喉飴と鞭による映画・小説・漫画論評~このブログを見る者は地獄を見るだろう~

タイトルの通り、映画、小説、漫画を観終わった後に、感想を書くだけです。コメント頂ければ幸いです。

イメージフォーラム45期卒業制作展 Cプログラム

2022-03-20 23:24:21 | 企画上映

うわー!出かけようとするタイミングで雨が降ってきやがった。

土曜の夜の渋谷、電車のドアが開いた瞬間に奇声あげて走っていく頭のおかしな若者はいるわ、信号待ちのときも急に前に出てきて叫ぶ女子いるわで、こわ。

雨が降るだけでテンション上がってやがるのか、若者は。

 

というわけで私は渋谷のシアター・イメージフォーラムに来ていた。

半年ほど前、古谷経衡氏のCAMPFIREの映画製作のクラウドファンディングを見て、古谷氏が精神障害者であることを知り、衝動的に支援を決めた。(たったの2000円だが)

私は失礼ながら古谷氏の著作は一冊も目を通したことすらなく、ファンというわけでもなんでもない。コロナ前はよくメディアに出演していたから、認識は当然していた。

WEB上の記事くらいは読んだことがある。現代の政治家に推薦するマニアックな漫画を紹介するものだった。サブカル系の人という認識だ。

去年の衆院選の東浩紀主催によるニコ生特番で久々に姿を拝見し、豪快な泥酔っぷりに爆笑した。人前であそこまで泥酔できる人に悪い人はいない。それがきっかけで面白い人だなと思い、古谷氏のTwitterを見たら偶然、映画製作のクラウドファンディング募集のツイートを知ったのである。(どんなきっかけだ。)

私は介護施設で精神障害者の世話をした経験があり、精神障害者がどんな日常を送っているかに興味を抱いていた。

古谷氏は精神障害者と健常者の境目を映像で表現するべく、シアターイメージフォーラム映像研究所に入学し、自主映画を撮り始めたという。

イメージフォーラムに学校があることも知らなかった。

当日、イメージフォーラムをいつもと異なる入口から入り、受付に行くと古谷氏の姿が。周りは古谷氏と顔見知りのファンっぽい人も多く緊張したが、古谷氏以外の作品も上映されるためアウェー感はない。古谷氏と事務的な会話のみ交わしたが、見た目通り明るく、ユーモアに富む人であった。

視聴覚室のような部屋で上映スタート。

1作目、『UNDER PASS TOKYO』

画面を分割し東京の風景を描くというもの。誰しも一度は、頭の中で思い描いたことがある画面かもしれないが、実際にやってみるとなるとかなり面倒なことだろう。

地形をよく理解していないといけない。

本作で気づいたのは、こんなに広告の音声て多かったけ?てことだ。普段、聞き流していて意識に入ってこないのだ。

2作目、『Working Holiday』

私の好きな類の作品だ。海外からやってきた派遣労働者が感じる息苦しさ。

スクリーンの中にスクリーンが映し出され、その前に監督が立つことによって、実際にスクリーンの前に監督がいるかのような錯覚が生まれる。

派遣労働の虚しさは、『サウダーヂ』や『夜空はいつでも最高密度の青色だ』を思い出す。

皆2か月経ったら、別々の会社の人間だからお別れ。まあだから気が楽ってのはあるだろうが。

長編製作を目指しているとのことなので、ぜひ観たい。けど観るのはしんどそうだ。

 

3作目、『白に赤』

美大生っぽい作品。生理で血が白い生地を汚したのがきっかけで創ったという。

凄い感性の作品だ。

4作目、『3級』

いよいよお目当ての作品。正直、これまでの三作が濃密で主張も強かったゆえ、おなかいっぱいであったが、本作は長尺でテンポがゆっくりと進んでいくため、落ち着いて観ることができた。

生命保険会社とのやりとりから、精神障害者は生命保険にも入れないという点で健常者とは違うんですということを分かりやすく表現(今の時代、生命保険は実は入る必要性はないというけど)

軍歌調の曲を多用しているのが古谷氏っぽい。常に仕事の移動は車の古谷氏らしい、運転席からの映像。

内服薬一覧の説明。かなり強い薬ばかりで、介護施設で精神障害者に内服介助をしていた私の感覚からすると、これらを毎日内服しているのは衝撃だ。保険証を取り上げられていた高校時代の古谷氏の苦しみは想像に難くない。

私はてっきり精神障害者である古谷氏の日常を追ったドキュメントかと期待していたが、期待は見事に裏切られた。あらぬ方向に話が進んでいき、最後はギャグともとれる終わり方で幕を閉じる。予定調和を感じさせない。

初めは取材相手の女性の顔が隠れていたのに、途中から隠れていなかったのは意図があるのだろうか。

鑑賞後は頭の整理ができなかったが、古谷氏は「精神障害者でも頑張ってますみたいな作品はありきたりでつまらない」ようなことを語っていた。確かに、もし古谷氏の日常を追うだけなら、毎日薬飲んで、月1・2回通院してるのを撮るだけで終わる。あとは精神障害者手帳を出す場面で差別の反応を受けるかどうかとか。

そう考えると古谷氏のアプローチに納得できる。トイレの映像が流れたのは驚いた。

私はクラウドファンディングの寄付の際、本名で寄付するつもりが、備考欄に本名を入力し忘れたゆえ、スタッフロールに自分の名前は入らないと思っていたが、ユーザー名でしっかり入っていた。結構、ユーザー名で入っている人多かったな。ラッパーのダースレイダーの名前も入っていた。古谷氏とYoutubeで共演していた縁か。

古谷氏も含めて、受講生は何も映像作家になりたいという人ばかりが集まっているわけではなく、趣味で自己表現として受講している30代以上の人もたくさんいて、それぞれに表現したい衝動がこれほどまでに世の中に溜まっているんだ、ということを感じた。

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王立宇宙軍 オネアミスの翼 (1987) ★★★★☆

2022-03-14 00:04:15 | SF

Huluにて鑑賞。

 

監督・脚本:山賀博之

製作:末吉博彦、井上博明

製作総指揮:山科誠

出演:森本レオ、弥生みつきetc

音楽:坂本龍一etc

製作:バンダイ

制作:ガイナックス

配給:東宝東和

上映時間:119分

 

今まで観てこなかったのが恥ずかしい。

ガイナックス初の本格的アニメ作品といえるでしょう。

 

正直、興行的に失敗したのも頷ける。クオリティ高いし映像に圧倒されるけど、ヒットするような内容ではない。

森本レオの声に違和感が。

あえての配役でしょうか、けど癖になりますね。

リイクニに下心から接近するのがええわ。そのままカルトに取り込まれる展開かと思いきや、リイクニはカルトではなかったわ、すまぬ。

ろくな戦力も持たないのに軍隊と名乗っているって、日本を象徴しているのだろうか。

公開当時はまだ冷戦期だっけ?他国が領土を攻めてくるのに命を懸けて宇宙開発へ力を注ぐ姿は、国際社会へのメッセージの投げかけだったのかもしれない。

いつかもう一度観直してみたい。

 

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真珠の耳飾りの少女 (2003) ★★☆☆☆

2022-03-08 20:55:44 | ドラマ

Amazonプライムにて鑑賞。

監督:ピーター・ウェーバー

脚本:オリヴィア・ヘトリード

原作:トレイシー・シュヴァリエ

製作:アンディ・パターソン、アナンド・タッカー

出演:コリン・ファース、スカーレット・ヨハンソン、トム・ウィルキンソン

音楽:アレクサンドル・デスプラ

配給:ギャガ

上映時間:100分

 

イギリス・ルクセンブルク合作映画。

『真珠の耳飾りの少女』は有名すぎる絵だが、モデルとなった人物は不明のまま。

本作ではもしモデルが召使の女だったら、という話。

 

スターウォーズのトゥイレックを彷彿とさせるのは私だけか?

 

映画の題材としては地味かと。

舞台はもちろんオランダ。

フェルメールは金ないくせに子供産ませまくって養母の金で暮らしてたなんてことが分かります。

偉大な画家でもそんなもんと思えば、なんだか胸を張って生きていけそうですね(違う

正直フェルメール夫人が可哀想すぎるでしょう。14人も子供産んだあげく、モデルに描かれることもないのですからね。

映画では描かれていませんが、悲惨な人生を歩んだ模様。無責任に子供産みまくってはいけません。

精肉店の息子も可哀想。性欲の捌け口にされるとは…女ってほんと糞ですよね。

以上

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東京流れ者 (1966) ★★☆☆☆

2022-03-08 13:55:15 | アクション

AMAZONプライムにて鑑賞。

 

監督:鈴木清順

原作・脚本:川内康範

出演:渡哲也、松原智恵子

音楽:鏑木創

主題歌:渡哲也

製作・配給:日活

上映時間:83分

 

知り合いとDISCORDで音声通話しながら同時再生しようとの試み。

(はにわ会のメンバーと鑑賞。)

鈴木清順監督作は初めて観る。

鈴木清順一推しのいその君曰く、代表作はもっと面白いとのこと。

 

まあ本作は『東京流れ者』のMVと捉えて観た方が良いだろうby島鉄

 

ストーリーは観ていても正直よく分からない。やくざ同士の抗争。

 

全体的にコメディタッチ。

佐世保のアメリカ村のバーのシーンで、愚連隊が大暴れして建物ごと崩壊するシーンはドリフのコントのようだ。

「週刊少年サンデー」を常時読んでおり大笑いしている浜川智子演じる睦子がおかしい。当時はオバQが連載されていた模様。ただ漫画を読んでいただけなのに、殺されてしまうとは・・・

やくざ映画で役者が主題歌を唐突に歌いだすというのがシュールすぎる。

しかし、調べるとどうやらこれは当時よくあった形式の模様。↓

町山智浩 渡哲也を追悼する

 

本作は背景が必ず原色一色の部屋で表現されてますし、前衛的なアートに見えなくもないかもな。

実際にこんな部屋ないやろ、て内装ばっか。

台詞もキザなものが多すぎる。

渡哲也が恰好良ければそれでいいのである。

最も活躍していたのは、二谷英明演じる相沢だったが。

 

続編もあるんですね。観ないと思います、以上。

 

ロケ地の当時と現在を比較したブログもございました。

佐世保のシーンは横須賀でしたか。

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ごっちゃんこ CDレビュー

2022-03-05 20:53:40 | 邦画

本記事では、初となるCDレビューを行う。

対象となるCDは、『ごっちゃんこ 初場所』だ。

 

本作はごっちゃんこの公式サイトからのみ購入可能。

店頭には置いていない。

 

え?ごっちゃんこて誰かって?

私も実はよく知らないが、「野生の力士」を名乗るパフォーマーだ。

京都文フリ前日、鴨川近く河原町通りかどこかで偶然見かけ、1月の氷点下の夜に、裸一貫で「価値観とっかっさ~」と絶叫している姿に、衝撃を受けた。

検索するとTwitterとホームページ見つけた。それを一緒に京都を歩いて目撃した友人に教えると、友人の方がごっちゃんこにはまってしまった。

そこで友人の誕プレにCDを買ってあげることにした。サプライズだったが、あげたときの反応:そこまでファンじゃない、とのこと。おい!

私はちゃっかりCDを先に開封してitunesにインストールした。

 

ジャンルでいうと、ヒップホップに近い、というか曲によっては完全に韻踏んでラップしている歌詞もある。

1.ヘルニア

一曲目の歌詞で、なぜごっちゃんこがパフォーマーという道を選んだのかを単純明快に理解できる。一曲目が『ヘルニア』てインパクト強すぎる。

一曲目のごっちゃんこの震えるような声を聴いただけで感動してしまう。

真冬に裸になる危ない人なのかと最初観た時は思うが、相撲で昇華できなかった思いをこうしてストリートにぶつけている。まさか本当に力士だったとは。

私も職業柄、ヘルニアになる可能性は高い。そのとき、どうするのか身に詰まされる。

それにしても声量が凄い。

2.僕らの未来に待ったなし

しんどくてもとにかく動けと。「相撲の稽古でよく言うのは」という部分が説得力を増す。現在、絶賛後退中の私にとって、耳が痛い歌詞だ。早く動かねば

 

3.ずべこべ

これも退職する前の俺自身のことだ。

 

4.路上

奇跡起きる希望が俺には持てなかったわ。

はじめの一歩を踏み出すときの心情を表現している、

「どんな感じで始めたらいいですか」が好きだ。

 

5.絶好調

こういう時が俺にもあったな。またくるのか。

 

6.おしり

エンディングでも触れられてるとおり、ボディメカニクスは大事て話です。

 

7.前頭葉

ヘルニア→おしり→前頭葉て怖い流れ。 

しかし相撲は危険な競技であることは間違いない。

 

8.ギブミーパスポート

国際派のごっちゃんこシリーズ

 

9.メキシコの野犬

国際派のごっちゃんこシリーズ第二弾

 

10.コロナにハリテ

いつまでコロナ続くんだ、ハリテどころか背負い投げじゃ~!!

 

11.SNS

ごっちゃんこに夢中になれたのも、現実の路上の場で姿を観たからだ。

SNSで知っただけではここまではまらなかったろう。

東京に来ることもあるそうなので、またいつか(というかまだ一瞬しか見てないので今度はちゃんと)見たいものだ。

 

12.土俵際

マルチタスク無理。

しんどいときの移り変わる心情を吐露。

「頑張らなきゃ」→「今まで頑張ってこなかった」→「頑張らなくてもいいや」

攻め続けるのは難しい、わりと攻め続けていたらいつの間にか逃げに走ってしまったのが俺だ。

頑張らなくてもいいんだ。

 

13.ケッタマシーン三河國魂

遠回りもいいじゃん♪て歌詞。

「ケッタマシーン」は自転車のこと。

空回りの部分、比喩が上手い。

関係ないが、力士が自転車に乗るとタイヤパンクしそうだが…

 

ほとんどが楽器無しで手で音鳴らしてるだけなのが味が出ている。

以上。こんなてきとーなレビューですみませんでした。

 

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