東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

桜井由躬雄 編,『岩波講座東南アジア史 4 』、再び

2007-11-29 20:46:43 | 移動するモノ・ヒト・アイディア

東南アジア史学会関西支部での本書への批判への反批判が
www.l.u-tokyo.ac.jp/~yumio-s/japanese/article/counter_critic.html

うーむ。このレベルになると、もはや常人はちかよりがたし。
桃木至朗さんが、日本の大学教員で東南アジア史専門は70人ほど、といっているが、批判にせよ賞賛にせよ、きちんと読んで理解できる人は、この70人プラス予備軍、プラス周辺の歴史学関係者くらいだろう。
ひとりの読者としては、第4巻で19世紀の初めまでいっちゃっていいのか?という疑問もあるが、史料の量と研究者がいるかいないかという理由で、19世紀以降が中心となるのはやむをえないようだ。
18世紀がちゃんと一巻にまとめられたことで、わたしなんぞ満足しているのだが。
それにこの巻は、人の移動、権力の盛衰という、ある意味わかりやすいことがらを中心にするのだが、これに経済指標がからむと、もうシロウトには手に負えない。(第6巻が経済分析でレベルの高い研究がそろっているようだ。)

シリーズ全体の目次をながめ、上の関西支部の批評など読むと、通史が描かれるのは不可能であるようで、このような論文集にならざるをえないようだ。(総論部分をもっと長くすべきだった、という批判は、わたしももっともだと思う。)
東南アジアを一体の歴史世界と捉えることが可能か、意味があるか、という古くからある疑問(いちゃもん?)も提出されているが……。しかし、ヨーロッパ史や中国史だって、一体の歴史世界なのか?という疑問が提出されている現在、東南アジア史にそんなやっかいな設問を投げられてもなあ……という気がする


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