goo

夜の小紋 乙川優三郎

それほど多く著者の本を読んだわけではないが、本書はこれまで読んだ作品と少し趣が違うような気がした。時代は確かに江戸時代なのだが、現代でも通用するような話が並んでいる。でてくる主人公が、中年に差し掛かって「陶芸」にはまる下級武士だったり、男性優位の社会でたくましく生きる女性だったり、夫に先立たれた老婦人であったりで、いずれも現代にいそうな人の話になっている。時代小説というのも、つまりは違う時代を描写しながら今を描いているのだという思いが強く感じられる本だった。(「夜の小紋」乙川優三郎、講談社文庫)
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )