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「軍隊のない国コスタリカを訪ねて」-犬山9条の会が結成5周年記念講演会

2010年06月08日 | Weblog
 犬山9条の会は2005年4月に発足し、今年で結成5周年を迎えました。これを記念して6月6日に犬山市福祉会館中ホールで会長の京都大学名誉教授(霊長類)の杉山幸丸さんが「軍隊のない国コスタリカを訪ねて」と題する講演会を行いました。

 コスタリカは1948年に常備軍を廃止した憲法を制定しましたが、杉山会長は軍隊を持たずしてどのように国の安全を守っているのかを知ろうと、このほどコスタリカを訪問して調査してこられました。

 講演はその報告で、杉山会長は現地で撮影した写真のスライドを交えながら次のように話されました。

 コスタリカは常備軍を廃止したが、国土の防衛は武装警察約8000人、市民警察隊4400人、海上警備隊400人、航空警備隊400人を持っており、対戦車ロケット砲もあって、日本の海上保安庁なみの装備を持っている。

 これまでにも、1965年にニカラグァが侵攻してきたときは武装警察が反撃して侵攻を食い止めた。そして非常時には徴兵制があり、国民は武器をとって戦うことが義務になっている。また、米州相互援助協定(リオ条約)によってアメリカを中心とする米州機構の集団安全保障に頼ることになる。

 紛争が絶えないといわれる中南米の国で、絶えずアメリカという大国の圧力を感じているコスタリカは、こうした圧力に対して外交的に巧妙に対応して国民の安全を守ろうとしてきた。

 1978年のニカラグァ内戦ではニカラグァ独裁政権に対する反政府勢力を支援するアメリカ軍の作戦基地になった。しかしアメリカ追随を避けて中米和平に尽力した。隣国の紛争にも平和解決に尽力する積極中立の政策をとっている。

 この功績で当時のアリアス大統領がノーベル平和賞を受賞した。2001年の湾岸戦争、2003年のイラク戦争では国連決議なしのアメリカを支持したが、2003年に1人の大学生が侵略戦争だとイラク戦争に反対して憲法裁判所に提訴した。

 多くの人たちがこの訴えを支持し、憲法裁判所が学生の訴え認めると、バチェコ大統領(当時)はアメリカの(イラク制裁の)有志連合から脱退した。国民は正常に判断し、大統領はそれに従った。バチェコ大統領は当初はアメリカの顔を立てて援助を引き出し、国民の支持を得た後撤退するという実利をとったのである。

 ところで、コスタリカの経済・国民生活は、バナナ、コーヒー、パイナップル、サトウキビなどの一次産業が主だが、コンピューターの部品製造で外貨も獲得している。

 ・経済成長率は2.9%で、中南米の中では高い。
 ・教育は学費が無料で文教予算は日本の5%程度だが国家予算の20%を占めている。
 ・識字率も95%と高い。
 ・医療も無料。
 ・医師の数も国民10万人当たり132人(日本は198人、ニカラグァは37人)で、平均寿命は79歳。
 ・労働者の平均年収は日本円に換算して54万円(ニカラグァは10下層の黒人との間の格差が大きいという問題がある。

 コスタリカについては、これまで多くの情報は美化過剰で、他の情報は悪口過剰だ。中立であるべき情報に思い入れが入りすぎている。冷静に分析して、日本の進むべき道を判断する材料にしたい。

 なお、講演会では資料代300円でコーヒーとケーキも出され、50余人が熱心に聞き入りました。



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