3学年だより「ストーリー・オブ・マイライフ」
現在公開中の『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』は、副題のとおり、オルコットの名作『若草物語(原題 Little Women)』が映画化された作品だ。
19世紀後半、アメリカ北東部に住むマーチ一家の四姉妹が、ときに喧嘩したり反発し合ったりしながらも、お互いを大切に思い合い、女性として成長していく姿が描かれる。
絶世の美女や悲劇のヒロインが登場するわけでもなく、貴族社会のどろどろした世界を描いたものでもない、田舎の普通の女の子がそれぞれの幸せをつかもうとする姿が、世界中の、おそらく女子たちの共感を生んだ。
父親は南北戦争に従軍しずっと家をあけたままだが、四姉妹は「人にやさしくし、自分の役割を果たし美しいレディになりなさい」という父の教えを守ろうとしている。
母親もボランティア精神にあふれ、近所のまずしい家に自分たちの家の食べ物を届けにいったり、戦争で負傷した人たちの支援施設で働いたりする。
おしとやかで、結婚して暖かい家庭をつくることを夢見る長女のメグ。
人なつっこく、お金持ちの伯母にかわいがられる末っ子のエイミー。
繊細でピアノがうまく、しかし病気で早逝する三女のベス。
作家になる夢を持つ次女ジョーは、「女の幸せは結婚、子どもをもうけ家庭を守るのが女の役割」という当時の考え方に納得がいかなかった。かといって経済的に自立できるほどの仕事が当時あるはずもなく、文章を書くことで身を立てたいと願っていたのだ。
~ ジョー・マーチが走る姿は、本当の幸福を追求する女性のシンボルだ。結婚やロマンスだけではない何かを求め、女性たちの連帯に安らぎを感じ、生きる喜びを体いっぱいに受け止めて、懸命に自分の足で立とうとする。自分たちの物語を、自分たちにしかできない方法で語ろうとする。19世紀でも、現代でもそれは変わらない。名作『若草物語』はガーウィグの手によって、作者だけでなく今を生きる女性たちにとっての“わたしの物語”となった。 (山崎まどか「ジョー・マーチの疾走が示唆しているもの」) ~
自分の書いた文章が認められて雑誌に載り、ニューヨークでアルバイトをしながら文筆家を目指すジョーだったが、「ベスの具合が悪い、帰ってきてほしい」との手紙がくる。
物語は、ジョーが自分たちの少女時代を回想する視点で描かれていく。
「中世がなく近代からスタートしたのがアメリカ」と言われる。しかし今考えるような女性の人権は存在しない。人種差別にいたっては、やっと奴隷解放宣言が出たばかりの時代だ。移民がどう扱われていたかも示唆されている。当時のアメリカ人の、ヨーロッパ文化に対する強烈な憧れも描かれる。近代が現代に変わろうとする一時代の空気感が実感として伝わってくる作品だ。まちがいなく世界史の勉強になるだろう。
何より、エマ・ワトソンさん達のきれいで聞きやすい英語を2時間強リスニングできる。
受験勉強の一環としても、こんなにコスパのいい作品はなかなかない。ぜひ劇場へどうぞ!
現在公開中の『ストーリー・オブ・マイ・ライフ わたしの若草物語』は、副題のとおり、オルコットの名作『若草物語(原題 Little Women)』が映画化された作品だ。
19世紀後半、アメリカ北東部に住むマーチ一家の四姉妹が、ときに喧嘩したり反発し合ったりしながらも、お互いを大切に思い合い、女性として成長していく姿が描かれる。
絶世の美女や悲劇のヒロインが登場するわけでもなく、貴族社会のどろどろした世界を描いたものでもない、田舎の普通の女の子がそれぞれの幸せをつかもうとする姿が、世界中の、おそらく女子たちの共感を生んだ。
父親は南北戦争に従軍しずっと家をあけたままだが、四姉妹は「人にやさしくし、自分の役割を果たし美しいレディになりなさい」という父の教えを守ろうとしている。
母親もボランティア精神にあふれ、近所のまずしい家に自分たちの家の食べ物を届けにいったり、戦争で負傷した人たちの支援施設で働いたりする。
おしとやかで、結婚して暖かい家庭をつくることを夢見る長女のメグ。
人なつっこく、お金持ちの伯母にかわいがられる末っ子のエイミー。
繊細でピアノがうまく、しかし病気で早逝する三女のベス。
作家になる夢を持つ次女ジョーは、「女の幸せは結婚、子どもをもうけ家庭を守るのが女の役割」という当時の考え方に納得がいかなかった。かといって経済的に自立できるほどの仕事が当時あるはずもなく、文章を書くことで身を立てたいと願っていたのだ。
~ ジョー・マーチが走る姿は、本当の幸福を追求する女性のシンボルだ。結婚やロマンスだけではない何かを求め、女性たちの連帯に安らぎを感じ、生きる喜びを体いっぱいに受け止めて、懸命に自分の足で立とうとする。自分たちの物語を、自分たちにしかできない方法で語ろうとする。19世紀でも、現代でもそれは変わらない。名作『若草物語』はガーウィグの手によって、作者だけでなく今を生きる女性たちにとっての“わたしの物語”となった。 (山崎まどか「ジョー・マーチの疾走が示唆しているもの」) ~
自分の書いた文章が認められて雑誌に載り、ニューヨークでアルバイトをしながら文筆家を目指すジョーだったが、「ベスの具合が悪い、帰ってきてほしい」との手紙がくる。
物語は、ジョーが自分たちの少女時代を回想する視点で描かれていく。
「中世がなく近代からスタートしたのがアメリカ」と言われる。しかし今考えるような女性の人権は存在しない。人種差別にいたっては、やっと奴隷解放宣言が出たばかりの時代だ。移民がどう扱われていたかも示唆されている。当時のアメリカ人の、ヨーロッパ文化に対する強烈な憧れも描かれる。近代が現代に変わろうとする一時代の空気感が実感として伝わってくる作品だ。まちがいなく世界史の勉強になるだろう。
何より、エマ・ワトソンさん達のきれいで聞きやすい英語を2時間強リスニングできる。
受験勉強の一環としても、こんなにコスパのいい作品はなかなかない。ぜひ劇場へどうぞ!