建築探偵シリーズ、長編第9作目です。
桜井京介は遊馬朱鷺から強引な依頼を受ける。
30数年前、マレーシアのカメロン・ハイランドで突如行方不明になった、
タイのシルク王ジェフリー・トーマスの行方を推理して欲しいというのだ。
断る京介だったが、霊感少女・輪王寺綾乃が絡んでいることを知り、
軽井沢の別荘に、依頼人・弓狩みつの話を聞きに行くことになる。
ところが、詳しい話を聞かないうちに、みつの夫・弓狩惣一郎が不審な死をとげて・・・
マレーシアまで舞台を広げて、京介がたどり着いた真相とは?
昨年夏に文庫化されたものの、読むまで時間を置いてしまいました。
前作で、かなり京介の隠しているものに肉薄したので、
続きが気になりつつも、距離をとってた感じですね。
さて、今回は深春の視点での記述でした。
深春は、このシリーズのキャラの中でもかなり好きなので、楽しめました☆
蒼や神代教授の出番も結構あったし、朱鷺なんかも出てきて、
キャラ面ではかなりの豪華キャストだったのではないかな~と思います。
ただ、京介の過去に関わる話は、今回は特に出なかったですね。
ミステリとしては、かなり親切な情報開示もあったりして、
「謎」というほどの謎ではなかったかな~という気がします。
1人の女性の生涯と愛憎・・・そういうドラマの部分が大きかったですね。
だから、ミステリ読みからすると、少し物足りない感じ。
ところで、この舞台マレーシアのカメロン・ハイランドは、
有栖川有栖氏の
『マレー鉄道の謎』の舞台でもありました。
両作品とも、紀行文的な描写もあるのですが、
そこは作家の個性、同じ舞台でも描写の仕方、目の付け所は違って、
ちょっと読み比べてみたけど、面白かったです☆
シリーズ次の長編は『失楽の街』ですけど、
まだ文庫化はされてないので、それを待って読みたいと思います。