水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

意思

2022年09月28日 | 学年だよりなど
2学年だより「意思」




 おいしく食べると栄養になる。ながら食べはただ太る。
 よしやろう思って勉強すると覚えられる。ダラダラやってると身につかない。
 ここを鍛えようと思ってバーベルと挙げると、きっちりそこが筋肉痛になる。漠然と回数だけこなしてもただ疲れるだけだ(№42でも同じことを書いた)。
 何事も、そこに自分の意思が介在しているかどうかで、結果は大きく変わる。
 意識といってもいい。脳をどう働かせているかと言い換えてもいい。
 偏差値35から東大受験を目指すも、二浪。崖っぷちの状態のなかで産み出した勉強法で、見事合格を果たした西岡壱誠氏は、現在、株式会社「カルぺ・ディエム(「今この瞬間を楽しむ」の意)」の代表として、様々な受験指導に携わっている。




~ 「お前には『意思』がない。お前は一体、何がしたい?」
 そう言われたのは確か、中学3年生になって初めての二者面談の時だった。中学2年生でこっぴどく怒られて、でも成績が改善されることもなく中学3年生に上がった僕は、「自由」という言葉を使う新しい担任に、自分の悩みを打ち明けた。
「この先生なら、怒らずに僕の話を聞いてくれるかもしれない」。ほんの少しのそんな期待を胸に、新任の先生に話をしてみたのだ。
「例えば試験でヤマでも張って、2、3個でも出題されそうな単語を暗記すればいい。どんな問題が出るか先生に聞きに行けばいい。本当に『テストでいい点が取りたい』だけなら、いくらでもやりようはある。やり方を知らないわけじゃないはずだ。やろうと思えば、いくらでもできる。それでもやらないのは、お前に『やりたいこと』がないからだ」
 確かにそんなものは自分にはない。やりたいことも、したいこともない。
「お前が勉強できないのは、お前の頭が悪いんじゃない。単にお前が、自分の人生を生きていないだけだよ」
      (西岡壱誠『それでも僕は東大に合格したかった』新潮社)~




 マンガ「ドラゴン桜」の監修も勤めた西岡氏だが、中学時代はまったく勉強しなかった。
 中高一貫校に入学したものの、このままでは高等部へ上がれないと言われる。
 そんな時に出会った担任の渋谷先生が、「お前には意思がない」と諭す。
 自分で自分を諦めていると。
 その通りだと、西岡少年は思った。
 自分は意思志がない、自由もない。このまま高校に上がれなくても、もうしょうがないのではないか、むしろお似合いかも……と。
 渋谷先生が粘り強く尋ねる。
 「お前は何がしたいんだ。もしくは、何がしたくないんだ。」
 したいでも、したくないでもいい、「何が」がなければ今の状態は変わらないと言う。

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「勉強本」(2)

2022年09月24日 | 学年だよりなど
2学年だより「勉強本」(2)




 「勉強は自由になるためにするものだ」――。
 逆にいうと、自由になるためには勉強しないといけない。
 大谷選手は、あんなにすごいのに、なぜ毎日練習するのか。
 もっと自由に投げ、自由に打ちたいからではないか。
 大谷選手に思いを寄せずとも、部活での自分をふりかえってみれば、容易に想像できるだろう。
 いいパスを通したい、飛距離を伸ばしたい、記録を向上させたい、上手に演奏したい、いい作品をつくりたい……。
 もっと自分を表現したい、力を発揮したいと思ったとき、自分のもっている「手段」に磨きをかけようとする。それが練習だ。
 自由に「何か」をするためには、練習しないといけない。
 自由になるためには努力をしなければならない。
 自由になるためには不自由な時間を過ごさねばならない。
 目先の自由、てっとばやく手に入りやすい「自由もどき」に目がくらみ、不自由の努力を怠ると、結果的には不自由のまま終わると言える。
 もちろん、どのレベルのものを自由とするのかは、人それぞれだ。
 現実的な話にしてみよう。
 大学はそんなに選り好みしない、来年の冬、その時点の自分の力で入れるところでいい、だから今は目の前の「自由」を選ぶ――という考え方はありうる。
 将来像を思い描いたとき、これこれの大学に行きたい、だから今はけっこう不自由だけどストイックに勉強する――という考え方もある。
 これは生き方の問題だから、どっちかが正解で、どっちかが不正解ということはない。
 そして、この現実問題を考えるうえで、大きな要素が一つある。
 勉強という努力、つまり今する「不自由」は、やった分と得られる分の差がかなり小さいということだ。いわゆる「努力のコスパ」がいい。
 やった、やらないの結果が、きわめて平等に、正当に評価される。
 他の分野に比べると、飛び抜けていい(大人になると、心から実感できる)。
 やれたという経験自体も、後の人生に役立つ。




~ 一見小さなことのように見える、テストの点数を5点、10点と上げることが「頑張れば努力が報われる」という経験の積み重ねになります。
 その経験によって「努力すればできる自分」を信じられるようになり、勉強という分野を超えて、自分のこれからの人生を支えてくれるようになると私は思っています。 (鈴木光『夢を叶えるための勉強法』KADOKAWA)~




 どんな人生を選ぶかを強制はできないが、勉強という努力を奨めたい気持ちは抑えられない。

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勉強本

2022年09月21日 | 学年だよりなど
2学年だより「勉強本」




 久しぶりに鈴木光さんの『夢を叶えるための勉強法』を繙(ひもと)き、その素晴らしさを再確認した。
 『東大生に書いた~』的タイトルの「勉強本」が、今たくさん出版されている。
 現役の大学生がこういう形で本を書いて出版することは、昔はなかった。
 そもそも「勉強のやり方」なるものは、公然と語るものではなかったからだ。
 足腰を鍛えるために兎跳びをしたり、練習中に水を飲めなかったりした時代の話だけど。
 運動も、勉強も、精神修養としてとらえられていた。
 好きなスポーツに時間を費やすこと、自分のために勉強すること――。
 これらは、誰もが気軽に取り組める機会を与えられるものではなかったからだろう。
 まして、勉強とは「蛍の光、窓の雪」のもとでするもの、薪を背負いながら学ぶものといった歴史をもつ日本人だから、「効率よく」とか「コスパのいいやり方」学ぶなどと口にしたら、ふざけるなと怒られたのだ。
 もちろん、昔の若者たちも、手っ取り早く勉強を終わらせるにはどうしたらいいかと考えていたにちがいない。しかし、いちおうは「四当五落(四時間睡眠なら合格、五時間寝たら受からないという意味)」と書いたハチマキを巻いてがんばったそぶりをするのが、正しいあり方だった。
 そういう状況に風穴を開けたのが、和田秀樹氏だ(今はお年寄り向けの本で儲けられている)。
 1980年代に出版された『受験は要領』では、「勉強には効率のよいやり方がある、その方法に則れば、才能の有無に関係なく東大にも合格する」とアジテートし、ベストセラーになる。
 とくに「数学は暗記だ」という方法論は、衝撃だった。
 効率よく勉強して難関大学に入り有名企業に就職できれば、そうでない場合とを比べて、生涯賃金が何億円も違う。そう考えると、毎日1時間よけいに勉強することは、時給何千円のアルバイトをしているのと同じだとも述べた。
 「神聖」なはずの勉強が、「ハウツー」の対象になったと世間は捉えた。
 しかし、氏の真意は異なる。たかが受験勉強で、青春の一時期をムダに暗いものにしなくていいと考えていたのだ。
 勉強ができないのはたんに方法論を知らないだけであり、人間的に卑下する必要などまったくないという励ましもこめられていた。




~ 受験勉強の環境を整えるというのは、アイドルのポスターをはがして、参考書をそろえることではない。いままでの生活で自分を縛っていた時間から自由になり、「自分」を最大限に活かす、
“自分だけの時間割”を手に入れることだ。(和田秀樹『新・受験は要領』KKロングセラーズ)~




 やみくもに努力や、精神論で勉強するのではなく、人生の貴重な時間の中での受験を見直してみようという主張がそこにある。
「勉強は自由になるためにするものだ」と

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語彙力アップ⑬ 隈研吾「存在としての建築」

2022年09月18日 | 国語のお勉強(評論)
語彙力アップ⑬ 隈研吾「存在としての建築」
 空欄に漢字・読み方・意味・対義語etcを記入しなさい


1 躊躇なく( ちゅうちょ なく)……( ためらわ ず)
2( 産物 )さんぶつ ≑ ( 所産 )しょさん……産み出されたもの
3 インターナショナリズム ……( 国際 )主義 ←→ ( ナショナリズム )国家主義
4 グローバリゼーション ……( 地球 )規模での拡大
5( 普遍 的)ふへんてき ……普く( あまね く)+遍く( あまね く)
6( 輪郭 )りんかく 
7( 整合 性)せいごうせい ……物事に( 矛盾 )がなく整っている
8( 表層 )ひょうそう……うわべ・表面 ←→ ( 深層 )
9( 豪華 )ごうか ……派手で華やか ←→( 質素 )
 ☆ 豪奢( ごうしゃ )……考えられないほど( 贅沢 )なこと
10 ハイテク ……最( 先端 )の科学技術 = ハイテクノロジー
11 エコロジー ……( 生態 学)的見地から自然と人間の( 共生 )を目指す考え 
12 ~を気取る…… ~のように見せようとする・~を( 装う )
13 施工( せこう )orしこう……工事を行う
 ☆ 施行( しこう )orせこう……実施する・( 法令 )の効力が発生する
14 テイスト……味わい・( 風味 )
15 コスト……何かをするために必要な( 費用 )
16 潜む( ひそ む)
17 哲学……①物事の根本( 原理 )を追究する学問 ②人生観・基本原理
     ☆ 哲い( さと い)・哲らか( あき らか)
18( 破壊 )はかい ←→( 建設 ) 
19( 多様性 )たようせい……英( ダイバーシティ )←→( 画一 性)
20( 対照 的)コントラスト ☆( 対象 )オブジェクト ( 対称 )シンメトリー
21( 腐食 )ふしょく……腐る( くさ る)+食=蝕む( むしば む)の置き換え
22 傷む( いた む)
23( 不気味 )ぶきみ……気味が悪い
24( 仮想 )かそう……英( バーチャル )←→( 現実 )リアル
25( 平然 )……何事もなかったかのように落ち着いて ←→ 愕然( がくぜん )
26( 表象 )ひょうしょう……形として知覚される象
27( 分裂 )ぶんれつ 分ける+裂ける( さ ける)
28( 景観 )けいかん……( 好ましい )景色・眺め
29( 捉 える)とらえる
30( 依然 として)いぜんとして ☆ 依る( よ る)・もとのまま
31( 傍観 者)ぼうかんしゃ ←→ ( 当事 者)
32( 浮遊 )ふゆう……浮かび( ただよう )こと
33( 不毛 )ふもう……①作物が育たない←→( 肥沃 )、②成果が得られない・無駄
34( 受容 )じゅよう……受け入れる
35 肥大( ひだい )←→ ( 萎縮 )いしゅく

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インプット→アウトプット(2)

2022年09月16日 | 学年だよりなど
2学年だより「インプット→アウトプット(2)」




 インプットの時間が長いと、やっている気分にはなれるが、成果はあがらない。
 アウトプットしてみて初めて、情報は知識として定着しようとする。
 もちろん必要な情報をインプットすることなく、アウトプットするのは時間のムダだ。
 3年生になってあわてて過去問からスタートして茫然とするタイプだ。
 授業を受けるという活動はインプット比率が高い。
 24時間以内になんらかの形でアウトプットしてみることが、学習内容定着の第一歩になる。
 授業内容をふまえて随時宿題を解いていくと、自然に両方が成立する。
 自分のやっている勉強をメタの視点で見直してみよう。
 インプットばかりしてないか、やみくもにアウトプットしてないか。
 元東大王の鈴木光さん(かわいい)も、こう言っている。




~ みなさんの中には、知識を完璧に覚えるまで一切問題を解かないという方がいらっしゃるでしょうか?
 あるいは、教えてもらったことを完全に理解して、100%覚えきるまで次のステップに移らない、という方も多くいらっしゃるかもしれません。
 私はこの方法だと勉強につまずきやすくなると思います。
 なぜならば、問題が解けるようになるまでに必要以上に時間がかかってしまうし、インプットの精度自体も低くなり間違いやすくなると実感しているからです。
 インプットとアウトプットは交互に、あるいは同時並行でやっていきましょう。
 インプットはアウトプットの質を高めることに役立つし、その逆も然りということです。ものを覚えるためには、問題を解くことで初めてスタートラインに立つことができます。
 問題を解けば、覚えたことが正しかったのか確認でき、それを活用する能力が身につきます。また解くために必要な知識が足りないと気付くことで、インプットしきれていなかった場所を見つけられ、そこを埋めることにより精度が高まります。
 つまり完壁なインプットをすることにこだわる必要は全くないのです。
 最初は精度の低いインプットで十分ですし、同時に勇気をもってたくさんアウトプットをすればいいのです。
 そうすることでどんどんインプットの精度が高まります。結果、短期間で正確な物事の記憶ができ、短い時間でたくさんの問題が解けるようになるのです。 (鈴木光『夢を叶えるための勉強法』KADOKAWA) ~




 漠然と勉強するのではなく、自分はいま何をやっているのかを意識することだ。
 いま自分がやっているのは、インプットなのか、アウトプットなのか。
 限られた時間内で成長していくには、やり方そのものにも頭を使わないといけない。


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インプット→アウトプット

2022年09月14日 | 学年だよりなど
2学年だより「インプット→アウトプット」




 自分では勉強しているつもりで、実際にけっこうな時間をかけていて、それでいて思ったほど成績が伸びない場合はある。その原因は何か。
 あまりにも普通の答えだが、「量の不足」と「やり方の間違い」だ。
 勉強の成果は、「量×方法×気持ち」と考えると、わかりやすい。
 まず「量」が足りない人は、根本的にどうにもならない(これに該当する人が一番多いのも、事実だ)。
 ある程度の量をこなさないと、勉強の質は上がらない。
 どんなに素晴らしい勉強法を知っていても、そのやり方でやっている時間が短かったら、身につかないからだ。
 「量」が足りていてると仮定したうえでの「やり方」の問題として、「勉強のメタ化ができているかどうか」がある。
 聞き慣れない言葉かもしれないが、「メタ」とは、「超えている~」「一段上の~」を意味する。
 メタ認知、メタ言語、メタフィクション、メタファー、メタメッセージ……など、基本的に名詞を修飾し、「その名詞を超えたなんとか」の意味になる。
 今はやりの「メタバース」も、メタ(超)とユニバース(宇宙)とを組み合わせた言葉だ。
 「勉強のメタ化」とは、いま自分が何をやってるかが客観的にわかっていることを言う。
 「メタ自分になる」と言うべきかもしれない。
 難しいことではない。たとえば筋トレ。腕を太くしようとしてアームカールをする。
 上腕二頭筋を見ながら、自分はここを鍛えている、ここに効いてる! と思いながら腕を曲げればいい。漠然とやっているのと、効果がまったく変わる。
 たとえば食事。「この素材でできたこの料理、おいしいなあ」と思いながら食べると、栄養となり、幸福感も味わえる。スマホやテレビを見ながらだらだら食べていると、カロリーだけの摂取になるばかりか、食べ過ぎる。
 大体みなさんは部活で、「いま何の練習してるのか考えながらやれ!」ときびしく言われているではないか。
 ひとつひとつの練習の意味を理解し、反省し、改善するといったプロセスなしに、成長するアスリートはいない。
 部活でノートを書くのは、言葉にしにくいものを、なんとか言葉化していく作業によって、メタの視点を手に入れるためだ。
 勉強も同じだ。
 自分がいま何をやっているのか、いましている作業は何のためかを意識しないといけない。
 英単語を覚えている時に、「今自分は情報をインプットしている」という意識をもつ。
 数学の問題を解いている時に、「今自分は知識をアウトプットしている」という意識をもつ。
 なんとなく単語集を見ているだけの時間は、「ながら食べ」と同じで栄養になっていかない。

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コンクール西関東大会

2022年09月10日 | 日々のあれこれ
西関東吹奏楽コンクール 高校B部門
9月11日(日)13番 14:39演奏 
新潟市民芸術文化会館(りゅーとぴあ)

銀賞をいただきました!
会場で、配信で、心で、たくさんの応援ありがとうございました!!

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運動脳(2)

2022年09月09日 | 学年だよりなど
2学年だより「運動脳(2)」




 たとえば来年の6月、こんなシーンを迎える人がいるかもしれない。
 最後のインターハイ予選。二年半の鍛錬のかいあって、見事決勝まで勝ち上がることができた。
 あと一勝で、インターハイ出場が決まる。
 過去に一度も勝ったことがない強敵が、待ち迎える。
 さあ、まもなく試合開始だ。やってやるぞ! 気持ちをこめてコートに足を踏み入れる。
 先に整列していた相手チームの、屈強な姿が目に入る。
 胸が高まる、心臓がバクバクいいはじめる、顔があつい、呼吸もはやくなってきた……。
 この時、脳内ではアドレナリンが分泌される。心臓の動きをはやめ、血流を上げる。
 同時にコルチゾールが分泌され、血液中のコルチゾール濃度が一気にあがる。
 このシステムは、何百万年も受け継がれてきた、生物としての脳の反応だ。
 その昔、わたしたち人類は(話が大きくなったけど)、日常的に生命の危機に瀕していた。
 突如おそってくる自然災害はもとより、振り返ると猛獣がそこにいたかもしれない。
 危険を感じた瞬間に、戦うか逃げるかを判断しなければならない。
 恐怖を感じた瞬間に起きる、脳内のこのシステムを「闘争or逃走」反応とよぶのはそのためだ。
 しかし、強そうな敵のチームに対峙したとき、やるべきことは相手に襲いかかることではない。
 私たちは、毎日いろんなストレスを感じている。
 アドレナリンを分泌し、コルチゾール濃度をあげる。でも、それは、過剰なのだ。
 そんなに毎日、闘争or逃走の準備をする必要はない。
 だから、ストレスホルモンを過剰にではなく、ほどよく分泌するような身体であればいい。




~ ここで、いよいよ運動の出番だ。あなたがランニング、あるいはサイクリングなどの運動をすると、それを続けている間はコルチゾールの分泌量が増える。なぜなら肉体に負荷がかかる活動は一種のストレスだからだ。
 しかし運動が終われば、身体はもうストレス反応を必要としないので、コルチゾールの分泌量は減り、さらにランニングを始める前のレベルにまで下がっていく。ランニングを習慣づけると、走っているときのコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、走り終えたときに下がる量は逆に増えていく。
 定期的に運動を続けていると、運動以外のことが原因のストレスを抱えているときでも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなっていく。運動によるものでも仕事に関わるものでも、ストレスに対する反応は、身体が運動によって鍛えられるにしたがって徐々に抑えられていくのだ。 (A.ハンセン『運動脳』サンマーク出版)~




 運動することで、ストレスに対して過剰反応しない身体ができるということだ。
 もちろん、強度の高い運動は必要ない。回数も週2回レベルでいいという。

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運動脳

2022年09月05日 | 学年だよりなど
2学年だより「運動脳」




 みなさんの知り合いにいたかもしれないが、たとえば都内に住んでて本気で中学受験をする子は、小4で既に塾中心の生活みたいになる(もっと早い子もいるくらいだ)。
 中3で高校入試の勉強を始めた人より、6年も前から塾通いを続けているのだ。
 そうして名門の中高一貫校に入ったからといって、全員が東大や医学部に受かるわけではない。
 統計によると、小4からSAPIXで学んだ生徒さんの、大学入試結果の平均値はMARCHレベルになるという。
 そんなに早くから塾漬けになってMARCHなら、高校2年まで部活漬けになってて、その後で普通にMARCHに入っていったみなさんの先輩達の方が、人生の選択的に悪くないような気がする。
 もちろんいろんな価値観があるだろうが。
 もしかしたら、小さい頃から勉強している子は勉強し過ぎなのではないかとも思える。
 むしろ適度に体を動かした方が、結果も違ったかもしれない。
 勉強以外のこと、とくに運動が脳を活性化させることについては、前々から指摘があった。
 近年の研究では、それはもう科学的に証明されているようだ。




~ 脳の可塑性の研究においては、身体を活発に動かすことほどに脳を変えられる、つまり神経回路に変化を与えられるものはないことがわかっている。しかも、その活動を特別に長く続ける必要はないという。じつをいえば、20分から30分ほどで充分に効果がある。
 ランニングによって脳を変えるメカニズムには、GABA(ギャバ、ガンマアミノ酪酸)と呼ばれるアミノ酸が関係している。
 GABAは脳内の活動を抑制して変化が起こらないようにする、いわば「ブレーキ」の役目を担っている。しかし身体を活発に動かすと、そのブレーキが弱まる。運動によって、GABAの脳を変えまいとする作用が取り除かれるのだ。そうなると脳は柔軟になり、再編成しやすくなる。
 脳を「固まらない粘土」と考えるなら、GABAのブレーキ作用が抑えられることで、粘土がより軟らかく、成形しやすくなるということだ。運動を習慣にしていれば、あなたの脳は「子どもの脳」に近くなっていくのである。  (アンデシュ・ハンセン『運動脳』サンマーク出版) ~




 脳は全体の10%しか使われていない、脳神経は20歳ころまでに完成し後は衰えるだけ、脳神経細胞の多い人が頭のいい人……、などと昔から言われていたが、近年の研究に基づくと、それらはほぼほぼ間違いであるようだ。
 形を変えられることを可塑性という。80歳の人でも脳の可塑性は失われない。
 ただし変わり方の度合いは、人それぞれの生活習慣にによって大きな差が生まれる。
 脳はコンピューターにたとえられるが、スペックが常時一定のPCとは異なり、たえず変化し続ける脳内は、むしろ複雑な生態系だ。 今日の脳と昨日の脳は同じではない。

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