喉飴と鞭による映画・小説・漫画論評~このブログを見る者は地獄を見るだろう~

タイトルの通り、映画、小説、漫画を観終わった後に、感想を書くだけです。コメント頂ければ幸いです。

ファーザー (2020) ★★★★★

2022-01-18 23:45:38 | シリアス

Amazonプライムビデオにて鑑賞。

監督・原作:フローリアン・ゼレール

脚本:フローリアン・ゼレール、クリストファー・ハンプトン

出演:アンソニー・ホプキンス、オリヴィア・コールマン、マーク・ゲイティス、イモージェン・プーツ

音楽:ルドヴィコ・エイナウディ

製作:F・コム・フィルム、トレードマーク・フィルムズCine@

配給:ショウゲート

上映時間:97分

 

去年のアカデミー賞主演賞受賞作品であり、当然観なければならないと思ってたが、介護の仕事をしている際は、プライベートでは介護の話題にはなるべく遠ざかろうとしていた(疲れるため。)

ようやく心に余裕が出てきたため鑑賞。

 

認知症の当事者から観た視点で常に描いているため、序盤はアンソニーに苛立ちを覚えるが、次第にアンソニーに感情移入できる作りになっている。

これまで観た介護を題材にした映画は全然面白くないものばかりであったが、本作は映画という特性を最大に生かした、認知症との相性が抜群な作品に仕上がっている。

あの時点で、アンソニーにどう接しているのが正解だったのか?と考えてしまう。しかしアンソニーのように認知症の混乱期の人に対してその時点での最適解を見つけるのは容易ではない。

本作に何か答えを期待していた自分がいたが、本作の結末は悲しすぎるものであった。

だが、毎度お馴染み宇多丸の評論を聴いて、少し考えが変わった。

 

とうとう老人ホームに入ったアンソニー。認知症が進行し人格が崩壊したからだ。感情失禁して映画は終わる。だが宇多丸は介護者である娘には安らぎが訪れたことに気づく。アンソニーにとってもさらに認知症が進行し、混乱期を過ぎれば安らぎが訪れることだろう。

 

本作は最も介護者にとって深刻な状態である混乱期を描いた作品であることが肝だ。

本作を観た後なら、認知症の方に対して接し方を少しでも向上できるだろうか?

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ブラックホール (1979) ★★★☆☆

2022-01-08 13:31:59 | 邦画

ディズニー+にて鑑賞。

監督:ゲイリー・ネルソン

脚本:ゲイリー・デイ、ジェブ・ローズブルック

製作総指揮:ドン・B・テータム

出演:マクシミリアン・シェル、アンソニー・パーキンス、ロバート・フォスター

音楽:ジョン・バリー

製作:ウォルト・ディズニー・プロダクション

配給:東宝

上映時間:98分

 

本作は日本ではDVD化されておらず、高価なVHS版を購入するしかなかったが、このたびディズニー+にて配信が開始され、多くの人の陽の目を浴びることになった。

高橋ヨシキ氏も近々Youtubeで解説動画出しそうな雰囲気で待ち遠しい。

 

本作は、ブラックホールの謎を解明するには手段を選ばないラインハート博士と、宇宙で遭難してそれに立ち向かうデュラント博士一行の話である。

R2-D2の劣化版みたいなロボット、ヴィンセントが愛くるしい。デザインも模倣しているような。しかしR2より戦闘能力は極めて高そうだ。

デュラントを演じたのは『サイコ』で有名なアンソニー・パーキンス。

そんなに魅力的なキャラは本作には登場しないが、背景は非常に美しい。

ほとんどがマット・ペインティングで描かれているが、それを感じさせないリアルさで観客を飽きさせない。

あまり古臭さを感じさせないのだ。不思議と。

 

ブラックホールに突入してどうなるのか?と観客の興味を引き寄せるものの、そんな終わり方でいいのか?というのが本作がヒットしなかった要因かもしれない。

以上

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香川1区 (2022) ★★★☆☆

2022-01-05 14:17:01 | ドキュメンタリー

新年一発目の映画鑑賞!

ポレポレ東中野初来訪です!!

 

監督:大島新

プロデューサー:前田亜紀

製作・配給:ネツゲン

上映時間:156分

 

中野駅西口から歩いてすぐのところにあります。

映画館は地下にあり、1階にカフェも併設されております。

 

私は一昨年クラウドファンディングのミニシアターー・エイド基金に5000円募金しまして、そのリターンチケットを貰うためにポレポレ東中野に2022年内には来なければなりませんでした。

本作もそのチケットで観ようかなと思ったのですが、ちょうどいい時間の回が監督舞台登板回であったこともあり、当日分のチケット確保は困難が予想されたことから、今回はネットで予約致しました。

上映時間が長く、トイレ我慢できるか不安だったことから端の席が良かったのですが、既に前日のネット予約の段階でかなり埋まっていたため端から一つ隣の席へ。

劇場は予想通り狭いです。

 

上映開始前、学生2人組らしき男子たちが、最近の映画の上映時間は長すぎるのは興行上の理由か?と文句を仰っていた。ドキュメンタリー映画に限ってはあまり関係なさそうですが、最近の大作映画に関してはそんな気もしますね。

上映前は窓口が混むため、リターンチケットを貰うのは後回し。

 

さて、本編について。

私は前作の『なぜ君は総理大臣になれないのか』は未見です。

本作は続編が作られるくらいだからぜひ観ようと思っておりました。

知人の映画マニアのおっちゃんが昨年ベストだというので、これは即観に行かなければなと期待値高めで行った。

小川淳也の自宅から始まる。

大根だかなんだか育ててて、なんで育てているんですか?の質問に「病んでいるんでしょうね」と。

矢面に立つ仕事で批判の的に常に晒されるわけだから、そりゃ病むだろう。

私も病んでいたから植物でも育てればよかったかもしれない。

 

小川は50歳になったら政治家を辞めるという公約を立てていたそうだ。

当然辞めない。理屈は描かれてないが、恐らく現役世代が政治を担うべきだからとかそんなとこだろう。

60歳とかで良かったんじゃないかと思う。

 

辻本清美の登場するシーンがある。「心が弱いからや!」と小川を叱咤(というか激励)するシーンがある。俺が言われているようや。心が弱いから追い込まれてしまう。心の強い辻本は、選挙では当選した小川に対し、落選してしまうことになる。人生分からん。

小川は、事務所に訪れた田崎史郎に、維新の候補者に取り下げを要求したのは常軌を逸していると批判され、激昂する。追いつめられるがゆえに感情的になる。

後のシーンで、対立候補の平井も、初めは大島監督を政治に興味を持ってもらえるきっかけになればと評価していたが、後にPR映画を作りやがってと豹変する。

本作は選挙を通して追い詰められていく人間の過程を描いたという点で面白い。

小川は選挙活動時に「身体に気を付けてね」と口癖のように口にする。本当にいい人なのだろう。

映画では政策とかまでは描かれないから、既得権益を持つ悪どい平井に立ち向かうという点でしか評価できないが。

対立候補の維新が玉木国民民主の秘書だったということは初めて知った。

小川の言う通り、野党がまとまっていないのは大問題だ。

共産党と組むべきとは思わないが、国民民主と立憲が分かれている状況は次期衆院選までには解消されていないといけないだろう。

 

小川を家族ぐるみで応援している家族も印象的だ。こういう家族の娘さんが、政治家として跡を継いでいくのかもしれない。

本作の笑いどころとして、選挙開票日当日、民放が「自民党が過半数に届かないことが分かりました」と報道するところを、事務所に応援しに来ている後援会員たちが歓喜するシーンがある。実際は誤報だったわけだから、あのシーンはメディアの罪深さを描くのにそれなりに意味がある。

まあ、小川の事務所にとっては小川が当選したからさほど関係ないが。

ダースレイダーも出演していたらしい。見つけることができなかった。

 

他に印象的なシーンとして、政策秘書の食事だ。レトルトご飯に味噌汁に、チンしてできる魚。多忙なゆえ食事は私より質素だ。

あとは選挙ボランティアが事務所で封筒への手紙詰める作業かなにか?をしているシーン。いつか選挙ボランティアしてみたいので、こんな感じなのかと思った。

舞台挨拶で大島監督の姿を拝見。本当に父親に似ている。(小並感)

サイン会もあったが、周りは前作も観ているファンの人たちばかりだったから、ミーハーな私がサイン貰うのは申し訳ないと思い、今回は貰うことはなかった。だがとても気になる監督だ。リターンチケットを貰い、中野をあとにした。

町山氏は対立候補の平井にこそ密着するべきだと本作を批判した。確かに本作の物足りなさはそこにある点に同意。

コメント (2)
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2021年映画私的映画ランキングなど

2022-01-05 11:03:09 | その他

皆様、あけましておめでとうございます。

昨年は映画をたったの27本しか鑑賞することが叶いませんでした。目標は週1ペースで50本ですから、その半分、といえども、昨年はドラマやアニメシリーズを結構鑑賞したので、妥当な本数ではあります。

しかし、新作をたった7本しか観ることができなかったという反省があります。これでは毎年楽しみにしているアトロクの年末恒例シネマランキングを聴いても、ほとんど話が分からないということになってしまいます。

今年からBLACKHOLEでも今年の映画振り返り企画が始まりましたから、最低月1本はやはり観ておきたいところです。できれば2本。

けど今年も多忙になることは確実なため、うん、月1本という軽めの目標設定にしておきましょう。

あ、2021年私的映画ランキングも発表しておきます。

新作

1位 JUNK HEAD

2位 AGANAI 地下鉄サリン事件と私

3位 聖なる犯罪者

旧作

1位 ファイト・クラブ

2位 太陽を盗んだ男

3位 ファンタスティック・プラネット

 

2位のAGANAIは、森達也の作品よりエンタメチックに仕上がってて素晴らしかったと思います。

1位は迷いましたが、インパクトという点でやはりこれかなと。

3位は地味ながら良作だったはず。

 

旧作はどれも問題作ばかりですねw

2021年、私は「暴力」と対峙しなければならない場面に遭遇し、この作品の暴力性に面食らった感じがあります。

2位は、年末の放火事件などで現実のものとなってしまっている気がします。

3位は、まあJUNK HEADと同じく見た目のインパクトから。けど、人間が猫を飼っている、ことて猫から見ればこういうことですよね、きっと。

以上です。

皆様もコメントに皆様のランキングをお書きください

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