がじゅまるの樹の下で。

*琉球歴女による、琉球の歴史文化を楽しむブログ*

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現代版組踊かっちんカナー"初演"

2017年11月05日 | ・現代版組踊レポ


現代版組踊 「かっちんカナー」

2017年11月3日(金・祝)

肝高の阿麻和利中学生メンバー

きむたかホール

 

 

15:30からの2回目の公演を観劇ました。
(ご招待いただきました!感謝

 

この舞台は15年前に一度だけ演じられたという
"ミュージカル"

その舞台を"現代版組踊"として完全リメイクし
肝高の阿麻和利の中学生メンバーだけで
演じ切る、という新しい試み。

(ごく一部、高校生メンバーのサポートもあり)

 

肝高の阿麻和利がメンバーが
スピンオフ舞台を演じることを定期的に行う、
そうすることによってメンバーさんも観客も
新鮮さを味うことができ、マンネリ防止にもなり、
新しい発見と刺激があるはずだ、と
ずっと願ってぼやいてきたことが
百十~MOMOTO~や、
かっちんカナーという公演の現実になって
とっても嬉しい!

(金丸主人公の尚円王回顧譚の復活も願いたいところだけど…
さすがにもう無理か(^^;))

 

しかも、今回は中学生のみ!

これはめちゃくちゃレベルアップの機会になること間違いなし!

高校生に頼らず、自分たちだけで。

是非、今回だけの公演にせず、
今後も「中学生だけの舞台」として
継続していってほしいと思います

今回がその"初演"として基礎(ベース)を作ったとして、
この経験を毎年積み重ね、
今回の舞台を見ていた(経験した)1年生が
2年生、3年生となっていったら
演技も演舞も、その成長率は
これまでの比ではなくなると思っています。

これまで中学3年間の成長率が3倍だとしたら、
かっちんカナーを経験することで6倍にも12倍にもなる
そんな予感がしています。

そしてそれが本元・肝高の阿麻和利にもつながり、還元される…

嗚呼、おそろしや(笑)

 

 

今回、舞台のはじめに
15年前に演じられた舞台のVRTがちょっと流れたんですね。

それを見て思ったのは、
やっぱり演技力や演舞のレベルの違い。
(小学生もいたっぽいかな?)

昔のレベルが云々という意味ではなく、
肝高の阿麻和利があれから15年ずーっと続けてきて、
先輩の姿を見て刺激を受け、学び、育ち、成長してきた
常に変化し、進化してきた、
演技力も演舞力も、その毎年毎年の積み重ねで
今のレベルまで上がってきたんだろうな、
ということをつくづく感じました。

 

続けてこられていることに、
ただただ、感謝

 

 

+ + +

 

 

かっちんカナーを見ての感想は
各舞台とのリンクが
ファンにはたまらない!

ということ。

もちろん他舞台を知らない人も楽しめるけど、
知ってる人はより楽しめる。

こういうこういう演出、リンク・布石って大好物。

 

肝高の阿麻和利や百十~MOMOTO~はもちろん、
大航海レキオスKIMUTAKA、鬼鷲など
随所にちりばめられていました。

サルタンの演舞とか、6年ぶりだよ…。
懐かしすぎる…。

 

 

肝高の阿麻和利とのつながりは当然ながら完璧で、

肝高の阿麻和利のクライマックス(肝高の詩)で始まり、
肝高の阿麻和利の冒頭(浪漫)で終わるってゆーのがもう…

くぅ~!憎いねッ!

ってな感じでした。

 

浪漫なんか、特に良かったよ。

カナーが明国からサバに乗って出立し、
勝連の浜にたどり着く一連の流れを浪漫の一曲で。

演者さんももちろん、
カナーから、阿麻和利へ。

そしていつもの、あの第一声。

「不思議なことがあるものだ
先ほどまでのしけた波が、ぴたりと止んだぞ(以下略)」

 

ほほ~~~~……

 

もうね、鮮やかとしか言いようがない。

 

この浪漫が特に印象的だったかな。

お見事でした

 

 

+ + +

 

 

物語はコメディらしいとチラシにもあったし、
HPなどでもあらすじなどが紹介されていて
パラピ(海賊)とかパラプ(山賊)とか、
百十踏揚も明国に渡って囚われるとか
結構はちゃめちゃドタバタコメディなのかな?

と思ってたけど、

そうでもなかったかな?

結構しっかりした物語性、メッセージ性があって
護佐丸をはじめ王子時代の尚泰久などなど
歴史要素も結構入ってた。

もちろん、コミカルな演技はありましたけど、
爆笑というよりは「くすっ」って感じだったかな。

(護佐丸の孫バカっぷりとか、チビなパラプとか)

でも肝高の阿麻和利の愛の劇場みたいに
回を重ねるほどに笑えるシーンには
磨きがかかってきそうですね。

いかに演技ではっちゃけられるか、
ぶっ飛ばせるか、
絶妙な「間」をとらえられるか、
がコメディは難しいもんね(^^)

 

 

+ + +

 

 

百十踏揚はかなりの「おじょうさま」でした。

勝ち気で、おてんばで、
結構口も悪くて手も出す(笑)

以前、百十~MOMOTO~で初登場した時に書いたけど
この小説(琉球御嶽伝説)の百十踏揚がこんな感じ。

幼少時代の思戸に諫められるほど(^^;)
(思戸はMOMOTOをそのまま子供にしたって感じで違和感なし)

金丸にもケンカ売るし(金丸も買うし(笑))、
肝高の阿麻和利での「麗しきおしとやかなTHE姫」感は全然なくて
ちょっとギャップありすぎじゃないかなー
と思ってましたが

 

カナーと対面し、初会話した時、

 

声も態度も変わりよった(笑)


…惚れたな?

 

返す賢雄にはいつもの通りで。

 

わ、女の二面性(笑)

 

 

幼少期百十踏揚は百十~MOMOTO~にもでてくるし、
今回のキャラクターありきじゃなくて
これからいろいろ作っていけそうだな。

肝高の阿麻和利のとおり、
もろ「おしとやかな姫」、
だけど天然とか、
世間知らずすぎて天真爛漫とか

そういうのもよさそう( *´艸`)♪

 

 

+ + +

 

 

カナーは、結構気弱な感じでした。

目ぢからガン!
たくましくてドン!

って感じじゃなくて、

冒頭の弱ってるシーンはもちろん、
中国人に網を売り込むときとか
百十踏揚たちを助ける時も
前に前に、というよりはどこかちょっと遠慮がちで
さりげなく、という感じ。

(こちらは小説「新説 阿麻和利」のカナーが割とそんな感じ→上巻 下巻

世話になった海賊たちから離れて、
自分の使命を全うする為に…
という物語終盤あたりからは次第に声も強くなっていきましたが。

 

百十踏揚同様カナーと言うキャラをどう演じるかは
色々とバリエーションが作れそうですね!

この児童書「沖縄の星 悲劇の英雄阿麻和利加那」のカナーもなかなか面白いよ

 

 

…で、
ここは意見は分かれる所かも知れませんが、

 

個人的には、

 

演者さん(カナー)には歌ってほしくなかった…。
(曲自体も音程取りにくい難しい曲)

 

ミュージカルじゃなくて、
現代版「組踊」としている一つの特徴は
やっぱり

演者は歌わない

ってことだと思うのです。

だから私は
現代版組踊はあくまでも現代版組踊であって
ミュージカルとは違う
と思ってます。

(知らない人に簡単に説明するために
この言葉を利用することはあったとしても)

この1回だけではありましたが、
やっぱりここはバンドさんに任せて
捨てられ琉球を離れた心情を
演舞や演技で見せてほしかったな…。

 

 

+ + +

 

 

アンサンブルさん。

中学生だけでも、全くそん色なし!

さすが舞台の花。

 

最後のテーマソング&演舞も
もちろん今回もハズレなし!

 

あ、そうそう、波の演出すごかったな!

ああやって一瞬で舞台が変わる演出大好き!

ハッ!

ってなる(笑)

男サンが「アレ」をもって現れた時、
何かのしかけなんだろうな、
なんになるんだろうな、
と思っていたけど、
まさかの波で、
あの布の感じもさざ波感が出てて
すごく良かったデス!

 

(ところで海賊たちが最初に襲った
カナーを乗せてたあの団体って…何???
聞き逃した??(^^;))

 

 

+ + +

 

 

そして、舞台終了後、
歴史談義に花を咲かせている方々も。

 

最後は阿麻和利が護佐丸を殺すんだよね。

ほら、最初にカナーを助けた。

えー、そうなの??

ほら、組踊の鶴松、亀千代が…

 

 

そう!

これこそ!!

 

舞台を通して歴史を知る、
興味を持つ、
人物を身近に感じる、
郷土に誇りを持つ、

 

琉球史の世界へようこそ!

 

ワタシも今後もぞんぶんに琉球史の世界を
楽しんでまいりたいと思います。

 

そして新たな琉球浪漫を再スタートさせてくれた
かっちんカナー関係者のみなさん、
どうもありがとうございました。

 

 

もちろん、
まだまだこれから
という所はありますが、
先も述べたように、
これはある意味"初演"。

続けて、重ねて、繋げて、
どんどん進化、深化させていってほしいなと
思います。

今後の成長に、期待!

 

応援してます!

 

頑張れ!かっちんカナー!


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