水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

山賊焼き

2014年10月31日 | 日々のあれこれ

 保護者懇親会のとき、ご兄弟で本校サックスパートのWさんが、松本市(私的)三大おいしいものの話にふれてくださった。

 先生、駅前に「こばやし」というお蕎麦やさん行ってことありますけど、そこのことですか。
 そうです、同じ系列です。本店はもう少しお城に近いところなんですけどね。より雰囲気がいいですよ。

 そばどころで知られる信州松本には、全国に名をとどろかす有名店がいくつもある。
 こばやしさんも老舗有名店だが、とんがってないし、えらそうでないので、実に落ち着けるのだ。
 以前、親戚のちびちゃんたちと行って、おそば以外のもあれこれ頼んだことがあって、その時食べた山賊焼きもおいしかった。鶏の唐揚げのことを松本ではこう称する。
 ふつうの唐揚げとの違いは何か、どうなったときに山賊焼きというのか、その定義はしらない。 
 形状的には、鶏ももの一枚肉を揚げてある点だろうが、絶対条件ではないような気もする。
 味は、それこそお店によって違うだろう。ふつうに鶏の唐揚げといってもお店によって味が異なると同じで。
 でもなんでかわるんだろ。鶏の唐揚げなんて、そんなに作り方に差があるわけではないはずなのに。
 自宅で作っても、まったく同じ味のものができることはない。
 同じ曲を同じメンバーで演奏しても、毎回異なる演奏になるのと同じことなのだろう。
 研究熱心な私は、山賊焼きらしい味を再現してみたい気持ちがやまず、研究開発を重ねた。
 現時点での結論はこうだ。
 ふつうに鶏唐揚げを作るように準備する。
 お酒、醤油、ショウガ … 。自分はニンニクはいれない方が多い。
 そこにお味噌を投入する。信州味噌ならなおいいのかもしれない。
 片栗粉をたっぷりめにつけて、からっと揚げられれば、ある不思議、これって山賊じゃね? と言えるぐらいになった。
 いつもはいない楽器が入ったときに、あれサウンドがちがう? ってなるくらいに。

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竜退治の騎士になる方法(3)

2014年10月28日 | 学年だよりなど

  学年だより「竜退治の騎士になる方法(3)」


 「いままで、どんだけ退治したんですか?」
 「騎士になってかれこれ20年経ってるからな。年に10頭としたら200頭は、いってるかな」
 「スリッパそろえるのは、どうなったん」
 「とにかく、おれはスリッパそろえ続けたんや。そしたら、だんだんスリッパそろえ直す数が減ってきた。ちゃんと次のもんが使えるように、そろえて脱ぐやつがでてきたわけや。しかし、あいかわらずめちゃくちゃに脱ぐやつは、めちゃくちゃに脱ぐ。おれは、考えるようになったんや」
 「なにを?」
 「脱ぎちらかしてあるスリッパを見ては、なんでこんな脱ぎかたするんやろ。ちゃんとそろえるやつを見ては、なんでそろえることができるんやろ、とな。そうこうしてるうちに林間学校は終わった。そのあともな、学校のトイレ、体育館の入り口のくつを全部そろえた。そして、それをはいてた人の気持ちを考えたりした」
 「人の気持ちになることと、竜退治と、どんな関係があるのん?」優樹がきく。
 「竜というものの存在が、ありとあらゆる邪悪な心で練りあげられている以上、ひとの心がわか らないまま竜ををみつけることができるだろうか!」
 「突然、大声だして、ごまかさんといて。ジェリーはほんまに竜退治の騎士なんか」
 「ほんまやで」
 「いっこ聞くけど、竜退治の騎士で食べていけるのん?」
 「あほか。竜はな、退治したら消えるねん。じぶんら、保健所から依頼されたねずみ退治かなんかと勘違いしてんのとちがうか。」
 「竜退治したって、月になんぼとかもらえるわけやないんやろ。よめさんや子ども、食べさせていけるん?」
 「きみにそんな心配してもらえるとは思わなんだ。おれはな、竜退治の騎士としては、だれからも一円ももろてない。そやけどな、人間、目的にむかってやってたら、食べていくんは、なんとでもなるもんや。」
 竜退治は仕事ではなく、生き方だとジェリーは言った。
 「竜退治の騎士が料理人であってもいいではないか。竜退治の騎士が大工であっても、運転手であっても … その人が竜を退治するかぎり、その人は竜退治の騎士ではないか。」
 「そらまあ、そうやけど … 」とつぶやいていると、
 「そっちか!」とジェリーは突然、まるで竜を見つけたかのように廊下に飛び出した。
 再び、もどってきたジェリーは、「あぶないから、教卓のかげにかくれろ」という。
 剣をふりまわすジェリー。なんか、ほんまに闘っているように見える … 。
 さすが、なんかの役者さんやな … とぼくが思った瞬間、近くの机がふっとんだ。
 ジェリーの楯が三分の一ほど、ちぎれてしまっている。
 マッチをすったようなにおい、こげたような、なまぐさいような臭いが強烈に鼻をつく。
 竜はほんとにいる … 。

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今日も応援

2014年10月27日 | 日々のあれこれ

 残念ながら、木更津総合高校さんに、0対3で惜敗しました。
 夢を見られたことに感謝するとともに、同じ教室、同じ校舎で学ぶ仲間たちから刺激を受けたことを大事にしたいと思います。
 ご声援ありがとうございました。


 あのお、フナッシーのおかしくださった方、誰さんでしたっけ?(_ _)

 

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保護者懇親会

2014年10月26日 | 日々のあれこれ

 テンポ良く進んだ試合は二時間強で終了、片付けをしてバスに乗り込み、出発したのは3時ごろだったろうか。帰りは首都高の渋滞がほとんどなく、2時間ぐらいで学校にもどれた。
 楽器をおろし、説明会用にセットされていた小講堂をもとにもどし、解散。もう少し早くもどれたら普通の練習もできたところだが、贅沢をいってはいけないか。
 6時からの吹奏楽部懇親会にも、少し遅れただけで参加できた。たくさんご参加いただいているばかりか、学年別の出し物も充実していて、いつ頃からこんな伝統ができたのだろう、他の部の保護者会ってこういうことはあるのだろうかと思う。
 運動部の顧問の話を聞くと、ひたすら飲んでるように聞くが、吹部についてはイベントもしくはパーティーとよぶべきもので、司会、余興、ダンスなど、それぞれ出てこられるお母様方が、ほぼ部活動での部員の姿と重なってしまう。 
 つまり踊りのうまい子も、弁の立つ子も、なるほど遺伝子要素が大きいのだなと納得する。
 一方的に楽しませていただくのはもうしわけないので、微力ながらギターをもって歌わせていただいたり、合唱していただいたりする。
 シンギングゲーム「森のきつつきさん」を久しぶりにやったが、これほどのパーティー鉄板ネタはなかなかないとあらためて思った。
 中学、高校のときに身につけたネタが、そのあと何十年も役に立ち続けるとは、その当時は思いもしない。
 人生何がどう役立つかわからない。
 今やっていること、今読んでる本、観た映画、出会った人、この先の人生でまたあらたな展開のもとになるかもしれない。
 野球部が強くなったので、去年は考えもしてなかった関東の応援とか行ってしまったり、そのせいで買っておいた芝居にはいけなかったりもするが、予定調和ではないからこそ、人生はおもしろいのだ。

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野球応援いってきました

2014年10月25日 | 日々のあれこれ

 本校野球部初の関東大会は、わが吹部にとっても、初の県外応援になる。
 昨日のうちに楽器をつみこみ、8時45分に出発、与野インターから高速に乗り、首都高、京葉道路、館山道路と乗り継いで3時間弱の工程で、市原なんとかパークに乗り込む。
 球場のすぐそばにバスを駐められて、移動しやすく、応援用の観客席もゆとりがあった。
 夏とちがい、一般のお客さんが少ないせいもあるのだが。
 スタンドのイスも新しいし、何より人工芝のグランドが実にきれいだ。
 気温もさわやか。この季節に、この球場で真剣勝負の試合ができるなんて、野球部の子たちはなんて幸せなのだろう。
 埼玉開催だと県営球場、市営球場になるのだろうが、ここまでわくわくする球場とは言えないのが残念だ。
 試合は、埼玉県大会の決勝戦よりも、のびのび闘っているように思えた。
 みごと5対0で勝利。
 ちなみにサッカーのスコアでいうと、2対0ぐらいかな。イメージ的にサッカーと野球のスコアの感覚って2.5倍ぐらいの比率でちがうかなとふと思った。
 野球の3対0がサッカーの1対0ぐらいで、1対0とか2対0はサッカーだと0対0PKな感じじゃないかな。
 今日、甲府商業さんの応援団は、朝何時に出てきたのだろう。
 応援リーダーを女子が務めてて、試合開始の時の向こうからエールにいきなりうるっときてしまった。
 さて、次は月曜に、千葉県の一位代表との試合になる。こんなことでもなければおそらく一生行かずに終わった千葉ロッテマリンスタジアムでの試合。
 調べてみたら、楽しそうなフードコートがあったりする … 。いかんいかん、まずしっかり応援。この勢いでもう一つ勝ち上がりたいものだ。

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竜退治の騎士になる方法(2)

2014年10月23日 | 学年だよりなど

  学年だより「竜退治の騎士になる方法(2)」

 では、この学校に竜がいるのだろうか。これから現れるのだろうか。
 そもそも竜って、どんなもんなん?
 ぼくの疑問に答え、ジェラルドは初めて竜を見たときの経験を語る。
 「竜はどぎつい緑色をしていて、馬ぐらいの大きさやった。」 「馬ぐらい?」
 「馬ぐらいやったらあかんのか」 「いや、あんまり大きないなあ、思て……。」
 これだから素人はあかんのや、という顔でジェリーが説明する。
 「君らは、竜とカマキリとどっちが気が荒いと思う?」 「そら、竜やろ」
 「そしたら、カマキリが馬ぐらいの大きさで目の前におったらどないや」 「そら、こわいわ」
 二人は、それをイメージしたとたん、竜の恐ろしさを理解した。
 ジェリーが小学校五年のとき、林間学校にでかけた先の山のなかで、はじめて竜を見た。 
 そして、その竜を、女の人がみごと退治したという。かっこよかった。
 そのときジェリーは、自分も竜退治の騎士になろうと決意する。
 「どうやったら竜退治の騎士になれるんですか?」と、幼き日のジェリーがその女の人に尋ねた。
 「とりあえず、きょうからできることを教えましょう。騎士になりたかったら、あなたが用をす ませてトイレから出るとき、スリッパをきちんとそろえるのです」
 はあ? そんなのが答えなのか。
 「トイレのスリッパをそろえることができれば、竜退治の騎士になれるんですか?」
 「本気でトイレのスリッパをそろえることができれば、そのことから、自分でつぎの課題をみつけることができるでしょう」
 見つけられなければ、竜退治の騎士にはなれないと、女騎士はいう。
 ジェリーの話を、なんやらキツネにだまされたような話やなあと、ふたりは聞いている。
 「きみらなら、どうする?」とふられたものの、答えはわからない。
 それで、ジェリーはスリッパそろえたんか?


 ~ 「それは思たよりむつかしい仕事やった。いや、スリッパをそろえるのはなんでもない。気になったんは人の目や。おれはな、たいがい、ええかげんなやつやったんや。勉強をまじめにやるわけではないし、走って速いわけでもない。 … そんなおれがやで、なんできゅうにトイレの スリッパそろえるわけ? だれも見てないときはええで。 … なんでおまえそんなことしてんねん。そういわれたらどうこたえる? それがいちばん気ぃつこた。」 ~


 「そういうときは、どうしたん?」と優樹が聞く


 ~ 「そやけどだれも、なんで、とはきいてこなんだ。ふしぎなことはそれだけやない。林間学校のキャンプ生活が、なんたらええ感じになってきたんや。ふんいきが、なんちゅうか、とげとげしてたり … わざとらしかったりしてたところがなくなって、ええ感じになってきてな … 」 (岡田淳『竜退治の騎士になる方法』偕成社)

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竜退治の騎士になる方法

2014年10月22日 | 学年だよりなど

  学年だより「竜退治の騎士になる方法」

 中間試験、お疲れ様でした! 高校で受ける定期考査の14分の13が終わった。センター試験までは、あと87日。カラータイマーが鳴り響くなか、残された時間を奇跡のときに変えるには、「竜退治の騎士」になるしかないかもしれない。

 忘れ物を取りに学校に戻ったぼく(津村康男)と優樹(井口優樹)は、自分の教室に見知らぬ男ががいることに気づいた。
「おっちゃん、何する人?」と優樹が訊ねると、「おれは、竜退治の騎士やねん」と答える。
 いっしゅん頭のおかしい人かと思うが、ああ学校公演の準備に来ている役者さんだと、ぼくはすぐに納得する。それにしても、立派な衣裳だ。
 ほんとうに中世からやってきた騎士かと思うほどの、重そうで古くさい衣裳にマントをはおり、腰の革ベルトには剣をつけ、手には楯を持っている。「なんや、ほんまの西洋人みたいですね」とぼくが言うと、「西洋人やで」とこたえる。じゃ名前は何というのかと詰め寄る。


 ~ 「 … 今ここで名前をゆうたら、きみら笑うと思うんや」
 「ぼくら、そんな失礼なことしません。なあ」
 うながされて優樹もうなづいた。でもぼくはもう笑いそうだった。
 「いや、きみら、ぜったいに笑うわ。」
 「ほんまは西洋人とちゃうから、そんなことゆうて、名前をいわんとこ思ってんのとちゃいま すか?」
  その人はため息をついたようにみえた。
 「わかった。ゆうたらええんやろ。」
 「なんちゅうんですか?」
 「 … ジェラルドゆうねん。」
 ぼくと優樹は爆笑した。 (岡田淳『竜退治の騎士になる方法』偕成社) ~


 「ジェラルド」と「ゆうねん」のミスマッチ感がたまらない。
 「なにがおかしいねん」と憤慨するジェラルドにぼくが答える。
 「関西弁と名前があわへんのちゃいますか?」と。
 「でも、ほんまに竜退治なんかしたことあるんですか?」「だいたい、竜ってどんなん?」


 ~ 「住むところがさまざまなら、姿かたちもさまざま。そしてその性格のわるさもさまざまなのだ。大都会に住む竜もいれば、農村に住む竜もいる。海辺の発電所にもいれば。駅前の地下街にもいる。学校、工場、商店街、そしてひとつの家庭に住む竜もいるわけだ。 … ありとあらゆる場所に、ありとあらゆる姿かたちの竜がひそみ、とぐろを巻いているのだ」~


 ジェラルドは、ろうろうと響き渡る声で答える。

 

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明治座

2014年10月21日 | 日々のあれこれ

 田舎の両親を明治座に連れて行ったことがある。
 孫の顔をみたい、東京見物したいというリクエストにお答えして、父がファンである島津亜矢の明治座公演にあわせて上京してもらった。何年前かな。
 川越で一泊し孫娘と遊んでもらい、翌日は、新河岸から有楽町線で市ヶ谷へ、都営線に乗り換えて浜町まで移動する。
 車で行こうかとも思ったが、浜町界隈は行ったことがなかったし、エレベーターやエスカレーターの設備も大丈夫なことを、ちゃんと予習してあった。
 コンサートを楽しんでもらい、終演後タクシーでその日とっておいた竹橋の宿まで移動して夕餉をともにし、翌日は自分達で帰るから大丈夫という両親を残し川越にもどった。
 電車のキップは実家に同居する弟が用意してくれていた。
 今回小渕優子さんのニュースを聞き、小渕さんは、自分の親だけでなく、地元の人たち数千人を東京に招待して明治座や都内の旅を楽しませていたのだ、なんてえらいのだろう、と全くの皮肉もなく思った。
 参加費12000円か。おれら兄弟は参加費はいただいてないよ。群馬からの交通費と明治座公演、お弁当やちょっとしたおみやげをつけたら、足は出るだろう。
 自分がこのツアーに参加したら、「優子ちゃんいつもありがとね」って言って、参加費とは別に少し包むぐらいはするだろう。
 そういう方は全然いなかったのだろうか。だとしたら、大人のマナーとして問題あるんじゃないかな。
 ちなみに、田舎の両親は、孫娘たちにがっつりお小遣いを渡していたことをおれは知っている。

 自分は、地元民への利益誘導こそが議員先生の仕事であると、小さいときから習ってきた。
 冠婚葬祭に花をそえてもらい、就職の世話をしてもらい、地域の顔「役」をしてもらい、それが共同体をささえてきた。
 力のある先生は、地元に仕事をもってきて、道路や線路をつくってくれる。
 ちなみに、森先生にいらっしゃる石川県と、その隣の福井県では、道が全然違う。石川県の、山間を走る片側二車線の真新しい道路を快適に走っていて、福井県に入ると一車線の、いつ舗装したの? という道路に変わる。
 これが我が国の現実だ。石川県の人は、口では悪口を言うけど、「まあ森のおやじのおかげやな」と思っている。
 群馬のおばちゃんたち、優子ちゃんを孤立させたらかわいそうだ。ちゃんと支えてあげないと。

 先日の朝日新聞の掲載拒否問題のとき、池上彰さんが引用した言葉がある。

 「あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この女に石を投げなさい」(新共同訳新約聖書「マタイによる福音書」)

 朝日新聞をここぞとばかりに非難している他のメディアに対して発せられた言葉だ。
 これを、小渕さんを批判する他の議員さんにあてはめたなら、石を投げられる人なんていないのではないか。
 いや、われわれだって、同じだろう。議員さんに求めているのは何なのか。何を根拠に投票しているのか。自分の目先の利益につながる人しか選んでないのではないか。
 選挙や議員さんとの関わりだけでなく、日々の暮らしのなかでも同じだ。人付き合い一つとっても、婚活や就活にしても、自分がおいしければいいと真っ先に考えがちな私達が、彼女に石を投げることはできない。

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秘技

2014年10月17日 | 大学入試

 人気マンガ作品には、魅力的な人物がたくさんいる。
 とくに「ジャンプ」の三大原則「努力、友情、勝利」がベースにある少年マンガを読んでると、「こういうヤツかっこいいよな」とか、「くうっ、このセリフ泣かせるぜ」とか思うことがよくある。
 自分の学校にこんな生徒がいたら楽しいぜ、あいつなんかこのキャラクターと同じだなどとも思ったりする。
 この子はナイスガイだな、勉強はそんなに好きではなさそうだが、この人柄なら、ぜひ指定校推薦でどこかの大学に推薦したいとも思う(無理矢理かな)。
 少年マンガの魅力的キャラを文章で説明してみると、実にいい推薦文書ができあがることに気づいた。
 「推薦書の書き方」数々あれど、この方法を発表した人はいないんじゃないだろうか。

 元ネタのなりそうなマンガといえば、今はなんといっても「ハイキュー」だ。wikiってみた。
 
 
 ~ 日向 翔陽(ひなた しょうよう)。烏野高校1年1組。背番号10。ポジションはミドルブロッカー 。身長162.8cm、体重51.9kg(高校1年4月現在)。6月21日生まれ。好物はたまごかけごはんで、最近の悩みは「ボールが片手で掴めない」小学校時代に偶然テレビで観た、春の高校バレー全国大会の烏野高校の試合をきっかけに「烏野高校のエース・小さな巨人」を目指してバレーを始める。雪ヶ丘中学に入学後バレー部に入部するが、 …  ~


 なんとくわしく説明してくれてるのだろう。
 しかし、雪ヶ丘中のバレー部は部員が日向ひとり。3年かけて助っ人をみつけ、入部した1年生もふくめて出場した初めての公式戦は惨敗。その時こっぴどい目にあわされた相手チームの影山と、高校で出会う。

 バレーボール選手でなくても小柄な日向だが、持ち前の高い身体能力と、何事にも物怖じせずに取り組むチャレンジ精神で、高校入学後はめきめきと力をつけ、相手ブロックが反応できない早さで打つスパイクを身につけた。
 性格は非常に素直で、何事に対しても一生懸命である。くせのある他校の選手ともすぐにうちとけるコミュニケーション能力があり、他校の部員からも「チビちゃん」とよばれかわいがられている。
 
 日向の魅力はやはり、コミックを読まないとわからない。
 本人そのものの魅力にまさる文章を書くには難しいということだ。
 少しでも魅力を伝えるためには、いかに具体的に書くかにつきるだろう。
 指定校推薦はいわば大学と高校との「出来レース」だから、文章でポイント稼いであげようなどという色気は必要ない(公募も本質は同じだけど)。
 いっぽうで、選考や競争のある推薦試験は、少しでも印象に残る文章を書いてあげたいと思うものだ。 
 どうすればいいか。それは「具体的」に書くことにつきる。
 指定校であれば「まじめに努力している、よくがんばっている」と丁寧に書いてあれば、問題ない。
 フレーズ集をほどよく使い、日本語としての形が整っていればいい。
 面接にたとえるなら、普通にスーツを着てネクタイをしめて、さわやかに自己紹介できればOKということだ。
 他の人より気の利いたことを言おう、受け答えでポイントを稼ぎたい、印象をよくしたいなら、中身も必要になる。
 「学習面では、すべての教科に努力した」だけでなく、どうがんばったかを書く。
 手帳に綿密に計画を立てて、チェックしながらとりくんでいた。わからないときはいつも質問にきた。3年になってからは始業の1時間以上前に登校し、勉強していた。高校に入るまでは英語が苦手だったが、ユメタンのキムタツ先生にあこがれ、セミナーにでかけてサインのもらって以来、勉強全体にやる気がでて東大目指して必死に取り組むようになった … 。

 マンガのキャラクターが、どんなエピソードの積み重ねでつくりあげられているかに気が付くと、いいお手本になる。
 なんといっても、「努力、友情、勝利」は、学校的価値観においては無条件に賞賛されるものだから。
 
 影山飛雄くん。本作のもう一人の主人公。烏野高校1年。
  全ポジションの中で最も多くボールに触れてゲームをコントロールするセッターというポジションに対して、強い誇りを持っている。あまりの能力の高さのせいで、中学校時代は孤立していたが、高校で日向と出会い、懐の大きな先輩達にも支えられて、チームの中心となっていく。

 バレー部主将の澤村大地くんについては、wikiの文章がけっこうそのまま使えそうだ。


 ~ 実直で温和な性格だが、本気で怒ると非常に怖い。部のことをまず第一に考えており、そのためなら無茶ともとれる判断を遠慮なく下すが、本気で部や部員のことを考えていることが伝わっているため、周囲の信頼は厚い。 … 中学時代もバレー部の主将を務めていて、弱小校という自覚を持ちながらも「勝とうとしなきゃ勝てない」と勝利への貪欲さを見せていた。 ~


 それにしても、スポーツマンガと言えば、「巨人の星」「明日のジョー」で育った世代だが、今「ハイキュー」を読みながら、マンガもずいぶんと進化をとげたものだと感慨深い。
 塚原選手(お父さん)の「月面宙返り」と、内村くんのすごいあれこれとの違いぐらいに発展してる。
 一番の違いは、すべての登場人物の作りこみの綿密さだと思う。

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エンプティからの闘い

2014年10月15日 | 学年だよりなど

  学年だより「エンプティからの闘い」

 だいぶガソリンが減ってるけどまだ大丈夫だろう、もう少しいける、そろそろ給油しないといけないが面倒だから明日にしよう … 、しまったエンプティランプ(給油警告灯)が点きっぱなしだ、でも急いで行かなければならない所がある、途中で給油しようか、やばい、こんな時に限ってガソリンスタンドが見つからない … 、というような経験が、車を運転する多くの人にある。
 ランプが点いた時点で、準備不足とは言えるのだ。
 ただ、物事というのは、そうそう予定どおりにすすんでいくものではない。
 エンプティランプが点くか点かないかぐらいの時点でほどよく給油しようと皆考えている。
 しかし気づくととぎりぎりになっているものだ。
 みんなの中には、高校に入学した時に、よし大学入試ではがんばろう、一矢報いてやろうという気概で高校生活をスタートさせた人もいることだろう。
 しかし、今はどうか。
 こんなはずじゃなかった、もう少し早めにがんばるつもりだった、自分で自分にあてがはずれたと感じている人も正直いると思う。
 人間というのは、通常、そう簡単には変わらない。
 高校入試で頑張りきれなかった人が、3年経ったというだけでガラっと人間性を変えるということあまりない。
 ただし、本質の部分はそんなに変わってはいなくても、気持ちの持ちようや、ちょっとした工夫で、いい方向へ向かっていくことはできる。
 仮に、ガラっと人間性を変えて、ものすごい努力を積んできたとしよう。
 それでも物事が思うように進んでいかないことは多々ある。
 大人になればもっとわかる。仕事では、予定通りにすすんでいく方がむしろまれだ。
 ずっとベストの状態で取り組めることなど、まずない。
 ランプが点いてしまった時はしょうがないのだ。
 予算が足りないとか、期間が短いとか、条件が悪いとか、文句を言ってても始まらない。
 想定していたことは裏切られるし、思わぬトラブルに見舞われる。
 からだをこわすこともあるし、人間関係に悩むこともある。
 予定というのは変わるのが前提で、気づくとどこかでエンプティランプは点いている。
 それでも走らないといけないし、走ってみるとけっこう行ける。
 もっと早く準備すればよかったとか、自分には能力が足りないとか、時間がないとか、先生の教え方が悪いとか言っててもしょうがないのだ。
 ランプが点いた状態で、ひやひやしながらクリアしていくところがまた楽しい。
 すべてが準備万端で、予定調和の人生よりも楽しいかもしれない。
 万が一ほんとにエンストしてしまったところで、命までとられることはない。
 エンプティからがほんとの闘いだ。カラータイマーが鳴ってる今がワクワクタイムだ。

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