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第13回愛知県下「九条の会」学習交流集会の報告

2017年08月08日 | Weblog
 7月22日、あいち九条の会主催の「第13回愛知県下九条の会学習交流集会」が名古屋市教育館(名古屋市中区)で開催されました。憲法9条を守る一宮市民の会発行の会報(第76号)に当日のレポートが掲載されていますので、同会の了解を得て以下に掲載させていただきます。

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 安倍首相は、9条に第3項を起こして、自衛隊を合憲化するという改憲案を提起した状況下、県内の「九条の会」学習交流会が7月22日にもたれた。そして、講演と「あいち九条の会」からの報告と各地域九条の会の活動交流が行われた。

◆「憲法をめぐる九条運動の課題」 名大・愛敬浩二教授の講演(要約)



【5月3日安倍首相9条改憲論】
 5月3日、安倍首相の、憲法9条の1項2項はそのままに残し、第3項を起こして、自衛隊を明記しようという加憲改憲論は突然であっただけに、自民党内にも異論があるようです。船田元(元自民党改憲推進本部長代行)氏は「改憲には民進党をどう抱き込むか、緊急事態をどう書き込むかが一番大事なのに」と不快感を示した。そして、どの世論調査も安倍内閣を支持しないが増加しています。
 現代の改(壊)憲の特徴は、強い国家(軍隊〉をつくり、専守防衛論を排し、海外派兵を目指すことです。武器輸出3原則を修正し、非核3原則や、防衛費GDP 1%を修正したいのです。強い国家=軍事大国化は「米国の要求」であり「日本の欲望」の合作です。

【世界の富は?民主主義の危機】
 いま、世界の富はどこにあるのでしょうか。毎年開かれるダボス(スイス)会議では、世界の資産は、わずか62人が富を握っていると指摘されています。これは下位50%(36億人)の総資産に匹敵するといわれます。そして62人の総資産はどんどん増大しています。まさに「グローバル格差社会」です。
 イギリスのコリン・クラウチは「ポスト・デモクラシー」論で言っています。「先進工業国の大半において、どんな政党が政権に就こうが国の政策には富者の利益になるような一定の圧力が継続的にかけられる。経済のグローバル化で、政府が企業の重役や一流事業者の知識と専門技能への依存度を高めた結果、企業エリートは富と権力を膨らませるだけではなく、特権的な政治上の役割まで手に入れた。亅と。

 【安倍政治の加憲論】
 さて、安倍政治の第9条の加憲諭ですが、9条の1項と2項に第3項を加えて、自衛隊の存在を書き加えるというものです。そして2020年を新しい憲法が施行さ札る年にしたいと日程にも触れています。その日程をみますと、2018年12月衆院議員選挙。2019年7月参院選挙。2020年東京オリンピック。 2021年9月自民党総裁任期終了です。国民投票の期日は改憲案の発議後60日~180日です(国民投票法)。これを考えると、日程にはあまりゆとりがないようです。軍備及び交戦権を否認する第2項の後へ、どんな文案の3項を加えるのかと思います。「但し前項の規定は‥‥」とかで、自衛隊を認めると、矛盾し整合性のない憲法になりそうです。現実に合わない憲法9条であり、憲法学者が自衛隊に疑いを持っている状況をなくすなどと安倍首相は発言しています。作家の高村薫さんは「悲願と言われる割に軽い。彼には、国民に向けて持論を展開するだけの論理はありません。あるのは、底の浅い情緒だけです」(中日新聞6月17日)と指摘しています。
 すでに、政府は解釈の変更で集団的自衛権の行使を解禁しています。新9条を厳格に解釈する保障などはありません。元統合幕僚長の斎藤隆氏は「戦力の不保持を決める9条が維持されても、自衛隊の「根拠規定が明記され、合憲と整理され」れば、「軍隊とはなに」という論議が促進される。「軍事法廷の要否、戦死者の問題、本格的な集団的自衛権に踏み込むべきか否かなどの論点」を検討すべき(読売新聞2017年5月30日)と述べています。
 政府解釈(集団的自衛権)に対する政府の旧解釈は、9条2項は自衛のための戦力の保持を禁止していると解釈をすることを出発点とし、日本国憲法の外側に「国家の自然権として自衛権」を設定することで、自衛隊の存在とその活動を何とか正当化してきた。そして、旧解釈は自衛隊を違憲と考える国民世論を背景として、違憲論に立つ野党との間の審議を通じて長年かけて構築されたものです。よって「自衛隊は違憲である」との出発点を変更してしまえば、旧解釈の下で国民的合意となってきた自衛隊の活動に対する「歯止め」はご破算になってしまいます。

【アメリカ側の要求は】
 改憲は日本国民の要求ではない。集団的自衛権を禁じていることが日米の協力を制約するとして、米軍・自衛隊のグローバルな共同運用の障害として、集団的自衛権の行使を求めているのはアメリカです。そして、自民党、財界などが、その実施を求め、軍事的な傾向や海外派兵の強行を担っているのです。日米安保条約の条文には手をつけない、ガイドラインを重ねて、安保条約を変質してきたのです。

【9条運動の課題】
 利害や価値観の多元化した社会において、個人が合意できるのは憲法的な基本的事項です。ところが、日本の平和や安全が差し迫って危機的でもないのに、自衛隊が日米共同で、海外で武力行使をすることが、求められたのです。本当は武力行使をすることの憲法的な禁止こそが安全保障なのですから、この事をめざす野党共闘の動きに対して、民進党の左傾化と批判する論調もあります(読売新聞7月14日)。できれば、民進党も抱き込んで改憲に向かいたいのが自民党の本音です。国民投票で確実に改憲を成功させたいからです。法制局などは政府の機構でありその見解は政府の見解であって、本来はもっと強い野党が必要であり、違憲論、合憲論のせめぎあいの均衡点として「政府解釈」があってよいのです。
 ところで野党は共闘をしなければ強くなれません。すべての野党を市民の側につなぎとめる必要がある。いま、格差社会が深刻ですが、身近な社会の問題を国民の声として届ける必要があり、提起し続ける必要があるのです。9条がある以上は完全に負けないし、闘いは持続できます。

◆あいち九条の会からの提起

 講演の後、引き続いて加藤事務局長から「自衛隊の変質、その仕上げを焦る安倍政権」に対して、九条の会としてどう運動していくかと以下のように提起されました。



1 改訂安保法制下の自衛隊はすでに変質
 留意すべきは、自衛隊が従来と今日とでは大きく変質していることです。第一の変質は、自衛隊の使命が、「我が国に対する外部からの武力攻撃」に対して出動する「専守防衛」であったのを、平成27年の安保法制強行採決により「わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃」に対しても出動する様、拡大されたことです。
 変質の第二は、進行中の中期防衛力整備計画(26中期防)のもと、“いずも““かが”の両空母の就航、垂直離着陸機オスプレイ17機、戦闘と爆撃の両能力を備えるステルス戦闘爆撃機F35A 28機、これに給油する空中給油機3機などを備える一方、中東の要衝の地“ジプチ”の海空自衛隊の基地を拡充するなど、実際に外国での戦争に参戦できる態勢づくりを進めていることであります。

2 改訂安保法制下の自衛隊は憲法違反
 ところが、自衛隊が海外で戦争することは、現行の憲法の下では許されない道理があまりに明白。国会で防衛大臣が憲法との関係で答弁に窮した場面は耳目に新しい。
 自衛隊が、海外で戦争する態勢を整えたにも拘わらず、最後の一線を越えられないのは、変質させられた自衛隊の違憲性が色濃くつきまとうからです。

3 違憲立法に憲法をあわせる
 そのため、変質後の自衝隊を合憲化し、更には現憲法による歯止めを一切外すことを狙うに及んだもの。憲法に違反しておいて、憲法の方を変えてしまおうと企むこの行為が、公務員の憲法尊重擁護義務に二重に違反する専横として厳しく断罪されるのは当然。

4 国民にとっての三つの危機
 私ども日本国民は、この専横の先に起きる大きな危険を見過ごすことができません。
 第一の危険は、年間防衛予算の倍加です。専守防衛だけでなく海外での参戦体勢の為には、対GDP比1%約5兆円の現行予算を、2%約10兆内に膨れあがらせる方向となるのは必至。そのためには、増税と福祉の後退を余儀なくし、国民生活は甚大な貧窮に。
 第二の危険は、まさしく海外での戦争への自衛隊の参戦であり、わが自衛隊員が殺し殺される時代への突入です。
 そして第三に、国民の不満と平和への希求を押さえ込む治安警察国家での暮らしです。

5 9条の岐路
 国民に広がる厭戦感と戦費負担による経済の疲弊のために海外での戦争遂行が困難になったアメリカの、その代用戦力となる道を今更ながら歩むのか、それとも、平和と人権尊重そして生活繁栄の道に進むのか、今、私どもは岐路に立っています。

6 展望、拓き開ける
  あいち九条の会は、日々刻々、学習と対話を積み重ね互いの努力により、草の根の連帯をよりいっそう拡げあうことを、心から呼びかけるものです。

◆各地の取り組み

【つしま九条の会】 結成12周年のつどいを開催。“幸せなら手をたたこう”の作詞者木村利大(早稲田大学名誉教授)さんの「日本国憲法の心 戦争・平和・いのちを考える」という演題で記念講演を行いました。

【あいち九条の会】 今の情勢にあったポスター、標語、キャッチフレーズ、訴えを募集しています。事務局へ届けてほしい。

【ひしの九条の会】 2009年に発足してから呼びかけ大や賛同者が減っている現状を打ち破るため新たな呼びかけ人、賛同者を募る活動をはじめている。団地全戸に年4回、会発行のチラシを配布している。今年から読みやすくするためB4版からA3版にした。平和を考える映像を見る会を始めた。

【九条の会・尾張旭】 16ページから20ページのニュースを1000人の会員に配布している。「共謀罪」反対の取り組みでは、3日、9日、19日に名鉄の駅4ヶ所でポケットティッシュにチラシを入れて400枚を30分ぐらいでまくことができた。

【一宮・9条の会】 市民平和百花展の取り組み、来年の2月18日に、江南市民文化会館で1000人以上の参加の講演会をしようと準備をしている。