木炭を走らせます。 部屋の中の雰囲気は意外なほど
クールです。 一回、一時間半ほどでした。料金は1000~1500円ほどだっ
たと思います。( 1980年当時 )


はじめてクロッキー帳に自分の描いた裸婦を見たときの絶望的心境は、今
でも忘れる事が出来ません・・・・・・。 自分はまともなデッサンも出
来ないのか・・・・・。 こんなに下手クソなのか・・・・。 絵は正直
に教えてくれます。ここで描く一枚一枚は、自宅で好きなイラストを好き
勝手に描くのとは全然違う・・・・・・・・・

ここは、モデルさんが「 全裸 」になるというよりも・・・・・ 自分の実
力そのものが「 全裸 」になる場所だったのです!
  
自分のアパートに帰って、今さっき描いたクロッキーを落ち込みながら見つ
めます。 女性を描いたのか、牛を描いたのか分らない絵。 バランスのく
ずれた頭と胴体。 5分のリミットに間に合わせようとあせった粗雑な描線。

 『 こんな絵で・・・オレはいったい・・・・~なるのォ・・・・・? 』
 
私は沈思黙考・・・・。 来週も行くべきかどうか・・・・。 恥をさらし
に行くだけではないのか・・・・。 辞めてしまおうか・・・・。 悩んで
いてもしょうがないか・・・・。 私はせっかく始めた事だし、とりあえず、
もう一度位は行こうと決めます・・・・。

 『 誰だって最初から上手い奴はいない・・・・ オレだってきっと上手く
   なるさ・・・・・・・・ 』
 
そんな風に自分をなぐさめたのは確かです・・・・。 しかし・・・・・ 実
際はモデルさんの大きなオシリ・・・・・・。 モッチリとしたそのイメージ
こそが次回挑戦への活力になったのかも知れません・・・・・・・。
 
 
 
          「 漫画家アシスタント 第4章 その4 」 へつづく・・・
 

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             *  お知らせ  *

  前回は、都合により「お休み」をいただきまして、申し訳ありま
 せんでした。 現在まだ通院を余儀なくされておりますが、仕事に
 遊びに少しづつ復帰しております。
 
 カゼの後で、感染症にかかり毎日抗生剤の点滴を受けております。
 これからは、元気に頑張ってまいりたいと思っておりますので、ど
 うぞ、よろしく! 
   
    

 

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