東南アジア・ヴァーチャル・トラヴェル

空想旅行、つまり、旅行記や探検記、フィールド・ワーカーの本、歴史本、その他いろいろの感想・紹介・書評です。

岩波講座 「帝国」日本の学知 第8巻 空間認識と世界認識 2006

2006-12-13 17:16:14 | 20世紀;日本からの人々
付録 文献解題

内田正雄・西村茂樹 纂輯 「興地誌略」,1870~77
内村鑑三 「地理学考」 1894
牧口常三郎 「人生地理学」 1903
和辻哲郎 「風土」 1935

柳田國男 「都市と農村」 1929
森谷克己 「アジア的生産様式論」 1937
ウィットフォーゲル(平野義太郎・宇佐美誠次郎 訳)「支那社会の科学的研究」 1939
R・W・ダレエ(黒田禮二 訳)「土と血」 1941
石川栄耀 「国土計画 生活圏の設計」 1942
江澤譲爾 「地政学概論」 1943
大塚久雄 「共同体の基礎理論」 1955

岡倉天心 「東洋の理想」(原文は英語) 1903
西田幾多郎 「日本文化の問題」 1940
田辺元 「種の論理の意味を明にす」 1937
田辺元 「国家的存在の論理」 1939
津田左右吉 「支那思想と日本」 1938
谷川徹三 「東洋と西洋」 1940
岩山岩男 「世界史の哲学」 1942
西谷啓治 「世界史の哲学」 1944
鈴木大拙 「東洋的な見方」 1963

伊波普猷 「古琉球」 1911
桑原隲蔵 「蒲寿庚の事蹟」 1923
藤田豊八 「東西交渉史の研究 南海篇」 1933
岩生成一 「南洋日本町の研究」 1940
信夫清三郎 「ラッフルズ」 1943
石田幹乃助 「南海に関する支那史料」 1945

伊東忠太 「法隆寺建築論」 1893
以下、建築に関する文献略す

以上、岩波文庫に収録されているような大古典から忘れられた著作まで、帝国日本の空間認識、世界認識を論じた書物(や論文)として解説。
(年代は初版の発行年、文字は必ずしも正確ではないが、めんどくさいので許してくれ)

ふ~む。
つまり、植民地を持つ帝国の知識人の成果として読める著作というわけか。
わたしは当然(当然と居直るな!)まったく読んでないが、わたしの読む本の参考文献として挙げられることが多い書物群である。
あ、まったく読んでないというのはウソだ。数冊読んでいるが、その書名を出してもしょうがないでしょう!!

タン・ロミ,『阿片の中国史』,新潮新書,2005

2006-12-13 10:08:46 | 移動するモノ・ヒト・アイディア
著者は東京生まれの中国国籍女性。名前は漢字だが、日本語フォントにない文字らしい。

タイトルどおり、19世紀20世紀の阿片をめぐる中国事情を概観した新書である。
あまりにも大きなテーマで、本書程度の分量では、輪郭をつかむのもむずかしい。
たとえば、阿片吸飲は東南アジア一帯にひろまったのだが、これも、なぜか(強権を発揮しなくとも)なくなってしまった。

ビルマ北部・タイ北部・雲南省・四川省・ラオス北部のケシ栽培の実態も複雑だし、流通の実態に関する本も(少なくともわたしは)適当な本がみつけられない。

第4章で、ブリテッシュ阿片交易商人を描いた小説が紹介されている。
有名なロビンソン物語の第二部『ロビンソン・クルーソーのその後の冒険』(平井正穂訳の岩波文庫でのみ入手可能、翻訳事情はめんどくさいから調べる気がしないが、この第2部の翻訳はほとんどないし、読まれていない。)
この場で、こういうことを書いても誰も信じてくれないだろうが、わたしは、この第2部を読んでいるし、ロビンソンが阿片を含むアジア海域貿易で儲けた商人だというのは知っていた。(ちなみに、第1部は奴隷貿易商人としてのロビンソンである。)
う~ん、悔しい、わたしのブログでロビンソン物語を紹介する前に、書かれてしまった!