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水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

専門家

2015年05月07日 | 教育に関すること

 

  なにわ〈オーケストラル〉ウインズのメンバーは、プロの演奏家だ。
 なにわを仕切る丸谷先生は、今でこそ大阪音楽大学教授の肩書きも持つが、なにわウインズの結成当時は高校教員だった。吹奏楽経験者ではあっても、決して名門高校でばりばり活躍されてたわけではなく、音大出身でもなければ、音楽の先生でもない。淀川工業高校に奉職された時点では、たとえばこの私めと、吹奏楽素人度合いはそんなに大きくは違わなかったのではないか。まさか数十年後、ご自身が全日本吹奏楽連盟理事長になるというイメージはなかったのではないだろうか。あくまで予想ですが。
 それがいつしか、直接間接の教え子たちが音楽の道を志し、夢叶って一流の演奏家になり、そのメンバーが丸谷先生の指揮で演奏したいと願うようになり、それが現実のものとなる。
 OB・OGのかなりの数がプロになったという学校さんは他にもあるだろうが、このなにわウインズのような形で結実することは、希有の出来事だろう。
 プロオケで活躍するメンバーの集まりを、一高校教員が指揮をする … 。
 専門家とはなんだろうと思ってしまう。

 「部活動の顧問制度は絶対に違法だ」という刺激的なタイトルのブログをたまに読ませてもらう。
 おれのと比べてたまぁにしか更新されないのに、やたらたくさんのコメントが寄せられている。
 コメントのほとんどは、無知と思い込みと決めつけに基づく不毛な意見だが(いーけないんだ、いーけないんだ、悪口言っちゃ、いけないんだー)、中には考えさせられるものもある。
 教員になって六年目の若い中学校の先生が書かれているブログだ。
 「時間外労働を前提に行われる部活は制度として間違っている、あたしは今年部活顧問を拒否しました!」という、主旨としては極めてまっとうなことが書かれているが、予想通り反発される方も多い。
 「教員は高給取りで休み多いんだから、部活ぐらい文句言わずやれ」「時間外も働いて当然だ」とかね。

 「中途半端にやるくらいならいない方がいい」「専門外の種目に首を突っ込まれると、かえって困る」という顧問論は、なるほどと思った。
 すると「すべての部活動に都合良く専門の先生がつけるような、そんな教員配置ができるわけないだろ」というコメントがかえされる。
 まあ、当然だろう。
 たとえば中学校レベルだとでは、先生方が、ご自身の「専門」の部の顧問になる例って、どれくらいの比率なのだろう。
 もう一つ問題は、何をもって「専門」と言うかだ。
 その先生が、中学、高校と続けた自分の部活動は専門と言えるだろうか。
 自分的には、けっこうそれでは怪しいと思う。
 かりに吹奏楽で考えようか。
 6年間吹奏楽部でクラリネット吹いてました、でもほかの楽器のことはよく知りません … ていう人はいるに違いない。
 大学でもやりました、大学ではけっこうはまってしまい、学生指揮者を務めました … だと、かなり専門性が高くなる。
 音楽の先生ならどうだろう。たとえば声楽を専門に勉強してきて、音楽教諭として採用され、吹奏楽部を任された場合。
 こんなとき、「あたしは楽器は専門外なので、吹奏楽はもてません」なんて言う方がいらっしゃるという話を聞く。でも、おれからすれば、そういう方はばりばり専門家なんだよね。
 
 さらに目線をかえてみたい。
 教科の先生は、「専門家」かどうか。
 専門家だとしたら、いつそうなるのか。
 「中学、高校で6年間国語を学んできたので、教えられると思います」と自己紹介する先生がいたなら、みんなで「おいお~い」てつっこむと思う。
 しかし実体は、今書いた通りと思っていい。
 なぜなら … 。ふふ。おれがそうだったから。
 一つの教材を実際に教壇に立ってどう教えるか、という勉強を、大学で普通はしない。
 今は、するところもぼちぼち出てきているけど。
 これははっきりとした理由がある。
 教育学部の先生方の多くが、現場経験を持たないからだ。
 もちろん、大学で学ぶ文学、国語学、教材研究法などは専門科目とは言えるけど、直接「現場で教える人」としての専門性は担保しない。
 なんか話がひろがってしまったので、「続く」にします。

コメント
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