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『一分ノ一』ニッポンは何処へ?

2012年06月08日 | 読書

上巻から5カ月もかけて読み終えた下巻。米英中ソに分割占領された仮想ニッポンでの奇想天外・ユーモア・風刺たっぷりの物語が続く。なかでも心に留ったのは、サブーシャがニッポン統一の未来を語るシーンで「二発の原爆で未来の地獄を見た、列強にならって他人の国を軍靴で踏み荒らした、そういう対極を、つまり歴史的な罪と罰と悲しみを体験したニッポン人だからこそ、もの静かな賢人にもなれると思うのだが、どうだろうか(略)」との言葉だ。大震災・原発事故後のニッポンはどれだけ賢くなっているのだろうか、と考え込んでしまう。上下巻合わせて900ページの長編だったが実は3日間の出来事、それでいて結末は分からずじまい。なぜなら未完の遺作となったからだが、今を生きている我々に宿題を残したような気がする。

                 


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