読書日和

お気に入りの小説やマンガをご紹介。
好きな小説は青春もの。
日々のできごとやフォトギャラリーなどもお届けします。

ご挨拶

2017-12-31 23:59:00 | ウェブ日記
「読書日和」にお越しいただきありがとうございます。
このブログでは主に小説やエッセイのレビュー、街のフォトギャラリーなどを作っています。
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なおこのページはトップページに表示させるため日付を未来日にしています。

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ありがとうございますの言葉

2017-01-17 23:25:01 | ウェブ日記
今日は帰りにスターバックスに寄りました。
ホットココアを飲んでひと息つきながら、綿矢りささんの新作「私をくいとめて」を読み進めようと思いました。

注文をして受け渡し口で待っている時、私の一人前はヨーロッパ系の外国人男性でした。
その人のメニューは作り出してから1分くらい放っておく時間があるらしく、次のように言っていました。

「ワタシのメニュー、1プンクラーイ、オイタママニシテルジカンガ、アリマース。
ソノアイダニ、ツギノヒトノ、(私のほうを見ながら)コノヒトノメニューヲ、ツクッテアゲテクダサーイ」

ゆっくりとした、欧米的日本語で「待機時間を使って私のメニューを先に作ってあげてくれ」と言っていました。
私はヨーロッパ系外国人男性の唐突なこの言葉に驚き、どう反応を返したものかと逡巡しました。
そして反応するタイミングを逃してしまい、少し会釈したくらいで特に何も言えませんでした。
しかし心の中で、それはまずいだろうという気持ちが湧いてきました。
自分のメニューが作るのに時間がかかることを気にし、1分くらい放っておく時間を使って私のメニューを先に作ってくれと気を使ってくれたのです。
お礼を言うべきだと思いました。
そして私のホットココアが先にでき上がり、受け取り口で受け取った時にヨーロッパ系外国人男性のほうを見て、ココアを少し掲げて微笑みを浮かべながら「ありがとうございます」とお礼を言ってみました。
ヨーロッパ系外国人男性は驚いたような、嬉しいような表情を浮かべていました。
目を見開きつつ、見開かれた目と口許には笑みが浮かんでいました。
その表情は「いやいや、どうってことないよ」と物語っていて、こちらとしてもお礼を言って良かったと思いました。

やはり良いことをしてもらった時の「ありがとうございます」の言葉は大事だと思いました。
日本人同士なら「すみません」と言う場合もありますが、外国人が相手の時は「ありがとうございます」のほうが分かりやすくて良いかと思います。
日本語の最も綺麗な感謝の言葉であり、日本人同士の時もなるべく「ありがとうございます」のほうを使いたいです
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雪が降ると

2017-01-16 20:13:59 | ウェブ日記
この土日、全国的に日本海側だけでなく太平洋側でも雪が降りました
最強寒波がやってくると何日も前から言われていたのですが、やはりやってきましたね。
愛知県も広範囲で雪になったようです。


こちらは土曜日の夜の名古屋駅前です。
雪がうっすらと積もり出していて、物凄く寒かったのですが思わずスマートフォンを取り出して写真を撮りました。


こちらも土曜日の夜の名古屋駅前です。
雪が降ると寒くても心はワクワクとしてきます


日曜日の朝、部屋の窓の外を見たらこんなふうになっていました。
このくらい降ると、今度はワクワクではなくシンと静まった静謐な気持ちになってきます。
雪の白さがそうさせるのだと思います。
特に常緑樹の葉や、落葉した木の枝が雪を纏ってシンとした佇まいになっているのを見るとそんな気持ちになります。


こちらは日曜日の11時頃の名古屋駅前です。
既に残り雪状態になっていました。
名古屋の雪はあっという間に溶けていくようです。
そして街を歩くと、既に空は晴れてきていたので道行く人々の中に雪が降った後の高揚感がありました

愛知県の名古屋方面で雪が積もるのは年に一度くらいとのことなので、珍しい景色を見ることができました。
雪はあまり降ると交通機関に影響が出てしまいますが、程よい雪化粧は見る者を普段とは違う気持ちにさせてくれて良いと思います
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「臨床心理学ノート」河合隼雄

2017-01-15 20:26:57 | 心理学・実用書


今回ご紹介するのは「臨床心理学ノート」(著:河合隼雄)です。

-----内容&感想-----
臨床心理学と聞いて思い浮かぶのは人の心の問題を専門に扱う臨床心理士です。
そして臨床心理士と言えば、昨年の10月から12月まで放送されたドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で新垣結衣さんが演じた主人公、森山みくりが心理学を専攻して臨床心理士の資格を取得していたことで、この資格の注目度が上がったようです。
ただ私の場合ドラマは見ていなくて、主人公が臨床心理士の資格を持っていたことも知りませんでした。
ドラマからではなく、元々深層心理学の本(ユング心理学、アドラー心理学、フロイト精神分析学)を読んでいて、その流れでこの深層心理学を土台とする臨床心理学の本も読んでみようと思い、先日「面白くてよくわかる!臨床心理学」(著:福島哲夫)を読みました。
そしてこの本をステップとして他の臨床心理学の本を読んでみようと思い、今回「臨床心理学ノート」を読んでみました。

P14「企業内での相談や、学校内での相談では、すぐに心のことを話すのや、症状について話すのには抵抗を感じるクライエント(相談者)がある。」
これはたしかにそう思います。
日本では心の相談をするとすぐにおかしい人として扱われる風潮があるのが問題なのだと思います。
ただ近年は心の問題を抱える人が増えていることもあり、この風潮はかつてほどではなくなってきている気がします。

P19「見たてに、見たてる人の状態が大いに影響を与える。治療者は自分という人間をどのように見たてているのか、が問われねばならない。」
これはクライエントが相談をした時に、その内容がカウンセラー自身のコンプレックスに関わるようなものであると、冷静な判断ができなくなることがあるので、カウンセラーは自分自身がどのような人なのかをよく知っている必要があるということです。
自分の性格、考え方のパターン、コンプレックスなどが分かっていないと良いカウンセラーにはなれないのだと思います。

P20「クライエントが自主的に話すまで待っている方が望ましいこともある。」
例えば、クライエントの相談の内容が明らかに父親が影響を与えていると思われる時でも、クライエントが自分の父親について何も話さない場合があります。
そんな時に父親のことをせかせか聞き出そうとすると逆効果になってしまうことがあるようです。
これはクライエントが父親のことを話しやすくなるように、他のことを話している時も「このカウンセラーになら父親のことも話せるかも」と思ってもらえるように努めていくのが大事だと思います。

P24「人間の心に関することは、正しい判断を下し、正しい助言を行っても、何ら効果のないことが多いことを知るべきである。」
まずクライエントの心理的課題を考えるためには、治療者が心理学の理論を学んでいることは大事です。
ただしその心理学の理論の中での正しい判断をし、それにもとずく正しい言葉をクライエントに言ってみても、全く効果がない場合があるようです。
このことについて「理論的に述べられていることは、抽象性が高く、実際に人生を生きるのは具体的、個別的」とありました。
現実の問題は理論のとおりには行かないということであり、治療者にはこれに対応する柔軟性が求められます。

P29「「相性」という言葉は、二人の人間にとって未知の発展の可能性に対する漠然とした認識のことではないかと思われる。」
この言葉は興味深かったです。
一般人の言葉にすると、「仲の良い関係、お互いに高めあっていける関係になれるかの予感」となるような気がします。
クライエントとカウンセラーは人と人が相対するのでやはり相性の問題はあると思います。

P30「臨床心理学は個々の人間を大切にすることから出発している。」
これは「電気に関することなら電気の理論が普遍的」というのとは違い、人間の場合は一人ひとりが違った性格をしているので、人間全体の心を電気の理論のように普遍的にすることはできないということです。
似たような性格をしている人がいても細かく見ていくと違っている部分もあるので、「同じ性格の人」とひとまとめにするのではなく、それぞれを個々の人間として尊重するのだと思います。

P32「臨床心理学の理論が他の分野と異なる要因として、人間という存在が常に変化する、ということがある。」
さらに「電気器機のように、対象が一定の固定したものではなく、人間は常に変化するし、むしろ、いかに変化するかということを課題としているのが臨床心理学である、と考えられるので、対象が常に変化することを念頭において、理論を考えねばならない。」ともありました。
たしかに人間の心はその時の状況などによって常に変化していくものなので、電気や機械の理論のように「こうなれば、必ずこうなる」といかないのは当然だと思います。

P58「臨床心理学は今後ますます、一般人の人生のサイクルにかかわることが増加すると思われる。」
この本が出版されたのは2003年で、現在の状況を見るとこの言葉は当たっていたと思います。
そしてこれは最近の小中学生のなりたい職業ランキングにカウンセラーがランクインしていることからも明らかな気がします。
心の問題の相談を聴くカウンセラーの存在が重要と考える子供がそれだけ沢山いるということであり、現代は悩み多き社会ということでもあります。

P64「「生命現象」と「関係の相互性」こそ臨床心理学が重要とすること。」
近代科学が無視し、軽視し、果ては見えなくしてしまった「現実」があり、それは一つは「生命現象」そのものであり、もう一つは対象との「関係の相互性(あるいは相手との交流)」とのことです。
近代科学が対象外として除外したもの(人間の心)を臨床心理学では重視するというのは、「イメージの心理学」(著:河合隼雄)にも書かれていました。

P79「筆者(河合隼雄さん)のことを、「オカルティズムの信奉者」、「神秘主義をふりかざす一派」などと断定している」
これは河合隼雄さんの「心理的療法と因果的思考」という本に対し、石坂好樹さんという人が書評でそのように書いていたとのことです。
私はこういった心の問題への対応を馬鹿にする人がいるから、心の問題を相談しずらい風潮がなかなかなくならないのだと思います。

P81「(例えば家族の中で、ある人が心の問題を患い、何が原因なのか(誰のせいなのか)の原因探しが始まった場合に)原因を探し出そうとするのではなく、どうすればいいのか、今ここでできることを考えましょう」と言うようにしている。」
この状況におけるこの考えは良いと思いました。
そしてこれはアドラー心理学的な考え方だと思いました。
この本の中でかなり印象的な言葉でした。
河合隼雄さんはユング派の臨床心理士なのですがここではアドラー的な言葉を発していて、この柔軟性が大事なのだと思います。

P128「アドバイスの害の大きいのは、それを何らかの「権威」を背景にして行う場合である。」
例として「自分は「臨床心理士」という資格をもっている。だから自分のアドバイスには従うべきである、というような態度が前面に出てくると、それに対する反発のために、正しいことを言っていても、無効になるどころか、有害でさえある」とありました。
これは臨床心理士に限らず、権威を背景に尊大な態度でアドバイスしてくるような人にはイラつく人が多いのではと思います。
また河合隼雄さんは「臨床心理士は上から目線で偉そうにアドバイスするようなものではなく、同じ目線に立ち、相手の話を共感とともに聴き、その時々の最適な言葉を慎重に見つけ出していくのが望ましい」と考えているようで、この考え方はとても良いと思います。

P128「「臨床心理士」という資格は、単に知識や技術を身につけているというだけではなく、人間関係や人間の心の状態について即断せず、じっくりと理解を深めてゆく態度を身につけている、ということを意味する。」
これは臨床心理学の知識をもとに「○○なので、△△だ」とすぐに決め付けたりしないということです。
相手に共感する姿勢、それでいて一歩引いて客観的に見る姿勢も求められ、なかなか大変なことだと思います。

P130「聴くと訊くは違う。」
「聴く」姿勢によって作られる人間関係がアドバイスを有効にする基礎になるとありました。
そして「医者の問診のように、あるいは電気器具のチェックのように、いろいろと「訊く」ことがアドバイスの基礎と考えるのは、間違っている。人間は機械ではない。」とありました。
これは「聴く」は相手を尊重することであり、「訊く」は尊重していないということだと思います。
その尊重していなさをクライエントが察知すれば、良い人間関係にはなっていかないと思います。

P131「「いったんやけになってしまうと、後は坂道を転がるようなもので…」と言うクライエントに対する言葉」
「そんなにやけにならないで」と言うのと、「坂道を転がるときに、何かつかまるものはないですか」と言うのとでは少し感じが異なるとありました。
この「坂道を転がるときに、何かつかまるものはないですか」は私の心を捉える言葉でした。
とても静かに、そっと手を添えるかのように心に話しかけられた気がして、この本における最も印象的な言葉でした。

P170「心理療法の場合は、治療者の意図によってクライエントを動かそうとする考えを放棄しているところに、その特徴がある。」
これは理論にもとづき一方的なアドバイスをしても意味がないということです。
そしてクライエントが自分自身の考えを活発化させて自分自身と向き合っていくことに寄り添い、補助するということでもあると思います。
寄り添い、補助するためには言葉の選び方が一歩引いた、それでいて冷たくはなく、しっかり共感、受容していることを示すという難しいものになってきますし、それをクライエントと話す中で的確にやるには相当な訓練が必要だと思います。


この本を読み、やはり人の心の問題を扱うのは大変なことだと思いました。
悩みの多いストレス社会の今、心の問題を扱う臨床心理士や心理カウンセラーの存在は重要だと思います。
そして「臨床心理学は今後ますます、一般人の人生のサイクルにかかわることが増加すると思われる。」という言葉があったように、臨床心理(心の問題)について漠然と不安に思ったり距離を感じたりするよりも、本を読んである程度知っておくことも重要だと思います。


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「居酒屋ぼったくり6」秋川滝美

2017-01-14 19:19:16 | 小説
今回ご紹介するのは「居酒屋ぼったくり6」(著:秋川滝美)です。

-----内容-----
暖簾をくぐってほっと一息。
今夜は何を頼もうか。
東京下町にひっそりとある、居酒屋「ぼったくり」。
名に似合わずお得なその店には、旨い酒と美味しい料理、そして今時珍しい義理人情がある――
旨いものと人々のふれあいを描いた短編連作小説、待望の第6巻!

-----感想-----
今作は次の六編で構成されています。

秋休みの花火大会
振り込め詐欺事件
町の本屋
釣り合わぬ恋
路地裏の出来事
似て非なるもの

「秋休みの花火大会」
「居酒屋ぼったくり」には秋休みがあります。
普段の「ぼったくり」は日曜日以外は全て営業なのですが、10月の体育の日を入れた三連休だけは秋休みとして全て休むことにしています。
妹の馨は姉の美音に、せっかくの秋休みなのだから要に旅行に連れて行ってもらえと言ってきます。

この話では鮭の缶詰を使った鮭団子が登場しました。
鮭缶をボウルに開け、そこに細かく刻んだ玉葱とつなぎの片栗粉、胡椒を少々入れ、さらに風味を出すために醤油を数滴入れてからボウルの中身をかきまぜ、団子にして揚げれば完成です。
簡単なメニューですがなかなか美味しそうでした。

三連休初日、要から電話がかかってきます。
三連休になったのを知らせなかったことを怒っていました。
美音は三連休も全て仕事でさらに体育の日には出張にも行く要を気遣ったのですが、要としては「どこかに連れていって」と言ってほしかったようです。
美音と要が付き合うようになり、段々とラブコメ要素が強くなってきているなと思いました。

要が北関東のとある町で行われる競技花火大会を見に行かないかと誘います。
何と要は最前列の桟敷席を押さえていました。
物凄い大迫力の花火を見ることができ、この桟敷席での花火を見てみたいなと思いました。
古来、『花火は江戸の花』と言われている。
この言葉が興味を引きました。
「夏ともなれば、東京のあちこちで花火大会が開催される」ともあり、たしかに東京の花火大会は数が多く、さらに花火が1万発以上も上がる大規模花火大会がいくつもあるのも凄いことだと思います。


「振り込め詐欺事件」
先日オープンしたばかりのショッピングプラザ下町に出掛けた美音は、ATMの前で馨が年配男性と押し問答しているところに遭遇します。
年配男性は「孫が今日中にお金を振り込まないと会社を首になってしまうと電話をかけてきた」と言っていて、典型的な振り込め詐欺でした。
馨はATMの操作の仕方を聞かれたのですがどう見ても振り込め詐欺のため何とかして男性を思い止まらせようとしていました。

ブリとハマチの違いは興味深かったです。
成長するにつれ呼び名が変わる魚を出世魚と呼び、大きさが80センチ未満ならハマチ、80センチ以上ならブリになります。
また、ハマチは関西ではハマチ、関東ではイナダと呼び、東と西で呼び方が違うのも興味深かったです。
ただ寿司屋などに行くと関東でも普通にハマチとして売っていたりもします。

この話では「ぼったくり」常連の植木職人のマサが、奥さんのナミエが家に一人で居る時に振り込め詐欺の電話がかかってきた話をしていました。
息子のふりをした電話だったのですが、代理の者が家にお金を貰いに行くという電話に対し、騙されたふりをしてそのまま警察に電話して、犯人が家にやってきたところで張り込んでいた警察に逮捕してもらうという凄い対応をしていました。
中にはこういった物凄く機転の効く人もいるのだと思います。


「町の本屋」
商店街に「葛西書店」という小さな本屋があるのですが、この本屋が利用客減少により閉店することになりました。
「ぼったくり」常連のアキラは電化製品の取り付けを請け負う工事会社でエアコンの取り付けを専門にして働いていて、葛西書店はアキラが初めて一人で担当することになったお客さんで、故障時の対応もしているのでかれこれ10年の付き合いになります。
その葛西書店の店主、タケオが店の前を通りがかったアキラに近々店を閉店するつもりだと教えてくれました。
タケオが「小さい本屋はなかなか本を買ってもらえない」と言っていて、これはたしかにそう思います。
最近ではコンビニでも漫画や雑誌だけでなく小説まで売られるようになっていて、コンビニに置いていない小説やその他の本も品揃えの豊富な大型書店に買いに行く人が多いようです。
現在の書店業界の状況として、発行部数は減っているのに発行される本の点数自体は増えていることが書かれていました。
なので本の回転が早すぎるのが実態で、入荷して店頭に並べた本が次の入荷本が入ってきたことによりすぐに姿を消すことになってしまいます。
これは「書店ガール」のシリーズでも書かれていたことがありました。
また、「馴染みの店で顔を合わせて買うよりも、ネットでクリックして買い物をするという時代がもうすぐそこまで来ているのかもしれない。」とあり、これは寂しいと思いました。
ネットの便利さは圧倒的ですが、本については書店で実際の本を見て回りながら読みたい本を選ぶほうが好きです。


「釣り合わぬ恋」
「ぼったくり」常連の百貨店で働く女性、トモの親友が身分違いの恋をしています。
その親友は職場の上司に好意を持たれていて親友も上司のことが好きなのですが、家柄が違い過ぎるからと親友のほうは付き合うことに及び腰です。
これに対する馨と美音の感想の違いが印象的でした。
馨「えーでも、上司の人がなんとかしてくれないの?身分違いなんてなんのその、愛があれば大丈夫!とかさ」
美音「それこそドラマの世界でしょ。残念ながら現実はもっと厳しいわ。身分違いを乗り越えて結婚したところで姑にいじめられてひどい目に遭うのが関の山よ」
美音は冷静で現実的だなと思います。

美音は家でモンブランケーキを作っていました。
生クリーム、モンブランクリーム、スポンジケーキ、栗の甘露煮、全て手作りで、これをデザートとして特別に出してもらったトモはその本格的なケーキに驚いていました。
料理大好きの美音だからこそ作れる逸品だと思います。

奔放に恋をする自分とは対照的に、ぼったくりを守っていく店主という立場のため今まで恋もままならなかった美音に対し、馨はいたたまれない気持ちになっています。
そんな時、馨は今まで謎だった要の正体を知ります。
馨は美音に要の正体を伝え、そこから話が予想外の方向に動き出していきました。
美音は仮に要と結婚したとしても店を締めるつもりはないため、身分違いの恋はどうなっていくのか気になるところでした。


「路地裏の出来事」
「大根を千六本に刻み」という言葉が印象的でした。
千切りは知っていますが千六本切りは聞いたことがなかったのでどんな切り方なのかと思ったら、細長く切る千切りとのことです。

美音と要が付き合うようになり、かつてはそれぞれの段落ではそれぞれの視点で語られていた物語が、付き合うようになって一つの段落の中で交互に視点が変わるようになったのも印象的でした。
文章の表現の仕方を変えています。

八百源という八百屋を商っていて、町内会長でもあるヒロシの家に騒音を何とかしてという苦情の投書が来ます。
苦情対象の家は子沢山で、朝の7時前からピアノを弾いたりしていてかなり騒がしいです。
投書をしてきた家には交代勤務をしている家族がいて夜勤明けに寝ている日もあるため、騒音を何とかしてほしいという内容でした。
子供は元気が一番ですが、さすがに他の家から苦情が出るほど騒がしいのはまずいと思います。
そして親の子育ての方針にだいぶ問題があることも明らかになります。

天むすと天巻きの違いは興味深かったです。
衣に塩をきかせたエビの天ぷらをおにぎりにするのが天むすで、酢飯ではなく赤シソのふりかけか煎り胡麻、あるいは両方を混ぜ込んだご飯で海苔巻きにするのが天巻きとのことです。
天むすは食べたことがありますが天巻きはまだ食べたことがないような気がします。


「似て非なるもの」
この話では美音と馨、そして「ぼったくり」常連のシンゾウとウメが「ぼったくり」の先代、美音と馨の両親のことを色々回想していました。
「ぼったくり」の経営で忙しく美音と馨とすれ違い生活になることが多い両親は家族の時間を持とうと必死になっていて、休みの日には家族で出掛けることにこだわっていました。
週に一度の休みの日曜日はほぼ毎週どこかに出掛けていて、この張り切りぶりは凄かったです。

美音が要に勧めたお酒で、「純米酒 ささ匠(しょう) 丹山」という日本酒が登場しました。
京都にある丹山酒造が地元亀岡で自社栽培した米を使って醸していて、冷やすことでより酸味がはっきりするので、呑んだあとに残る酸味を楽しみたい客には冷酒が好評とのことです。
ただし要ははっきりとした酸味より微かな酸味を好むため、このお酒を冷酒ではなく常温で出していました。
常温だと酸味は鳴りを潜め、ふくよかな甘みが際立つとのことです。
同じお酒でも温度によって味わいが変わるのは面白いと思います。


今作では要の正体が明らかになったことにより物語が大きな転機を迎えました。
次の巻では恋の行く手に暗雲が立ち込めそうな予感もあり、果たして二人の付き合いは上手く行くのか、気になるところです。
続きを楽しみにしています。


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受験生の寄せ書き広告

2017-01-13 20:39:56 | ウェブ日記


写真は先日電車の中吊りで見かけた河合塾という予備校の広告です。
「やるぞ!受験生」という言葉とたくさんの寄せ書きが目を引きました。
河合塾はネットで調べてみたら「愛知県名古屋市を本拠とする日本の大手予備校」とあり、何とここ愛知県に本拠地があるとのことです。

この広告が電車の中吊りにずらりと並んでいて、1枚1枚書かれている寄せ書きの内容も違っていました。
一瞬なぜいきなりこんなに気合いの入った広告を出してきたのだろうと思いましたが、間もなく大学入試のセンター試験があることが思い浮かびました。
今年の大学入試センター試験は1月14日と15日で、明日と明後日に迫っています。
目前に迫った大学入試センター試験を前に、予備校及び受験生の決意表明としてこの広告を出したのだと思います。



この時期の受験生は漠然とした不安を感じていたり、不安に押し潰されそうになっている人が結構いると思います。
私は不安を感じたり受験会場で緊張したりするのが当たり前だと思います。
なので「不安に思うな」「緊張するな」と「⚪⚪するな」系で無理やり自分自身に言い聞かせるよりは、不安や緊張を現在の自分自身の状態として受け止めてあげることを意識したほうが良いのではと思います。
不安や緊張があっても勝てるようにやってきたのが受験勉強だと思うのです。

また、例年センター試験の日には天気が荒れることが多いです。
今年もセンター試験の日であるこの土日に普段はあまり雪の降らない太平洋側でも雪になる天気予報になっています。
もし電車が遅れたり止まってしまった場合は公共交通機関の遅延なら事情を考慮してもらえるので、焦らないのが一番だと思います。

大学入試に向かう人達にも色々な事情や年代の人がいますが、最も人数が多いのは高校生が現役学生のまま入試に挑むパターンだと思います。
その人達にとってはそれまで歩んできた高校生活までが人生の全てで、大きな挫折を経験したことのない人が多いであろうため、万が一思うような結果にならなかったら人生が終わってしまうのではというくらいの不安を感じる人が結構いると思います。
しかし仮に思うような結果にならなかったとしてもそれで人生の何もかもが終わるわけではないです。
そして思い描いた結果になる可能性も十分にあります。
自分自身の力を最大限発揮してもらって、一人でも多くの人が良い結果になることを願います。
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星乃珈琲店

2017-01-12 20:34:35 | グルメ
名古屋駅近くの名古屋スパイラルタワーズという建物にある「星乃珈琲店」に行きました。
全国の色々な地域にチェーン展開していますが行くのは今回が初めてです。

メニューを見ると星乃珈琲のこだわりとして、「星乃ブレンド」というコーヒーについて「直火焙煎で仕上げた香ばしい香り、優しい酸味とすっきりとした味わいが特徴の飲みやすいブレンドです。」と書いてありました。
これは美味しそうだなと思い星乃珈琲を頼んでみることにしました。
そしてもう一つ、「冬のおすすめ」として紹介されていた「キャラメルりんごのスフレパンケーキ」も頼んでみました。



こちらが「星乃ブレンド」です。
コーヒーの良い香りがしていました
そしてかなり飲みやすく、ブラックでも全く問題なく飲めました。
苦味がはきつくはなくむしろ心地よく、のど越しも良いと思いました。



こちらはキャラメルりんごのスフレパンケーキです。
メニューには「甘く煮た温かいりんごと冷たいバニラアイスをふわふわのパンケーキにのせました。ほろ苦いバターキャラメルソースが贅沢な冬限定パンケーキです。」とありました。

食べてみると、パンケーキがすごく柔らかかったです
注文する時には「焼くのに20分くらいかかりますがよろしいですか」と聞かれていたのですが、20分くらいかけて窯で焼いてくれただけに外側はカリッと焼け、中はふわふわの素晴らしいパンケーキに仕上がっています。
基本的にはシナモンのソースで味付けされています。
そこにキャラメルソースをかけるとシナモンの香りを活かしつつキャラメルの甘さがプラスされ絶妙の相性の良さになります。
さらにパンケーキと相性の良い生クリームとバニラアイスが味に彩りを添えてくれます。
りんごは物凄く柔らかく、そして煮たことで甘さが際立っていました。

パンケーキが甘いので、ブラックの「星乃ブレンド」と良い組み合わせになっていました。
キャラメルりんごのスフレパンケーキは冬の期間にしか食べられないので、機会ばあればまた食べてみたいと思います
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アドラー心理学とフォースの暗黒面

2017-01-11 20:05:30 | ウェブ日記
アドラー心理学は現在、流行の最先端を行く心理学としてかなり有名です。
自己啓発にも向いていることから次々とアドラー心理学を扱った実用書が出版され、書店でも一大勢力になっています。
そんなアドラー心理学の本をこれまでに4冊ほど読みました。

「マンガでやさしくわかるアドラー心理学 人間関係編」岩井俊憲
「嫌われる勇気」岸見一郎 古賀史健
「幸せになる勇気」岸見一郎 古賀史健
「面白くてよくわかる!アドラー心理学」星一郎

アドラー心理学の良い面については、とても良いと思います。
ただし悪い面に取り込まれると、たちまちスターウォーズで言うフォースの暗黒面に堕ちると思います。
書かれていることが具体的なだけに解釈の仕方が重要な心理学で、妙な解釈をして悪用しようと思えば簡単に悪用できてしまいます。
「嫌われる勇気」(著:岸見一郎 古賀史健)の感想記事を書いた時、次のように書きました。

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アドラー心理学の本では「勇気」という言葉が何度も出てきます。
そしてこの「勇気を持て」という考えは企業が社員への研修で好むであろうと思います。
手っ取り早く「変わるためには勇気を持て。心理学三大巨頭のアドラーもそう言っている」と言うことができるからで、何だかアドラー心理学が研修で都合よく使われるのではという懸念を持ちました。
--------------------

そうしたら次の「幸せになる勇気」(著:岸見一郎 古賀史健)を読んだ時、著者の岸見一郎さんがあとがきに次のように書いていて驚きました。

かねてよりアドラーは、誤解されやすい思想家でした。
特にその「勇気づけ」というアプローチは、子育てや学校教育、また企業などの人材育成の現場において、「他社を支配し、操作する」というアドラーの本意からもっともかけ離れた意図を持って紹介され、悪用ともいえる扱われ方をされる事例が後を絶ちませんでした。


これを見てやはりそうだったのか…と思いました。
アドラー心理学の「勇気を持て」は体育会的な面があるため、企業などがそのまま体育会的な解釈をして「変わるためには勇気を持て。心理学三大巨頭のアドラーもそう言っている。変われないのなら、それはお前に勇気がないからだ」と言うことができてしまうのです。
なので都合よく社員への研修に「勇気を持て」を使うのではと思ったら、やはり悪用されていたようです。
アドラーという心理学三大巨頭の名のもとに「勇気を持て」だけ言って無理やり都合の良い方向に変わることを迫るのは、もはや心理学ではなく単なる体育会論です。
そして都合よく変わらない人には「お前には勇気がない」と言うこともでき、「勇気を持て」は企業にとってとても便利な言葉だと思います。

企業の経営者や管理職の人にはこのタイプの体育会的な考え方の人が結構いると思います。
最悪の展開は元々長時間残業やパワーハラスメントが横行するようなブラック企業が社を挙げてアドラー心理学を悪用した場合です。
「このくらいの長時間残業が何だ。それが企業というものだ。我々は常に前向きでなくてはならない。意識を変えろ。変わるためには勇気を持て。心理学三大巨頭のアドラーもそう言っている。変われないのなら、それはお前に勇気がないからだ」となります。
これは元々長時間残業やパワーハラスメントで精神的にまいっている社員がこのような言葉を浴びせられたら、より一層追い詰められて心身症を患って休職するか、場合によっては自殺に追い込まれるのではと思います。

特に最近は大手広告代理店の株式会社電通に代表されるように、体育会的な考えのブラック企業が過労死事件や労災事件を起こす例が目につくようになっています。
今日は新たに大手電機メーカーの三菱電機株式会社が社員に違法なブラック労働をさせていたため労働基準法違反で書類送検されたというニュースがありました。
そういった元々体育会的な企業がアドラー心理学の「勇気を持て」を都合よく解釈し、魅せられた場合が一番危険だと思います。

上手に使えば人生を生きやすくするのに役立ちますが、悪く使えば人を心理的に追い詰めるのがアドラー心理学だと思います。
悪い企業がフォースの暗黒面に堕ちアドラー心理学を悪用しないことを願います。
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成人式

2017-01-09 15:31:53 | ウェブ日記


今日は1月9日、成人の日です。
全国各地で成人式が行われました
新成人の皆さん、成人おめでとうございます
今年度成人を迎える方々はちょうど私の一回り年下で、干支も同じねずみ年ということで(早生まれの方は丑年ですが)何だか親近感があります
同時に私が成人式をした年から干支が一周したのだなとしみじみとします

大人の仲間入りを果たす記念の式典なので、新成人の方々にとって大きな思い出になると思います。
一生に一度のことなのでぜひたくさん写真を撮っておいたほうが良いです。
そしてスーツや振り袖に身を包んだ新成人の方々の姿には眩しいものがあります。
1月のお正月が終わって一段落した街に束の間の彩りを添えてくれる存在だと思います。

20歳ということは20代のまさにスタートラインということです。
20代は楽しいこともあれば辛いこともあり、人生の変化が大きくなる年代だと思います。
既に社会人になっている方も学生の方も、大人として人生を歩んでいくのはこれからです。
三歩進んで二歩下がったり、時には大きく後退したりすることもあるかも知れませんが、それが人生というものです。
そんな時は「まあそんな時期もあるだろう」くらいの心境で、人生を楽しんでいって頂ければと思います。
大人として過ごす日々は始まったばかりです
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「面白くてよくわかる!臨床心理学」福島哲夫

2017-01-08 22:03:06 | 心理学・実用書


今回ご紹介するのは「面白くてよくわかる!臨床心理学」(著:福島哲夫)です。

-----内容-----
どうしたら、カウンセラーになれるの?
⚪臨床心理士とカウンセラーは、どう違う?
⚪カウンセリングの基本は同情ではなく、共感的理解
⚪クライエントだけでなく、カウンセラーも悩み成長する
悩みがあってもいい。
それを踏まえて進もう!
苦しんでいる人を、敬意を持って受け止めるスキル!

-----感想-----
フロイトの精神分析学、ユングの分析心理学、アドラーの個人心理学、これらは人によって相性の良し悪しはあると思いますが三つとも臨床(患者さんに接して診察や治療を行うこと)に応用できる心理学です。
人の心の不調と向き合う臨床心理士にもフロイト派、ユング派、アドラー派といて、それぞれの心理学をベースにして患者さん(クライエント)とカウンセリングを行っているようです。
私はカウンセラーを目指すわけではないですが、これらの心理学がどう生かされているのか知ってみようと思いこの本を読んでみました。

P18「臨床心理学とはどんな学問か」
臨床心理学は、「心の悩みや心の悩みを原因とする体の不調などに苦しむ人を、心理学的な手法で援助するための学問」とありました。
また「「患者の治療」ではなく、クライエントが心を成熟させ、悩みや苦しみが癒されるよう寄り添い、手助けする学問」ともありました。
理論だけではなく、心の悩みを相談しに来られる方を手助けするための意味合いが強くあるようです。

P20「フロイトとユングの決別」

人間の心の中の「無意識」に対する考え方の違いから二人は決別しました。
イラストの血管が浮き出るほど激怒して火花を散らす二人のうち、左側がフロイト、右側がユングです。
こんなに激しい対立になったのでしょうか
ユングと決別する前にはアドラーとも決別していて、フロイトはだいぶ決別しやすい人だったようです。

P22「心理療法について」
フロイトは「心理療法とは、抑圧された無意識を意識化し、それまで無意識だった衝動や欲求や不安を、意識によってコントロールできるようになっていくプロセスと考えた」とのことです。
過去にあった何らかの嫌な体験が忘れたと思っていても心の中にはしっかりと存在しており、それが現在の自分自身の心に影響を与えているのを知ることで、その嫌な体験の記憶と向き合いコントロールできるようにすることによって、心の不調を治そうというものです。
フロイトのこの考えはアドラー心理学の体育会的で手っ取り早いイメージと対極にあると思います。
フロイト派から見るとアドラー派は「何だその強引さは」となり、アドラー派からフロイト派を見ると「何だそのまどろっこしさは」となるような気がします。

P24「クライエントについて」
臨床心理学では相談に来る人のことを患者ではなくクライエントと呼ぶとのことです。
これは相談者を「治療の対象」としてではなく、カウンセラーが手助けすべき相手と捉えているからとあり、この考えは良いと思いました。
そしてこのクライエントという言葉を初めて使ったのはアメリカの臨床心理学者カール・ロジャースとのことです。

P28「パーソナリティについて」
心理学ではある人の人格をパーソナリティと呼びます。
パーソナリティの成人後の一貫性(変わらなさ)は非常に高いとあり、これはたしかにそうだと思いました。
年齢を重ねれば重ねるほど、その人の性格は変わらなくなります。
そしてもし自分自身の身近にこのタイプの物凄く嫌な人がいる場合、アドラー心理学の「相手を変えようとしても無理なので自分が変わったほうが良い(相手への反応の仕方を変えるという意味合い)」の考え方が有効だと思います。

P38「臨床心理学が様々な場面で必要とされている」
「専門家以外の人たちが、人間の心の働きについてある程度の知識を身につけ、人を援助するスキルを向上させるなら、多くの人の心の健康が、より守られることになるでしょう。」とありました。
さらに「これからの社会では、より多くの人が心について理解を深めることが大切と言って過言ではありません。」とありました。
これらは私もそう思います。
このストレス社会、「とにかく根性だ」の体育会的根性論で突っ走ったのでは必ず自殺のような悲劇が起きるので、「人間の心には限界があり、さらにその限界は人それぞれなので、自分が大丈夫なのだから周りも大丈夫であるべきだと押し付けてはいけない」ということを社会全体が理解するべきだと思います。

P50「臨床心理士とカウンセラーの違い」
カウンセラーは特定の分野に詳しい人のうち、相談に乗る態度を身につけている人で、健康な人を含め、浅く、常識的に扱うとのことです。
そして臨床心理士はカウンセラーのうち、臨床心理学を専門に学んだ人で、特定の心理的な問題を深く、専門的に扱うとのことです。
カウンセラーのほうは心理分野だけではなく「カツラのカウンセラー」「化粧品のカウンセラー」などもあります。

P52「カウンセリングとはどういうことか」
カウンセリングとは、「クライエントの問題を解決するためのコミュニケーションの技法」とのことです。
クライエントとの信頼関係を築きながら、クライエントが現在抱えている様々な症状や問題の悪化を防ぎ、あるいは取り除き、さらにはパーソナリティの成長を手助けしていくとありました。
そしてカウンセラーは共感的理解によってクライエントと良好な対人関係を築けるよう、訓練を受ける必要があるとありました。

P54「カウンセラーに求められるもの」
カウンセラーはクライエントに対し同情したり腹が立ったりと、色々な感情を抱くことがしばしばありますが、そうした自分の感情に振り回されてしまうと、カウンセリングは効果的なものにならないです。
なのでカウンセラーは共感しながらも、自分自身をある程度コントロールする必要があるとのことです。
これはすぐにはできないと思いますし、たしかに訓練が必要だと思います。

P60「カウンセラーに向いているのはこんな人」

必要な資質として三つ挙げられていました。
①「この人なら分かってくれる。だからこの人に話したい」と思わせるような受容力。
②相手を共感とともに理解する共感的理解の力。
③相手に伝える能力。
相手に伝える能力は相手の話を聞いていること、理解していることを伝える意思表示はもちろん、相手が上手く言えないことを、カウンセラーが代わりにまとめるという伝達能力も必要とのことです。

P62「心の問題について」
心の問題は一人で苦しむよりも、カウンセリングを受けて相談する方が解決しやすいとありました。
これはそのとおりだと思います。
カウンセラーは敵ではなく、クライエントが苦しい状態の心と向き合い整理していくのを手助けしてくれる存在なので、一人で悩むよりだいぶ良いのではと思います。

P70「人の心を「理解する」とはどういうことか」
「人の心を100%「わかる」ことはできないという自覚が必要。人の心を「わかる」とは、未知の部分があるという自覚と、常に背中合わせ。」というのが印象的でした。
他人の心を完全に理解することはできないというのを分かった上で、できる範囲で理解していくことが大事なのだと思います。

P80「臨床心理士の育成過程」
カウンセラーに必要な資質として新たに「絶え間なく自分自身を見つめていく能力」というのが出てきました。
一括りにカウンセラーと言っても臨床心理士、認定カウンセラー、産業カウンセラーなどがあります。
ここでは最もハイレベルな資格の臨床心理士の育成過程が説明されていて、書かれている内容が凄まじかったです。
臨床心理士になるための訓練は尋常ではなく大変だと思いました。
これは人の心の問題を深く専門的に扱うためには自分自身の人格を磨くことが何より大事ということなのだと思います。

P84「どんな時にカウンセラーが必要なのか」
「客観的な症状の重さではなく、その人にとって苦痛が重荷となった時こそ、カウンセラーが必要な時なのです。」という言葉が印象的でした。
他の人から見ると大した問題ではなさそうでも、その人から見ると心が押し潰されそうなくらい重大な問題だったりすることがあります。
そしてこれを周りが「そんなの大した問題ではない」と切り捨てたり押さえつけたりすると悲劇につながる可能性があるかと思います。
「その人にとっては重大な問題」だというのを周りが認識することもまた必要なのだと思います。

P156「日本の社会が抱える心理的問題」
先が見えない社会的不安、安らぎの場であるはずの家庭の崩壊など、現代を生きる私たちは、心に問題が生じる要素をあまりにも多く抱えているとありました。
特に苦痛に晒されているのが精神的にもまだ成熟していない子供たちとのことで、問題点が三つ挙げられていました。
①少子化が進み、家庭内に同年代の兄弟姉妹がいない、もしくは少ない。
②親戚づきあいも頻繁ではなくなっているため、血縁関係の交流も少ない。
③昔のように近所のおじさんやおばさんが、時には親のように叱ってくれるような親密な地域社会も崩壊している。

これらのことから、今の子供たちは精神的に「孤立化」していて常に寂しさを感じているとありました。
そしてこれらのことと反比例して、その分、子供に対する親の影響力が増しているとありました。
その結果親の過剰な期待を子供が背負うことになり、心理的に追い詰められ苦しんでいるようです。

これは特に一人っ子だと過剰な期待を全部背負うので大変です。
子供は生き生きとしている姿が一番だと思うので、追い詰めるのではなく毎日が楽しくなるように育ててあげたほうが良いと思います。


心理学の上に臨床が付き「臨床心理学」となったことで、様々なカウンセリングの技法(カール・ロジャースの考案した来談者中心療法など)や各種の神経症や精神病の種類についても詳しく解説されていました。
そして実際に人の心と向き合う臨床の場で、カウンセラーがクライエントの心にどう向き合っているのか、興味深く読めました。
何かとストレスの多い社会となっている今、悲劇を防ぐためにもカウンセラーの方々の存在は重要だと思います。


臨床心理学の土台となる各心理学の本の感想記事

「面白くてよくわかる!フロイト精神分析」竹田青嗣

「ユング名言集」カール・グスタフ・ユング
「面白くてよくわかる! ユング心理学」福島哲夫
「ユング心理学でわかる8つの性格」福島哲夫
「ユング心理学へのいざない」秋山さと子
「ユング心理学入門」河合隼雄
「イメージの心理学」河合隼雄

「マンガでやさしくわかるアドラー心理学 人間関係編」岩井俊憲
「嫌われる勇気」岸見一郎 古賀史健
「幸せになる勇気」岸見一郎 古賀史健
「面白くてよくわかる!アドラー心理学」星一郎


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