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加齢シーナの思い出日記『続 失踪願望。』

2024年08月17日 | 読書

「失踪願望」というタイトルに惹かれて久しぶりにシーナこと筆者の本を手にする。『岳物語』などの小説よりも釣りキャンプや焚き火宴会のエッセイが面白おかしく何冊も読んだ以前。気の合う仲間と「怪しい探検隊」と称し、好奇心や探求心のままに日本各地の無人島や世界の秘境に出かける。抱腹絶倒の場面や嗅覚鋭く美食・美酒にありつく姿に羨望するばかりだった。あの強靭な体力、行動力を兼ね備えた筆者も気が付けば80歳、その最近を日記風に綴る。読み進めるごとに思わず納得する日常。人並みに病院や孫の話、体力の低下がそうさせるのか時には弱気な一面も。しかし変わらないのは数日おきの食べて飲み語らう会。酒量は減ったが、その雰囲気の心地よさは昔とそう変わらない。半世紀以上も前から続く交遊録の延長ともいえる内容は登場人物みんなが好人物。それゆえ加齢とともに必然的に増えてくる別れがつらい。筆者の“失踪願望”とは、そうした仲間を偲んで回顧のひとり旅を思い描いているような気がする。