水持先生の顧問日誌

我が部の顧問、水持先生による日誌です。

1億円を稼ぐ(3)

2023年03月30日 | 学年だよりなど
2学年だより「1億円を稼ぐ(3)」




 「楽に稼ぎたい」と普通の人は考える。ふつう「楽に」は稼げないとわかっていながらも、少しでも楽できたらいいと思う。だからこそ「コスパ」という考え方が生まれもするし、だからこそ「工夫」も生まれる。楽したいという考え方は、決してダメなものではないのだ。




~月日を経れば経るほど、忘れた頃に雪だるま式になって還ってくる。
 だから、お金というブーメランを、どう投げるかが重要になる。
 今は“ラクに儲かる話”に見えても、いづれ必ずそれは巧妙な詐欺だったと気づく時がくる。
 今は“しんどくて儲からない話”に見えても、
 「あれが自分の人生を飛躍させるきっかけだった」と、いづれ気づく時がくる。
 私自身は、大学時代の読書体験を通じてこうしたお金の動きを予習していた。
 そして、サラリーマン時代に出会った長期的な成功者たちからも、
 以上のことを教わってきたため、忠実にそれに従い、今日まで生きてきた。
 “しんどくて儲からない話”こそ、真摯に耳を傾けて真剣に検討した。
 “ラクに儲かる話”を運んでくる相手に対する時は、
 最初から門前払いにするか、仮に会っても二度目に会うことはなかった。
       (千田拓哉『人生を変える、お金の使い方』Gakken)~




 「儲け話」がみなさんのもとに伝わることは、今はそれほどないだろう。
 勉強面では、いろんな情報が届けられているのではないだろうか。
 少しでも「楽に」偏差値をあげる方法、少ない努力でいい大学に受かる技、これさえやっておけば受験は大丈夫……みたいな話が。
 それらは、「楽に儲かる話」と本質は同じだ。詐欺的なものも当然まじっている。
 一日15分聞き流すだけで英語がペラペラになったりはしないのだ。
 もちろん、いろんなコツはある。勉強の正しいやり方も存在する。
 しかし「コツ」も「やり方」も、時間をかけなければ身に付かない。
 簡単には成果があがらないから、「しんどくて儲からない話」に似ている。
 それをやりきって初めて、自分に大きなものが還ってくる。
 自分への投資は、お金を時間に置き換えてみるといい。
 「よしこの一年で自分に1000万円投資しよう」と決意したら、「1000時間」投資してみる。
 一日にすればたかだた3時間弱だ。この程度の自己投資もできずに、夢を叶えよう、目標に近づこうなどというのはおこがましい。
 時間をかけてつくった「頭」は一生の財産になる。肉体も、みなさんの年代はみるみる変わる。トレーニングを怠ると衰えはするが、成熟の回路が形成されるから別のいれものになれる。
 明後日からの一年で、全く別の入れ物と中身をつくってしまおうではないか。
 明後日まで待つ必要さえないけれど。

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1億円を稼ぐ(2)

2023年03月26日 | 学年だよりなど
2学年だより「1億円を稼ぐ(2)」


 
 一億円が簡単に手に入ると思っている人はいないだろうが、数万円レベルだと、ひょっとするとその可能性もあるかも、ぐらいに考えてしまう
 それくらいの「幸運」なら、たまたま巡ってきてもいいのかも……、ぐらいに。
 そして「こんなふうにすれな楽に数万円稼げますよ」という話を、聞くだけ聞いてみようかと思う。みなさんも、大学生になれば、そういう話をいくらでも聞くことができるだろう。
 「ちょっと電話の相手をするだけ」「どこそこで受け取ってもらうだけ」というような勧誘を。
 サークルの先輩に誘われて参加してみたセミナーをきっかけに、投資の手伝いをしているつもりが、気がつくと違法なグループに入っている。
 「念のために」保険証のコピーをとられていたり、家族構成を知られていたりもするから、その時点で抜けるに抜けられなくなっている。
 「なんかヤバいかなセンサー」が働かない人は、本当に簡単に騙される時代だ。
 数万円を、いや数千円でも、簡単に稼ぐことはできない。いわんや、一億円をや。
 一億円稼ぐには、一億円を稼ぎだすための「投資」が必要だ。




~あなたがブーメランを上手に投げると、ちゃんとあなたの元に還ってくる。
 お金を使うということは、まさにそれと同じ行為だ。
 ブーメランとやや違うところは、次の点だ。
 お金は使い方の上手、下手に関係なく、
 絶対、必ず、100%の確立で、使った人の元に何らかの形で還ってくる。
 一時的に“損”をしているように見えても、それは一時的な感覚に過ぎない。 
 翌日か、翌週か、翌年か、10年後か、30年後か、50年後かはわからないが、
 必ず、ブーメランのように、あなたの元に「利益」として還ってくるのだ。
 しかも、お金を出して月日を経れば経るほど、
 忘れた頃に、雪だるま式になって利益が還ってくる。
 その一方で、一時的に“得”をしているように見えても、
 それは一時的な感覚に過ぎない。
 翌日か、翌週か、翌年か、10年後か、30年後か、50年後かはわからないが、
 必ず、ブーメランのように、あなたの元に「損失」として還ってくるのだ。
 しかも月日を経れば経るほど、忘れた頃に雪だるま式になって還ってくる。
 だから、お金というブーメランを、どう投げるかが重要になる。
        (千田拓哉『人生を変える、お金の使い方』Gakken)~




 みなさんは今、一億円の利益を得るためにまず3000万の設備投資をしよう、などということはできない。
 しかし、それに匹敵する「投資」が可能だ。
 それが勉強だ。部活だ。行事だ。知恵と身体とコミュ力への投資だ。

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第30回定期演奏会

2023年03月24日 | 日々のあれこれ
川越東高等学校吹奏楽部

第30回定期演奏会

日時 2023年3月24日(金)18:00~20:30

会場 ウエスタ川越 大ホール

曲目 ガリレオ衛星 ゴースト・トレイン たなばた

   レトロ ジュピター わたしのお気に入り スペイン 他

  たくさんのご来場、ほんとうにありがとうございました!!

  OBのみんなもありがとう! いろいろ助かりました(_ _)

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1億円を稼ぐ

2023年03月22日 | 学年だよりなど
2学年だより「1億円を稼ぐ」


 
 将来お金持ちになりたいですか? 一億円ほしいですか? 聞かれた瞬間に「なりたい!!」「ほしい!!」と即答できる人は間違いなくなれる。
 「そんなこと思いません」とか「お金より、好きなことが大事」という人の方が、みなさんの年代は多いかもしれない。それもいい。
 「やりたいことだけやれれば十分だ」という考え方は間違いではないのだが、好きなことをやるための費用は必要だし、そもそも生きていくための収入はいる。
 愛する人、守るべき人ができれば、なおさらそうだ。
 経済的余裕があれば、「好きなこと」をやれるレベルも変わる。
 「やりたいことをやる」のと「お金儲けをする」のとは、相反する事象ではない。
 将来「やりたいこと」をやれる可能性を高めるために、経済的に自立することはむしろ必要だ。
 自分で稼げる人間になるために大切なことは何か。
 「10代のうちはなんといっても受験勉強だ」と石井貴士氏は言う。




~ もちろん、受験をしないで生きていくという選択肢もあるとは思います。
 ですが、将来1億円を稼ぐための10代の過ごし方として、もっとも効率がいいのが、「受験をする」ということなのです。なぜかというと、大多数の日本人が高校受験をし、大学受験をするからです。「周囲の人と同じ経験をする」ことによって、あなたは将来、「周囲のニーズを掴(つか)む」ことができるようになります。あなたが将来会社を作ったとしたら、商品を買うのはどんなお客様でしょうか。働いてくれる社員はどういう人たちでしょうか。
 ほとんどが、受験を経験してきた人たちです。大多数と同じ経験をして、10代を過ごしたことで、その人たちから共感される商品を作ることができるようになっていくのです。
「受験勉強なんて嫌だ。社会の仕組みに逆らいたい」と思ったこともありましたが、結果として、10代に社会の仕組みに乗ったことで、その後の成功が訪れました。
 20代、30代になったら「みんなが就職するなんておかしい。社会の仕組みになんて乗りたくない」と、自分で会社を作るのは、アリです。10代は、社会の仕組みに、あえて乗る。20代、30代で、社会の仕組みから外れる。これが、将来1億円を稼いでいくための、成功法則なのです。 (石井貴士『1億円勉強法』かんき出版)~




 高校時代は受験に疑問を抱いていた石井氏も、実際に社会に出てみると、受験勉強を通して身につけたさまざまなことが、役立っているという。
 受験勉強でも、部活動でも、学校で学ぶことは、みなさんが思っている以上に、世の中に出てから相当直接的に役立つものなのだ。「学校の勉強は役に立たない」的なことを語る人もいるが、そういう人にダマされない力も、学校で身に付けたい。

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具体化

2023年03月20日 | 学年だよりなど
2学年だより「具体化」




 先日実施された「志望理由書の書き方説明会」を聞きながら、これは学年全員で聞くべきお話だったと考えていた。志望理由書に書くべきことを整理していく過程で、次のことが明確になる。
「自分の将来の目標、なぜそう思ったのか、今の自分はどんな存在か、今と未来をつなぐためにどの大学・学部・学科に進むべきか、どんな学生時代を過ごしたいか」
 さまざまな入試形態で(一般入試でも)求められる「志望理由書」や「自己推薦書」は、ここ最近とくに質の高いものが求められるようになってきた。
 毎年添削を担当するが、二、三回直して、気持ちが十分に伝わるものを書き上げられる人と、なかなか形にならない人とに分かれる。何が違うのか。
 漠然と「この大学に受かればいいな」程度の思いで書いていると、なかなか完成しない。
 文章自体の技術はそれほどでなくても、こんな勉強をしたいという思いが強い場合は、日本語的助言だけをすることで見違えるものに生まれ変わる。
 大学で何をやりたいかについて、具体的なイメージがどれくらいあるかの差だ。




~1 あなたが志望する学部・学科はどんなことを研究するところですか。
2 その学部・学科で扱うテーマに関連して、今、世界や日本で、どのような問題が起きていますか。
3 上で答えた問題の背景・原因には、どのような事情があると言われていますか。
4 志望する学部・学科の内容に関して、これまでにどんな本をこれまで読みましたか(または読む予定ですか)。これまでにどんな経験をしましたか(する予定ですか)。
5 その学部・学科で、研究したいことを、具体的に、人にわかるように説明してください。
6 あなたは将来、どんな職業につき、どんな仕事をしたいと考えていますか。
7 そういう職業につきたいと思い始めたのはいつごろですか。またそのきっかけは何ですか。
8 そのような自分の目標を実現するために、高校時代にどのようなことをしてきましたか。
9 あなたは、性格面でどのようないい点をもっていますか。どういう点がアピールできますか。
10 それを具体的に表すエピソードを書いてください。
11 あなたが志望する大学の教育理念はどういうものですか。
12 あなたが志望する大学の学部・学科に所属する大学の先生を誰か知っていますか。そして、その先生はどんな研究をしていますか。
13 あなたが志望する大学の特徴はなんですか。他大学とはどの点が違うと思っていますか。
14 あなたがその大学を志望する最も大きな理由はなんですか。
15 入学後、どんな学生生活を送りたいと考えていますか。 ~




 新年度は、これらの項目を全員に記入してもらう。
 推薦型入試を想定するしないに関係なく、上記の内容を意識できているかどうかが、勉強にモチベーションに大きく関係するからだ。

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立体的時間(3)

2023年03月16日 | 学年だよりなど
2学年だより「立体的時間(3)」




 どんなにすぐれた能力を持つ人でも、朝から晩まで、ずっとハイレベルなパフォーマンスをし続けることは不可能だ。
 朝起きて活動し続けていけば肉体は疲労する。身体としての脳ももちろん疲弊していき、その脳が生み出す「やる気」「気力」も、時間とともに減少していく。




~ 朝起きたときには夜のうちに充電していたおかげで、バッテリーは100パーセントですが、日中活動していると、それがだんだんと減ってきます。あまりにも減りすぎると途中で疲れて動けなくなってしまいます。20パーセント、10パーセントを切ると低電力消費モードとなり、いろんなパフォーマンスが下がってしまうのです。
 ですから、体力だけでなく、やる気などの心の力、すなわち気力も日々、目減りしていくことを頭に入れて、省エネで動けるようになるよう、日々の行動を見直すことも大切なのです。
 毎日の気力の絶対量は決まっているわけですから、自分の気力を無駄遣いしないことは、日々のパフォーマンスの質を維持することにもつながり、ひいては自分の時間を大事にすることにもなります。しかし、まったく気力を減らさないということは、生物としての人間である以上、無理な相談です。ですから、重要なのは1日のうち、気力の配分をよく考えて行動するということが大切になります。
 気力が必要なハードな仕事やクリエイティヴな作業は、朝起きてから気力がみなぎっていて、充電がたっぷりされている午前中の間に行うようにするとよいでしょう。
 そうした作業は昼過ぎくらいまでには終えて、気力が減り疲れも出てくる夕方や夜には、さして気力を必要としない、自動的に行えるルーティンワークのようなものを行うようにするとよいと思います。
 仕事で疲れて帰ってきた夜、気力はもうゼロに近くなっています。そんな状態で、また別のタスクをこなそうとしても、大体うまくいきません。充実した活動ができるのは、やはり朝起きて、体力も気力も充実した午前中の時間帯だということです。
            (勝間和代『勝間式タイムパフォーマンスを上げる習慣』宝島社)~




 一日の「気力配分」という考え方は、人生に敷衍できるのではないだろうか。
 みなさんは、いままさに人生の「起床後2~3時間」頃を過ごしていると考えられるからだ。
 みなさんの脳は、圧倒的情報量を機械的に処理していく能力にすぐれた脳から、思考力を発揮できる脳に変わろうとしている。同時に、身体的可塑性がきわめて高い時期を送っている。
 起床して数時間、午前中に該当する今から三十代(四十代かな?)は、やりたいことをやりたいだけやっても、対応できる。やりたくないことを無理強いされると脆い時期とも言える。
 今が、「人生の気力」というリソースを思い切り投入するべき時期ではないか。うらやましい。

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立体的時間(2)

2023年03月13日 | 学年だよりなど
2学年だより「立体的時間(2)」




 時間を立体的にとらえるために、「深さz」を設定する。zは脳の働き具合いだから、人によって異なる。そして自分のなかでも、一日の時間帯によって大きく変化する。
 頭がもっとも働くのは、なんといっても朝だ。




~ 朝起きてから2~3時間は、なぜ、「ゴールデン」と呼ばれるほど、素晴らしい時間帯なのでしょうか。まず、睡眠中に私たちの頭の中は整理整頓されます。夢によって、「前日の出来事」の記憶が整理整頓され、朝起きた直後の脳は、「片づけられて何も載っていないまっさらな机」のような状態になります。
 はじめは机の上に何も載っていなくても、仕事を進めるにつれて、書類や文房具が机の上にちらばりはじめます。これと同じことが脳内でも起きているのです。
 朝起きたときの脳の状態は、「何ものっていないまっさらな机」と同じ状態なので、広々と作業スペースを使えて、仕事の効率も抜群にはかどります。 ~




 個人的な感覚でも、たしかにそう思う。ふだんはだいたい偏差値42ぐらいで働いているが、月曜の朝なんかに突然偏差値20000ぐらいの自分を感じることがある。いい問題や答えがざくざく湧き出てくる。ただし、それはほんのわずかしか続かない。
 みなさんも、やたらひらめく時間帯の経験はあるのではないだろうか。
 自分の調子のいい時間帯を意識的につかみ、そこで何の勉強をするのか設定しておくことは、戦略として必要だ。時間がないと嘆く人ほど、朝のいい時間に、机の片付けとかしがちだ。通学時間帯にスマホを見るなど、人生レベルでの大きな損失と言えるだろう。




~ 起床後、2~3時間が、「脳のゴールデンタイム」です。しかし、朝7時に起きて身支度や朝食をすませて、8時に家を出て、9時に会社に到着する。とすれば、「脳のゴールデンタイム」は、1時間しか残っていないことになります。その1時間のうち、30分近くをメールやメッセージの返信に費やすとすれば、「脳のゴールデンタイム」はまったく有効活用できないまま終了となります。朝の30分は、夜の2時間に匹敵するのです。
 始業直後30分で何をするのか? あなたの仕事の中で最も重要なことをこの時間に持ってきましょう。この時間を上手に使うことによって、その日の仕事の終了時間が、1、2時間くらい短縮できる可能性もあります。集中力を要する重たい仕事を、ゴールデンタイムのうちに終わらせるのです。 (樺沢紫苑『神・時間術』大和書房)~




 「やる気」「気力」と言われる脳の働きも、一日にうちでは朝が一番満ちあふれている。
 実感とは違うかもしれないが、科学的にはそうらしい。そして、だんだんと減っていく。
 起床して13時間を超えると、脳内はほぼ「酩酊状態」に近いという。
 そういう時間帯は、ランニングでもした方が、よほど効率はいいのだ。

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立体的時間

2023年03月07日 | 学年だよりなど
2学年だより「立体的時間」




 「学年+2時間」の学習時間が必要ならば、みなさんは四月から5時間勉強しないといけない。
 A君は、毎日部活があり、最終の大宮バスで下校する。大宮駅から自宅まで45分かかるので、食事・入浴を45分ですませたとしても勉強開始は21時、そこから5時間勉強すると26時。朝6時に起床しないといけないから4時間睡眠……。これは本当に実行したら失敗するパターンだろう。
 部活を最後までやりきろうとしたら、平日5時間は不可能だ。
 だからといって「じゃあ、部活をやめるしかない」と発想する人も、おそらく成功するのは難しい。思考の仕方が幼なすぎるからだ。
 そもそも学校の先生に言われたことを、自分の頭で咀嚼することなく無邪気に受け入れること自体が子どもだ。「日常の問題を自分で論理的に考える」方向性をめざす共通テストの志向とも真逆だ。
 最低でも「平日5時間は無理だから、土日に多めにやろう」ぐらいの発想は必要だろう。
 たとえば学年末試験の後は、かりに部活が丸一日あったとしても、帰宅して5、6時間勉強することはたやすい。春休みにやりだめしておこうと思えば相当できる。
 寝だめはできないが、勉強はやった分だけ蓄積される。
 しかし現実には、3年になったら大変だという人ほど、授業のない時期にのんびりしているという例を、過去多くみてきた。
 「毎日」「自宅で」「自分の机で」「余裕で」5時間勉強できる人など、現役生にはそんなにはいないものだ。
 「自分の机でする勉強」のみが受験勉強ではない。これを「授業時間以外に自分でする勉強のすべて」を「自宅学習」と設定するだけでも、ずいぶん様相は変わってくる。
 A君の場合なら、バスの中、電車の中で暗記ものをやれば1時間ぐらい稼げる。
 登校後の時間や、昼休み、部活開始前などを積み重ねれば、さらに小一時間しぼり出せるのではないか。これらは、まとめるとスキマ時間の活用ということになるだろう。
 これ自体かなり有効な考え方だが、「スキマ」だけあって限界がある。
 わたしたちは、時間の使い方を可視化するとき、帯グラフや円グラフを書く。
 自分のスケジュールを見ながら、何時から何時までをもっと有効に使いたいとか、これ以上は難しいとか考えるが、これは縦x×横y(or半径×半径だっけ?)の面積的な時間の把握だ。
 ここに「深さ(「高さ」でもいいけど)」という三次元目を付加して考えてみよう。
 朝7時から8時の一時間(a)と、午後2時から3時の一時間(b)は、グラフの面積は同じだ。
 しかし、脳の働きという変数(z)をさらにかけ算してみると、aとbの値は大きく変わる。
 「深さz」を決めるのは、脳の働き具合いだからだ。
 偏差値70の人の一時間と30の人の一時間では、その中身が全然違いそうなことは予想できるだろう。実は、自分自身の中でも、時間帯によって70になったり30になったりするのだ。
 「x×y」の値はすべての人間に平等だが、zの値は無限に変わりうる。

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少女は卒業しない

2023年03月05日 | 学年だよりなど
2学年だより「少女は卒業しない」




 一昨日、体育館から退場していく卒業生を拍手で見送りながら、一年後に同じように(大講堂からかもしれない)歩き始めるみなさんのことをイメージしてみた。
 卒業生答辞で白石先輩が「3年はあっという間だった」と言っていたように、映画「少女は卒業しない」で答辞を読んだ山城まなみ(河合優実さん)も、そう言う。


~「この学校で過ごした三年間は本当にあっという間でした。ここではとても話し尽くせないほど、たくさん、本当に、いろんな事がありました。楽しかった事も、悲しかった事も、そのすべてが昨日のことの様に感じられます。」~


 入学して、ちゃんとした授業が始まるのかどうかわからなかったり、部活決定さえできなかったり、行事が中止になったりした今年の卒業生たちは、悶々とした日々もあっただろう。
 いざ卒業式を迎えるとなると、そんな日々もあっという間に思える。過ぎ去った日々は、卒業式に限らず、そう思えるのかもしれない。
 三年間、一瞬の迷いもなく、学業に運動にと励み続けることができたたと言い切れる人は、どれくらいいるだろう。




~ 何かを失ってはじめて、それが自分にとっていかに大切なものであったかを思い知るというのは人の常で、いまこれを手にしている〈おとな〉とされる人々の多くが、そんな経験をいくつもしてきたに違いないと思う。かくいう私もそのひとり。「待って(行かないで)」と声を発したとき、手を伸ばしたときにはもう遅い。そこには大切だとようやく気づくことのできたものの温もりと残り香だけがあって、あとは喪失と不在の事実を突きつけられるのみ。それとうまく折り合いをつけて生きていけるのが本当の〈おとな〉だというならば、果たしてそんな人はどれくらいいるのだろう。(折田侑駿「贈る言葉」『少女は卒業しない』パンフレットより)~




 後悔しない人はいない。
 世の中で大成功をおさめている人たちも、みんな苦労して、失敗して、後悔を重ねながらも、それを乗り越えてきた。
 苦労や葛藤があったからこそ、その後に成功を勝ち取ったというのが真実だと思う。
 だから、うまくいかなくて悶々とする日々は、むしろ高校生活の価値を高める。
 映画「少女は卒業しない」は、そんな思うようにならない日常の積み重ねを、たんたんと描く。
 何か毎日すっきりしないものを抱え込み、悩み、苦しみ、時に言い合いをし、気まずくなったりして、けれど心のどこかでつながっている高校生たちの姿が描かれる。
 浜辺美波さんや福本莉子さんの登場する作品のようなキラキラ感はないが、若手実力派女優さんの自然なお芝居が、高校時代のかけがえのなさを見事に表現しきっている。
 どの年代の人が見ても、気づいたらなぜか涙がこぼれている作品だ。試験後、ぜひ劇場へ!

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