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ひよっこ社労士のヒナコ 水生大海

初めて読む著者の作品。純粋なお仕事小説で、取ってつけたような謎解き要素もなく、ひたすら「社労士」という仕事で日常的に発生するトラブルに悪戦苦闘する主人公を追う。社労士という仕事がどんな仕事で、どのような形で社会に貢献しているのか、そもそも社労士に関わる法律や制度がどうなっているのか、読み進めていく中で自然と知識として得られるのが嬉しい。裁量的労働などの用語や社会保険の基本的仕組みなどもトラブル事例のような形でわかりやすく頭の中に入ってくる。主人公は会社内部の被雇用者ではなく様々な企業から委託を受けてその会社の労務管理をサポートする立場という設定なので、企業に法令を遵守させるという専門家としての基本と顧客である企業の利益を両立させることに苦労する。まさにそこに社労士としての社会貢献があり矜持があるのだと強く感じた。既に続巻も出ているので次の展開が楽しみだ。(「ひよっこ社労士のヒナコ」 水生大海、文春文庫)
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