下手の横好き日記

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島田荘司『夜は千の鈴を鳴らす』

2011-03-02 23:59:59 | 
島田作品、吉敷シリーズの長編です。
これ、時刻表アリバイトリックのようだったので、
なかなか読み出しにくかったのですが、いざ読み始めてみると一気に読めました。


鬼島政子は不動産取引などの事業で会社を大きくした傑物。
その政子の秘書となった草間宏司は、政子の所有する土地を狙っていた。
10月1日、政子と草間はある賭けをする。
1ヵ月の間に政子を完全犯罪で殺したら、欲しがる土地を草間に与えると・・・
そして10月11日・・・特急寝台列車「あさかぜ」で、政子の死体が発見される。
これは草間の完全犯罪なのか!?


ということで、プロローグでいきなりの殺人予告ですから、
この後、これがどうなるのか?と気になりますよね??
しかも発見された死体は、心臓発作による自然死に見えるわけです。
普通なら病死扱い確定のこの事件を、吉敷が知ったことで事件は見出されるのです。

ただ、吉敷でなくとも、政子の死ぬ直前の様子を聞けば、何かがありそうと思うはず。
なんせ「怖い! ナチが走ってくる! ナチが見える!」と錯乱状態になったのですから。
この「ナチ」が事件の大きな鍵になるわけです。

この作品のトリックの基本は、他の有名な作品にも使われていて、
そういう意味では大きな新味はなかったけれど、
サスペンスを醸し出す構成が、なかなか素晴らしかったのじゃないかと思います☆

ところで、この作品、バブルの絶頂期が舞台です。
土地転がしなどで財を得た鬼島政子ですけど、
バブルの崩壊を知らずに済んだというのは、ある意味幸せだったのかも、とか、
犯人もそんな土地もらっても、値崩れ必至だとか、
いらないことを考えながら読んでしまいました(^^;

そう考えると、この作品も時代を感じさせますね・・・


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