喉飴と鞭による映画・小説・漫画論評~このブログを見る者は地獄を見るだろう~

タイトルの通り、映画、小説、漫画を観終わった後に、感想を書くだけです。コメント頂ければ幸いです。

阪急電車 片道15分の奇跡(2011) ★★★★★

2017-11-22 22:36:19 | ドラマ
阪急電車 片道15分の奇跡 [DVD]
クリエーター情報なし
ポニーキャニオン

 2014年の大学1年次に、「地理学概論」という講義の中で紹介された。

てっきり全部見せてくれるのかと思ったら、なんと開始30分で切り上げ、続きは借りて観ろっておい!!!!!!

それからもBSプレミアム等で放送される機会は幾度かあったのですが、なかなか観ることもなく。

先月GYAO!で無料配信されていたので、視聴しました。無料に弱いですね。

 

舞台は阪急電鉄今津線沿線。

今津線は宝塚駅から西宮北口までを結ぶ路線です。

宝塚駅・宝塚南口・逆瀬川(さかせがわ)・小林(おばやし)・仁川・甲東園・門戸厄神・西宮北口

車内で繰り広げられる人間ドラマ。

沿線に住む無関係な8人の人生が交差する瞬間。

 

1人は不器用なオタク大学生であり、その同級生であり、チャラそうな女子高生であり、DVに悩む女子大生であり、高貴な婦人?であり、仲間外れにされている女子小学生であり、婚約破棄されたOLであり。

身近にありそうな設定の8人に、心温まるハッピーエンドな展開。

兵庫人はこんなにおせっかいなの?と、リアルさを疑問視するとこもあるが。

東京人なので分からない。少なくともこれが東京の路線じゃ話にはならないだろう。

 

オタク大学生はうまくいきすぎな気がします。相手がグラビアアイドルの谷村美月なんだもん。嫉妬。

中谷美紀がいい味を出していた。一番の盛り上がりはおばあさんの時江が高瀬に「会社は辞めなさい」と慰めるところだろう。

DVしてた男のカツヤも、うるさいおばさん達も反省することなく、ただ物語からフェードアウトしていくだけだ。ああいう人達とは関わらないのが一番なのだ。そう自分に言い聞かせてくれた作品であった。

 

紹介してくれた先生には感謝です。

 

 

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スローターハウス5(1972) ★★★☆☆

2017-11-22 22:35:13 | SF
スローターハウス5 [DVD]
クリエーター情報なし
キングレコード

NHKBSプレミアムのプレミアムシネマで録画したものを鑑賞。 

原作:カート・ヴォネガット・ジュニア

監督:ジョージ・ロイ・ヒル

脚本:スティーブン・ゲラー

主演:マイケル・サックス

助演:ロン・リーブマン

SF作家の大御所カート・ヴォネガットの同名小説を映画化したもの。

5はナンバリングではありません。

私はヴォネガットの別作品『タイタンの妖女』を読んでいたので、本作の時間軸や作風について免疫ができていたので、戸惑うことなく観れました。

(『タイタンの妖女』と『スローターハウス5』は一部世界観や設定が重複しているため。)

本作ではすべての時間軸が平行して描かれています。それも、主人公が四次元を移動する能力を持つ設定のためです。過去・現在・未来のすべてを同時に体験できるのです。

爆笑問題の太田光が、人間は過去を振り返る時に時系列に沿って振り返るわけではなく、過去に起こった出来事はすべて同時に思い出している、そういう意味で過去・現在・未来は人間にとって同時に存在しているというようなことを『タイタンの妖女』の帯で述べていました。

過去と現在と未来と、全く異なる場面にいるのに対応するように描かれている本作。

太田は、人間が全く関係のない星たちを繋ぎ合わせて星座にするように、人間とは別々のものをひとまとまりにして意味のあるものにしないと生きていけない生物だとも語ります。

それをとてもよく表している表現方法を取り入れた作品と言えるでしょう。

ドレスデンの空爆等については町山さんの有料解説を。 

 

タイタンの妖女
クリエーター情報なし
早川書房
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ブレードランナー2049(2017) ★★★☆☆

2017-11-09 01:32:22 | SF
ブレードランナー 2049(初回生産限定) [DVD]
クリエーター情報なし
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

TOHOシネマズ日本橋でポイントを消費して観賞。

『ブレードランナー』の続編です。

監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ。

脚本ハンプトン・ファンチャー、マイケル・グリーン。

製作総指揮リドリー・スコット。

主演ライアン・ゴズリング

助演ハリソン・フォード

  アナ・デ・アルマス

 

公開から二週間経ってるからがらがら。
2時間40分という長尺だが、私にしては珍しく寝なかった。

舞台はタイトルの通り、2049年の未来です笑

前作が2019年なので、その30年後。

ライアン・ゴズリング演じる主人公のKは量産されたレプリカントです。

冒頭で描かれる彼の任務は旧型レプリカントを始末するという、デッカードとほぼ同じことをやっています。

去年の『サウルの息子』を思い出しますね。ゾンダーコマンドーと一緒です。

同族に始末させるという。

 

この時点で、観客が予想していた単なるレプリカントの逆襲劇の話ではなさそうなことが分かります。

Kは社会に溶け込んで警官の職を与えられて仕事しているのです。

本作では人工知能が商品化して流通されています。主人公のKは性欲を満たすAI型彼女みたいなホログラムで孤独な心を癒す可哀想な男。性的なことがテーマといて描かれています。

ガラス越しに透けて見える風俗が印象的だった。性的なイメージが街に溢れかえっているのが現代ぽいですね。

日本のコンビニにもエロ本が置いてありますから、こういう性的イメージも日本をイメージしたものだといえるのではないでしょうか。

 

前回のタイレル社社長的な配役のウォレスは世界征服を企む尋常じゃない奴。

こういうラスボスみたいなキャラは必要だったのだろうか。

ハリソンフォードいつになったら出てくるんだよこの野郎と思いながら観てたが、

2時間経ってようやく出てきやがった。

 

デッカードの趣味の音楽。。古すぎる。

2049年にもこんなに古い音楽ばかり聴いているだろうか?

デッカードとレイチェルは逃走後、子供を産み、その子供の記憶がKに移植されていたというオチでした。

あとレプリカントの反乱軍もしっかり組織されていました。

ウォレスを倒してハッピーエンド!みたいな話ではありませんでした。

しかしウォレスの目的が一回観ただけでは腑に落ちませんでした。

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タクシードライバー(1976) ★★★★☆

2017-11-03 22:30:46 | シリアス

 

 

タクシードライバー コレクターズ・エディション [SPE BEST] [DVD]
クリエーター情報なし
ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

BSプレミアムで録画したものを観賞。

言わずと知れた名作。

監督マーティン・スコセッシ。

脚本ポール・シュナイダー

音楽バーナード・ハーマン

 

主演ロバート・デ・ニーロ。

助演シビル・シェパード、ジョディ・フォスター。

ジョディ・フォスターの真実
フィリッパ ケネディ
集英社

 

母親がジョディ・フォスターのファンであることから本書が家にあった。

本書に、『タクシードライバー』の大統領銃撃シーンを観て実際にロナルド・レーガンを狙撃した

ジョン・ヒンクリーの話が載っていて、そんなに影響力の大きな映画なのかと興味津々になり、観ることに。

 

物語の筋書は重い。ベトナム派兵から帰還したデ・ニーロ演じるトラビスが主人公だ。

舞台は70年代の荒れ果てたニューヨーク。

彼は戦争の後遺症で不眠症になり、定職に就けないことから職安で夜勤のタクシードライバーの職を得る。

勤務中に彼は次期大統領候補の選挙事務所に勤務するシビル・シェパード演じるベッツィーに惹かれる。不器用ながら猛烈にアタックするトラビスだったが、不器用さゆえに破局してしまう。

それから彼はますます孤独感を増す。職場の上司に今の生活から抜け出し、とにかく何か大きなことをやってのけたいと告白するトラビス。

タクシーにパランタイン候補が乗車してくる日があった。この荒れ果てた街を浄化してほしいと懇願するが、それは難しいことだと言われる。

不良が車体に物を投げつけてくる日々。

そんな中、トラビスのタクシーにジョディ・フォスター演じる少女アイリスが飛び込んでくる。だが無理やり男に連れ戻され出て行ってしまう。

その出来事を機に非合法に拳銃を仕入れ射撃と肉体の訓練を始める。もはや狂人と化していく。

その後偶然スーパーの強盗を射殺する。さらに偶然アイリスと売春宿で出会い、ここから抜け出し家に戻るよう説得する。しかし説得の効果空しく、相手にされないトラビス。

そしてとうとう大統領候補パランタインを射殺するという計画を実行に移すのであった…

 

バーナード・ハーマンの音楽が素晴らしい作品です

音楽によって作品全体にけだるい感じをもたらしています。

 

主人公のトラビスは不器用な性格で危なっかしい雰囲気があり、やることなすこと常識の範囲を超えています。決して悪い人ではありません。

タクシー運転手の上司がトラビスに「俺たちは負け組だということを分かれ」と口説くシーンにぐさっときましたね。僕も負け組です。もう分かっています。しかし、承認欲求がとても高い人間です。心を病んだらいつトラビスのようになるか分からない。。。。。

爆笑問題の太田光が、TVブロスのコラムで最近の銃乱射はトラビスと重なる所があるのではないかということを問いかけていました。同時にトラビスは罪のない人を無差別に撃ったりしていないから全然違うと否定もしていました。

しかし重なる所はあるかもしれません。

人間大きなことを成し遂げたい、と思うものです。私も根底にありますが、大きな望みを持つことはやめました。もちろん目標は生きていく上で必要です。しかし身の程を理解して、あまり高い理想を持たず生きていくのが幸せ…なのか…この映画の結末は、その答えまでは与えてくれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

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カラフル(2010) ★★★☆☆

2017-11-02 00:25:36 | ドキュメンタリー
カラフル [DVD]
クリエーター情報なし
アニプレックス

 第30回東京国際映画祭にて鑑賞。

町山智浩のトークショー目当て&カラフルの原作を読んだことがあるので、

映像化された作品をぜひ観てみたいという思いから。

 

新作ではないので上映前のトークショーはなし。

映画祭に足を運ぶような客は、客同士が知り合いなのか挨拶する光景がたびたび見られた。

まさか業界の人がたくさんいるということはないだろう。

孤独感を上映前から既に味わった。

構わずシネマイクポップコーンcoco壱番屋風味を貪り食うのであった

臭いが凄い。

 

本作は原作にとても忠実に作られていて、唯一違うのは舞台が架空の街から二子玉に

変わっているくらいだろう。

多磨電?の実写写真が挿入されていたのが印象深い。

あそこをアニメにしなかったのは、ただ単に面倒だからなのか、意味があるのか。

 

ラストは覚えてるから感動することもないだろうと思って観ていたが、

手紙 〜拝啓 十五の君へ〜』がクライマックスで挿入されていたのにじーんときた。

この曲は中学3年、ちょうど主人公と同じ年の時に出場した合唱コンクールの課題曲だったからだ…

カラフルは2010年の映画。その頃、私は高校1年だ。『手紙』が課題曲だったのは2008年。調べたら合唱コンクールに出たのは2009年だった…記憶とは適当なものですねえ

まあ、選択音楽の授業では確かに歌ったんだけどさ

 

 

 

 

上映後に原監督のパンフレットも頂きました。

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