昨日書いた
「ビールとおむつを売るために、御社は存在するのですか?」-ビッグデータの落とし穴
http://blog.goo.ne.jp/xmldtp/e/c97b9de7bcdb86a766d991c5844e887c
の最後のほうの話。
じつは、ビッグデータには問題があって(基本、販売データやCRM、SRM
ということに関係して)それを補完するデータが必要になる。
について。
■ビッグデータは、販売した顧客に対する行動データしか集めていない
マーケティングには態度データと行動データがある。
態度データとは、その人がそう思った感情のデータ、ある程度継続する。
好きとか嫌いとかが、それにあたる。
一方、行動データというのは、実際に購買した、しなかったという行動
のデータ。
好きだから買う、嫌いだから買わないのは当たり前だけど、
好きだけど買わない(お金がなかった)
嫌いだけど買った(それしかなかった)
というような場合もあるので、態度データと行動データは必ずしも一致しない
態度データは、アンケートなどで取得する。
アンケートは、人が答えるものなので、そんなにビッグなデータにならない。
(ビッグな態度データだと、収集するのに、相当なお金がかかるはず)
■マーケティング戦略には、販売してない人のデータが必要
戦術レベルであれば、購入顧客の行動データだけでも、販売戦略には
役だつ。しかし、マーケティング戦略を立てる場合、STPで行うとすると、
まず、マーケットを分割する(セグメンテーション)必要がある。
このとき、既存顧客だけでなく、新規顧客の属性データもないといけない。
新規顧客開拓は既存顧客より大変なのに、なぜ開拓しなければならないか?
これは、「既存顧客は減っていくから」。既存顧客は、死んだり、倒産したり
ほかにいったり・・・ということで減っていく。そこで、新しい顧客を開拓
しないと、会社は、いつかはジリ貧になる。そのために、新規顧客は大切。
そこで、新規顧客までを含めて、分析するとなると、自社データでは足りない。
いろいろな属性データがひつようになる。
地域的な特性とか・・・
となってくると、オープンデータが必要になる。
■顧客特性分析の為のパーソナルデータ
また、顧客特性を分析するには、
ビッグデータとパーソナルデータをつき合わせて分析することが必要になる。
パーソナルデータはビッグデータと分けて管理する必要がある。
個人情報なので、セキュリティや取り扱いが重要になる
(削除とか訂正ができるようにしなければいけない。
ビッグデータの場合、ログやセンサーデータなど、書き込まれたら読み出すこと中心のデータとは違う)
■新規顧客予測などとか・・・
既存顧客の予測であれば、ビッグデータで予測できる
しかし、新規顧客の行動データは取りえない。
買ってないから新規顧客なのだから・・
そうすると、既存データから、新規顧客がどのように行動するかを
シミュレーションしなければならない。
動的な数理モデルを作成し、微分方程式を解く方法もあるが、
数値を入れてといてしまう方法、
さらには、数理モデルではなく、アルゴリズム的に記述し、
マルチエージェントでとく方法、
情報処理2014年6月号 特集マルチエージェントシミュレーションの
和泉先生の記事「ビッグデータとエージェントシミュレーション」の
ステップCにあるような「過去データにない新しいエピソードの発見」
をするために、マルチエージェントを使う手法もある。
ということで、シミュレーションデータとその解析も必要になってくる
■まとめると・・・
マーケット戦略を立てる場合、
新規顧客もふくめた、市場セグメントの分析をしないといけない
これには、オープンデータが必要だし、
その市場の顧客の属性、状況を分析するには
ビッグデータのほかにパーソナルデータが必要となる
(ビッグデータにパーソナルデータを含めず、別管理する)
このとき、顧客の態度を知りたければ、
アンケートデータ
が必要だし、実際どうなるか予測するには
ビッグデータのほかにシミュレーションデータ
が必要になる
ということで、戦略までをふくめて考えるのであれば、
ビッグデータ、オープンデータ、パーソナルデータ+アンケート、シミュレーションデータ
が必要になる。
このうち、ビッグデータ、オープンデータ、パーソナルデータは
【富士通フォーラム】わが国のオープンデータ戦略について
http://blog.goo.ne.jp/xmldtp/e/c2dac74c7c0c16d93c8941c6da1ae577
にあるように、ICTのトレンドの3つのデータであり、
重なる部分が重要になってきている。