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アイルランドの薔薇 石持浅海

「このミステリーがすごい」の過去の受賞作や話題作がリバイバルで読まれているらしい。さらに、そうして注目された作者の別の本まで売れ行きを伸ばしているそうだ。岡島二人の「99%の誘拐」や志水辰夫の「行きずりの街」等がそれにあたる。本書もそうした流れのなかで本屋で平積みとなり、私も読んでみようかと思った本のうちの1冊である。処女作で舞台をアイルランドを選ぶということ自体すごいと思うが、その舞台設定がスリリングなストーリーにある種の重みを与えているところがさらにすごい。アイルランドに大学生の時に最初に旅行した時、イングランドからアイルランドに渡る港に近づく汽車のなかで、車窓から見える看板の文字が英語で無くなっていくのに驚いた。アイルランドはさらにその先にある。本書はそうした重みを感じる作品でもある。(「アイルランドの薔薇」石持浅海、光文社文庫)
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