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ブラック・ペアン1988 海堂尊

昨晩、楽しみにしていたテレビドラマ「医龍・part2」がいよいよ始まった。少し話を詰め込みすぎという感じだし、外資系の投資会社の女性がひき逃げに遭うというのはどう考えても余分な気がしたが、手術シーンのスピード感や緊張感は前作通りで、これからの展開が楽しみだ。ところで、おとといから読み始め、「医龍」のCMの時間にも寸暇を惜しんで読み、ドラマを見み終わってから残りを読んだのが本書。「チームバチスタの栄光」以来、とにかく本屋で新作を見つけたら無条件で買ってしまう作者の1冊。偶然のタイミングなのだが、映像で見た「医龍」と本書の内容がダブって、少し混乱してしまった。本書の奥付の作者紹介欄をみると、「現在も勤務医」とあり、作家業に専念しているわけではないようだが、読者としては嬉しいことに新刊がでるスピードが快調だ。しかも、いずれの本も本当に面白い。作者の作品の根底にあるのは、現代医療の現場で実際の医師にしか判らない問題点に対する訴求力の強さだと思う。単なるエンターテイメントでもなく、告発のためのノンフィクションでもなく、そのバランスが絶妙だと思う。今回のお話は、題名の通り1988年が舞台になっている。嬉しいことに、毎度おなじみの藤原看護師が婦長として、高階病院長が講師として登場する。さらに、田口医師までもが医学生としてほんの脇役として現れ、田口らしさ全開のコメントを残して退場する。こうした工夫は、作者としては大した工夫も要らずにできることだと思うが、読者としては、作者から他の作品も読んでくれていることへのプレゼントのような気がしてちょっと嬉しい。(「ブラック・ペアン1988」海堂尊、講談社)
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