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少年になり、本を買うのだ 桜庭一樹

上段に日記風のエッセイ、下段にそのエッセイで言及した本の紹介という構成なのだが、本の紹介の方が本文を凌駕するような充実ぶりで嬉しい。確かに2冊の本を同時に読んでいるようで最初は嬉しいのだが、本書をこれからの読書の参考にするという点に重きを置いて読む人間にとっては、これが結構厳しいということがだんだん判ってくる。面白い上段のエッセイを夢中になって読んでいると情報量の多い下段を読むのをつい忘れてしまうし、そうかといって下段ばかり読むわけにもいかない。結局、私の場合、本書を読むにあたって、上段用と下段用の2枚のしおりを使用することとなった。
 本を読んでいると、その作品の続編が読みたくなったり、同系統の本に興味を持ったりで、次に読む本のヒントになることも多い。本書の場合は、本書に登場し、次に読みたくなった本にマーカーで印を付けていったところ、そうした本が50冊近くになった。著者との読書傾向は、日本の本は比較的似ているのだが、海外文学の読書量が圧倒的に違う。そのため、ここで紹介されていて、読みたくなった海外文学の本だけでも30冊以上になってしまった。これからしばらくは、本書を読みながらできあがった「読みたい本」リストで随分楽しめそうだ。(「少年になり、本を買うのだ」桜庭一樹、東京創元社)
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