TSUTAYAで借りてきて鑑賞。
脚本監督:伊丹十三
製作:細越省吾
製作総指揮:YUKUO TAKENAKA
出演:宮本信子、大地康雄、村田雄浩、中尾彬、宝田明、伊東四朗
音楽:本多俊之
制作会社:ITAMI FILMS INC.
配給:東宝
上映時間:123分
製作国:日本
午前十時の映画祭でも『マルサの女』『お葬式』が上映されたが、本作はかかることがなかったのも、鑑賞してみて納得。
私にとって伊丹作品は『スーパーの女』に続いて2作目である。
『スーパーの女』も、スーパーマーケットの闇を暴くという内容のものだったが、こちらはヤクザの闇を暴くというもの。
ヤクザ映画は無数に作られているものの、主にヤクザが主人公でヤクザ同士の抗争を描いたものが多い。主人公のヤクザがさらに悪いヤクザかそれ以外の何かを超法規的=暴力によって倒す。ヤクザをかっこよく描いたものがほとんど。
しかし本作ではヤクザを圧倒的な悪役として描く、しかも主人公は弁護士であり、法的に地道に懲らしめていくというもの。
まあもちろん、そのような作品も作られていたのだろうが、ビッグネームの監督がこれだけの規模で製作するのだから、モノホンのヤクザが黙っちゃいない。
公開後、伊丹十三はヤクザに襲撃された。
伊丹十三、まさに反権力を貫いた、男の中の男。
それから彼は殺害されている(自殺と言われてるが遺書がワープロなので100%他殺) 宗教も敵に回した映画も撮ってるし、敵を作りすぎているので犯人がヤクザかどうかは謎。
さて、本作ではヤクザの執拗なまでの嫌がらせを丁寧に描く。観ていて気が重くなるが、宝田明演じる社長とヤクザとの逃走劇といい、コメディタッチに描かれる部分があるので全体的にはポップな仕上がりになっている。
宝田明、まだこの頃は若いな。イケオジだ。
しかし、ホテルマンという仕事が、いかに大変であるかが身に染みる。
介護士の比ではないな。クレーマーの最終進化系といっていいだろう。
2人の準主役である鈴木と若杉の立場に自分がなったら、途中で逃げてしまいそうだ。
というか、あの総支配人の下で働きたいとは思わない。いくらなんでも隙がありすぎるだろう。
こんなホテルとっくに潰れてるだろという突っ込みどころがあるのが、伊丹映画らしい。
最後にヤクザを倒すのは警察、暴力には暴力を。
悪を制すには法律の知識が必要ですな。
P.S. 鈴木勇気特別補佐、最後に支配人に出世してた気がしたけど気の所為?結局、総支配人は辞表を提出したけど解決したから地位に留まったのか?
以上
ヤクザはもちろんのこと、総支配人含むホテルや客の間でも立場が上の者が下の者に強く出る(責任のなすりつけ合い)描写がコメディタッチで出てきますが、人間の責任を取りたくない・どうにか手っ取り早く解決したい(金や力で)という思いにつけ込まれると怖いですね……。
しかし、成長ぶりを見せるためとはいえ、最後までヤクザがフロントにぞろぞろくるホテルは長くないですよね。
歌舞伎町の女性支配人がヤクザホテルを改革した話を思い出しました。