先日の説明会に続き、本日は授業のあと中学校訪問に出かける。
営業シーズンにはちゃんと季節がよくなってくれるのがありがたい。
車移動中はふだんなかなか聴けない「ごごもんず」をかけていくが、今回は秘密兵器がある。
古今亭志ん朝師匠のCDだ。未発表音源をまとめたCDのセットが、発売時2万5千円してて躊躇してたのだが、しばらく前にamazonに1万8千円で出品されているのを見て、クリックした。12枚組のうち4枚だけすぐに聴いて我慢してあった。
最初にかけたのは「幾代餅」。これは生で聴いたことがある。
こっちに出てきてわりと早い時期に戸田市文化会館で志ん朝・枝雀ふたり会があったのだ。
今思うとすごいな、この二人会は。枝雀師匠の「壺算」もさすがだったが、やはり志ん朝を初めて生で聴けたという興奮につつまれた。
お二人とも、もう少しだけでも長生きされていたら、落語の様子も変わっただろうに。
CDのケースに書いてある録音年代を見ると、どうも自分が聞いたときと時期が近い。
吉原の傾城(城を傾けるほどの遊女)幾代太夫の錦絵(ブロマイド)を見て恋わずらいに罹った若い職人が、お金を貯めて吉原に行き、太夫と一夜を過ごすというお話。
太夫とは遊女の中では最も格上の存在で、本当なら大名クラスの客でないと相手をしてもらえないのだ。
たまたま運良く部屋に通してもらい会うことができ、職人の一途な思いに真実をみた太夫が、「年季が明けたら、あんたはんの女房はんにしてくんなまし」と言う。
これが泣けるのです。
同種のネタとしては、紺屋の職人が高尾太夫にほれる、という設定の「紺屋高尾」があり、こちらの方が演じられる機会が多いかな。
CDも何種類か出ていて、志の輔師匠のそれは聞きやすいし完成度が高い。生だと、国立劇場大ホールで聞いた小朝師匠のはよかったなあ。
でも、自分的には「幾代餅」だ。何十年ぶりかで志ん朝師匠の「幾代餅」を聞きながら、まさかこんなにとことん埼玉県民になると思ってなかった時代も思い出されて、爆笑しながら号泣していた。中学校の門を叩く前にほどよくテンションを上げるにはよかった。