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デスゾーン 栗城史多のエベレスト劇場 河野啓

数年前にエベレストで遭難した登山家の軌跡を辿るノンフィクション。今年の本屋大賞ノンフィクション部門にノミネートされた作品。栗城史多という登山家については、NHKなどのTV番組で何度か見た記憶があり、無酸素単独で7大陸最高峰を制覇する直前に事故死したこと、アタック中の映像を自撮りしてライブ配信するのが特徴だったこと、無酸素単独というキャッチフレーズや無謀すぎる行動が色々非難されていたことなどは知っていた。本書にはそうした話以外に、怪しげな企業や占い師との関わり、単独無酸素というキャッチフレーズの実態など、故人にとってかなり不都合な話が赤裸々に描かれている。周囲の人たちが100%無謀で自殺行為だという行動をあえて行った本人の心の内は知る由もないが、本書を読んでいてネットという新しい媒体の怖さだけは間違いなく伝わってきた。(「デスゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」 河野啓、集英社)
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