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失望感に漂うことなく『多数決を疑う―社会的選択理論とは何か』

2015年11月13日 | 読書

本書の<多数決は本当に国民の意思を適切に反映しているのか?>との投げかけは、失望感漂う今の政治状況を端的に示している。沖縄の辺野古移設は別としても安保法制しかり、原発再稼働、つい最近の臨時国会非開催など、昨年12月の衆議院選挙で圧勝した安倍自民党の進めていることは本当に“国民の意思”なのだろうか。「はじめに」で<思想的な問題であると同時に技術的な問題>と書いてあるとおり、民主主義社会では当たり前のように用いられている“多数決”を見つめ直すと同時に、様々な代替案をも比較検討している。ルソーの著作『社会契約論』における投票の考察や「64%多数決ルール」など理解するのに時間がかかる文脈もあるが大いに不足知能を刺激される。小選挙区制のもとでの改憲条項における国民投票の可決ライン引き上げ提言も本書の流れから当然と言える。最後に書いている、人間がつくる社会制度は<まぼろしの鉄鎖に過ぎない>、<民主的と称される制度を、実質的に民主化していくこと>は容易ではないが、<現状を疑うことの大切さ>は持ち続けなければならない。

                

 


 



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