下手の横好き日記

色々な趣味や興味に関する雑記を書いていきます。
ミステリ・競馬・ピアノ・スポーツなどがメイン記事です。

岡嶋二人『開けっぱなしの密室』

2008-07-31 19:30:30 | 
短編集って、だらだらと書けないので、ある意味センスを問われますよね。
だから短編集を読んで納得できる作家は強いと思います。
これは、岡嶋二人氏の最初の短編集ということで期待していました。

 ☆「罠の中の七面鳥」
  男と女、それぞれの視点が入り乱れ、罠の結末へと・・・
  かなりシニカルな話ですけど、こういうのは結構好き。
  でも、オチがもう一ひねりくらいあってもよかったかな。

 ☆「サイドシートに赤いリボン」
  自殺した友人が連れていた若い女の子の正体は??
  関係ないような事柄が、次々とリンクしていくのにうっとり。
  容赦のない結末も、スパイスがきいていて良かったですね♪

 ☆「危険がレモンパイ」
  アマチュア映画を撮影していた大学生たち。
  その1人がビルの屋上から落ちたのは、事故? 自殺? 他殺?
  これは、「うまい!」と思いました。犯人は嫌いですが。

 ☆「がんじがらめ」
  犯人が追い詰められていく倒叙ものなのですが、
  あの〇〇が・・・思わずにやりとさせられました。
  そして、最後のひねりもGood!

 ☆「火をつけて、気をつけて」
  放火犯を引きこんでの計画殺人のはずが・・・
  読者も、途中で「?」となるはずですが、そういうオチだったのね。
  でも、どう考えても、この犯人の頭は悪すぎです(^^;

 ☆「開けっぱなしの密室」
  密室もの!なのに「開けっ放し」?というシチュエーション。
  途中で犯人は分かってしまいますけど、(登場人物少なすぎ)
  でも、ほほう~と思わせるロジカルな作品でした。


どれも、大きなトリックやひねりはないけれど、楽しめました♪
ドラマという面では、「サイドシートに赤いリボン」が好きだな~。
表題作は2時間サスペンスになりそう・・・
と言えば、どれもTV化できそうだな~。
なってるのかな??

軽い、エンターテイメントに徹している作風が、
仕事で疲れている日々には心地よかったりもします(^^)

有栖川有栖『妃は船を沈める』

2008-07-30 18:56:38 | 
待望の火村&アリスシリーズの第8長編。
といっても、連作中編2作を、「幕間」よってくっつけた作品です。


埠頭から海に車が飛び込み、車中から1人の男が遺体で発見された。
一見自殺とも思われたが、様々な状況から警察の捜査は他殺へと傾いていく。
浮かび上がる容疑者たち・・・
「妃(きさき)」と呼ばれる彼女もその1人だった。
3つの願いをかなえる「猿の手」を、宝物として手元に置き、
豊かな財力を背景に、常に若い男たちに囲まれ、女王然として暮らす妃沙子。
火村たちの捜査は、暗礁に乗り上げてしまうが・・・


この作品のモチーフになっているのは「猿の手」という怪奇小説です。
(ネットで見つけました。読みたい方はこちらへ→『猿の手』
これは有名な作品なので、私も読んだことがあります。
この解釈について、火村とアリスが論戦を行うのですが、
火村の提唱する別解釈を聞いて、私はのけぞりそうになりました。
確かに・・・それもアリだな。スゴイ。

そして、後半。
これは久しぶりにうならされるロジック満開!!
例えば、密室もの、アリバイもの、倒叙ものなんかは、
なかなか新技や大技が出にくい分野だと思うのですが、
ロジックの世界は、まだまだミステリファンを楽しませてくれると実感しました。
容疑者の見当がついてからの謎解きですから、
『スイス時計の謎』ほどのカタルシスはなかったですが、
考えれば考えるほど、納得の論理でした。

個人的には、後半に手を加えて欲しかったな~という気がします。
もともと、違う機会に発表された中編2作なので、
後半部分は、前半のネタバラシにならないように配慮されて書かれているのですよ。
それが、なんだかもどかしい。
どうせ長編化して発表するのだったら、その配慮を無くせば、
もっともっと人物描写の深部を描けたのじゃないかと、もったいない気がします。

とは言え、傑作でした。ロジック好きな人は、ぜひ♪

蜂!

2008-07-29 22:45:41 | 日常
昨夜は、心配するほどの豪雨なんか全く来ず、
さ~っと軽く降って立ち去って行きました。
人騒がせだ!と思いつつも、ちょっと胸をなでおろしたり。
でも・・・このまま雨が少ししか降らないと、
またぞろ「渇水」などというものに悩まされるのではないでしょうか??

さて。そんなこんなで記事にできなかった昨日のこと。
出勤すると、同僚が顔をしかめながら手を押さえています。
「どうしたんですか?」と私。
「昨日、蜂に刺された」
「ええ~!!!」
見ると、赤く(それも健康的な色じゃない)腫れあがってるではないですか!
聞くところによると、日曜日に草取りをしていて、
蜂が寄ってきたので、手で払いのける動作をしたらしい。
その結果・・・チクンどころじゃないズガン!という痛みが。
それはもう、脳天に突き出るかというような痛みだったそうです。

幸い(?)スズメバチじゃなく、アシナガバチだったらしいのですが、
(って、どんな蜂だろう???)
刺されるとかなり痛い種類なんだそうです。

やっぱり蜂と戦っちゃいけませんよね・・・と教訓を得たことでした。
今の季節、結構蜂は多いそうです。
皆さんも(私も)気をつけましょう!

いきなり

2008-07-28 18:58:47 | 日常
空が真っ黒になってきたかと思うと、
遠くの方で雷が鳴って、妖しい風が吹き始めています。
これは、一雨来そうです。

あまりにも暑い、カラカラの日々が続いていたので、
この雨は潤いの雨になりそう。
でも、各地で集中豪雨で洪水になったり、被害も出ていますよね。
そんな大雨にならなきゃいいけど・・・

大雨とか、台風とか、
すごい自然災害は、怖いな~と思う反面、ちょっとドキドキしますよね。
何か、超日常に自分がいるような気がして。
アドレナリンがたくさん出る感じ(笑)
でも、雷は停電があったりするのが嫌ですよね。
電子機器にも気を使うし・・・
稲光を安全な屋内から眺めているのは、結構好きなんですけど。

いよいよ雷が近づいてきた気がするので、今日はこの辺で。

今日は休日

2008-07-27 21:31:44 | 日常
日曜日なんだから、まあ当たり前なんですけど休みです。
(たまに休みにならないときもありますからね^^;)

今日はいよいよ月末になってきたので、
来月に値上げをする前にガソリンを入れておこうと思ってスタンドに行きました。
本日の値段、177円。
スタンドには張り紙がしてあって、
「来月1日から、値上げを・・・」
という旨が、申し訳なさげに書かれていました。
しかし、はっきりした価格は書いていないのですよね。
これはやはり、近隣のスタンドの価格を見ながら調整していくためでしょう。

窓ガラスを拭いてくれていた店員さんに、
「幾らぐらい上がるのですか?」と聞いてみたところ、
「10円前後ですね・・・」と苦笑い、泣き笑い(?)のような顔。
むむむ~・・・ということは、187円前後ですか。
さらに9月にも上がりそうな気配も漂っていますし。
はああ~と、ため息が出そうな問答でした。

さて、今日は本屋さんに行って有栖川先生の新作をゲットしてきました。
『妃は船を沈める』
という火村&アリスものの長編です♪
なんか、タイトルが散文的ですよね?
『白い兎が逃げる』と同じ光文社の出版だから?
表紙も『白い~』と同じ牛尾篤さんのイラストで、統一が取れた感じです。

本当は篠田真由美先生の建築探偵文庫新刊を買おうと思って行ったのに無かったので、
(何という本屋だ!!)
有栖川先生の新刊を偵察しとこうと思って新刊コーナーに行ったのです。
ちゃんと平積みになって、手作りポップもあったから、許します(笑)
で、その帯の文句が刺激的なのですよ。
「罪深きもの。汝の名は、そう、女。」(句読点の使い方が最高だ~)
「臨床犯罪学者・火村英生、かつてない強敵と対峙す!」
もう、これは買わなきゃ!っと勝手に盛り上がって、買ってしまいました。
ハードカバーを買わないと決めていたかつての私は、
有栖川先生との出会いでどこかへ行ってしまったようです(^^;

さあ、読むぞぉ~☆

太田忠司『上海香炉の謎』

2008-07-26 18:39:46 | 
2週間くらい前に読んだのに、記事にするのが遅くなっちゃいました(^^;
太田氏バージョンの国名シリーズとも言うべき、霞田志郎シリーズ。
有栖川氏の方は、臨床犯罪学者と推理作家のコンビですが、
太田氏のは、作家の兄と漫画家の妹のコンビです♪


霞田千鶴は同人活動をしている漫画家の卵、19歳。
外国へ行っている両親の留守を預かり、作家の兄・志郎と暮らしている。
そんな中、志郎のファンだという水沢美智子が、
失踪した姉・圭子を捜して欲しいと志郎を訪ねてくる。
数日後、水沢家に招かれた志郎と千鶴。
ところが、その夜、姉妹の父の愛人が、水沢家で殺される。
死体に残されていたリボンは失踪中の圭子のもの、しかも現場は密室だった!?


本格のテイストたっぷりの作品ですね。
驚天動地のトリックは無いのだけれど、ロジカルに展開していくストーリーがいい感じです。

密室トリックは・・・ちょっとというか、かなり地味(^^;
多分、私の頭が、島田荘司氏や森博嗣氏のような作風にやられすぎたから?(笑)
そのあたりが、不満と言えば不満。
あと、やっぱり伏線の妙が薄い気がするのも。

霞田志郎と千鶴のキャラクターも、ほんわかといい雰囲気。
ちょっとブラコン気味の千鶴の言動が、おもしろかったり。
どういうキャラになっていくのかが、楽しみです。

それにしても。
こういう肩の力が抜けた「本格」も、読んでるとホッとします(^^)

怒涛の・・・

2008-07-25 19:00:23 | 日常
今週からの3週間は、怒涛の繁忙期です。
余分な仕事をする暇もないくらいキツキツなので、
ここへ入るまでに、ある程度の日常外仕事は片付けてきたのですが、
それでも、あと1つやりかけの事項が・・・
隙を見てチャッチャとやり終えないといけませんね。

明日も仕事なので、ちょっと憂鬱です・・・
いかんいかん! こんなテンションが下がっているのは。
なんとか気力を奮い立たせて頑張ります☆

この繁忙期が終われば、夏休み♪
今は、それを楽しみに頑張っています。
とりあえず、今年はオリンピックを見ようと思っているので、
遠出の旅行をする予定はありませんが、
応援する甲斐のあるオリンピックになって欲しいなものですね☆

暑いよ~

2008-07-24 19:27:32 | 日常
今週は、真夏!!っという天気で、朝から気温が上へとまっしぐら!
な~んかむやみに「!」をつけたい気分です(笑)

もうエアコンはフル稼働ですけど、
やっぱりエコ設定なので、ちょっとバタバタすると室内でも暑い!(^^;
団扇が欲しいな~と思いつつも手元に無かったので、
使ってたプラスチックの下敷きでぶんぶん扇いでいたら、←学生みたいw
パキンっ!と音がして、ヒビが入ってしまいました・・・(涙)
セロハンテープで補修している自分が悲しかったです。

そんなこんなで猛暑な日々なので、
やたらと冷やし麺系ばかり食べています。
そうでなくても麺類派なのにね(^^;
そうめん、冷やしうどん、ざるうそん、冷麺、冷製パスタ・・・
ああ、小麦粉の値上がりが恨めしい。

コーヒーもとっくにアイスコーヒーにしてますし、
冷凍庫にはアイスクリームも完備!

でも、暑いのは、やっぱり暑いな~・・・
皆様も、夏バテしませんように!

宮部みゆき『ブレイブ・ストーリー』

2008-07-23 23:59:59 | 
『ブレイブ・ストーリー』はずっと読んでみたいと思っていたのですが、
先日、ひょんなことから知人に「愛蔵版」を借りることが出来まして、読んでみました。
この「愛蔵版」には、新聞連載時の挿絵もついているという豪華版なのですが、
分厚い&重い&ページが1000ページ以上というボリューム。
読むのに4日くらいかかってしまった(^^;


三谷亘は小学5年生。父と母と平凡だが幸せな生活を送っていた。
ある日、幽霊が出るというビルを親友のカッちゃんと探検に出かけた亘は、
そこでビルの持ち主・大松と、その娘で心を病んでいる香織たちに出会う。
香織のことが気にかかって幽霊ビルに再び1人でやってきた亘は、
偶然、ビルの中の不思議な扉を通って、幻界へ迷い込む・・・
両親の離婚、母のガス自殺未遂という家庭の崩壊に直面した少年が、
運命を変えるために幻界を旅し、成長していく、勇気の物語。


新聞連載時には描ききれなかった後半が、力強くまとめられています。
宮部みゆきという作家を何も知らなかった頃に連載を読んだときとは、
私自身が受ける印象も、そこから出てくる感想も、全く違いました。

連載でこの作品を読んだときは、あまりにもベタなRPGファンタジーだと思い、
ゲームが好きだという作者が趣味で書いたものなのかな~という印象でした。
それにしては、主人公の置かれた立場がシビアだとは思いましたが・・・
う~ん、現実逃避の物語なのかな?と思っていた記憶もあります。
でも『理由』を読んだ後にこの作品を読むと、別の面が見えてきます。

『理由』の登場人物たちは、自分と他者との距離や理想との乖離に苦しみ、
強引に他者を自分に近づけようとしたり、環境を捻じ曲げようとしたり。
その挙句に、厳然として残っている「非理解」につぶされて破滅した。
現代社会という環境と未成熟な人間性が、彼らを追い込んでいった。
あの作品は非常に読者にとっては重いシリアスな作品です。
それは、読む者にどうしようもない無力感を与えるから・・・
作者だって、重かったんじゃないかと思います。
あれは、単なるエンターテイメントというには、テーマが大きすぎました。

だから私は、この『ブレイブ・ストーリー』こそが、
宮部氏のまいた希望の種なのじゃないかと思ったわけです。
ならば亘の置かれた環境の苛酷さもわかる。まさに『理由』の悲劇です。
しかし、亘は幻界を旅することで、一つの結論を得ます。
心の強さこそが、現実を見つめ、それと戦う勇気こそが、大切なのだと。

だから、この『ブレイブ・ストーリー』は、ファンタジーじゃない。
人が過酷な現実と戦う勇気を見つける物語ですよね!
RPGはあくまでも手段に過ぎず、心の問答こそが主題だと思います。

人間の心の強さを信じたい人にこそ、お勧めの作品です♪

貫井徳郎『失踪症候群』

2008-07-22 23:59:59 | 
症候群シリーズというみたいです。
噂には聞いていたのですが、読み始めて納得。
これは岡嶋二人氏の『眠れぬ夜の殺人』のシリーズの貫井氏バージョンです。


次々と起こる若者たちの失踪。
現実からの逃避として、世相を反映する社会現象かと思われるのだが、
刑事部長は、その底に微かな事件のにおいを感じ取る。
そこで、彼が呼び出したのは警務部人事二課の窓際族・環敬吾。
環こそは、警察が表立って捜査できない事柄を調査するスペシャリストなのだ。
手足となる部下は、警察外の秘密のメンバー、原田、倉持、武藤。
刑事部長からの指示を受け、環はチームを率い失踪者の調査を開始する。
すると、失踪者たちには意外な共通点が・・・


読み始めたとき、あまりにも『眠れぬ~』に似ていたのでびっくり。
『眠れぬ~』を大好きだった貫井氏が、続編がもう出ないことを惜しみ、
だったら自分が書く!と始めたシリーズらしいと小耳に挟んではいましたが。
だから、書き出しなんかも非常に岡嶋作品を意識したものになっています。

うまいな~と思ったのは、主人公たちのキャラクターを説明するのに、
第三者の視点を上手に使っていたこと。
この導入の仕方によって、無理なく環チームのメンバーの特徴がわかります。

で。ミステリとしてなんですけど・・・
岡嶋作品の方が、圧倒的にエンターテイメントですね。
展開のスピーディーさや、ハラハラ感、何よりトリック。
どう読んでも、そちらは『眠れぬ夜の殺人』の方が強烈です。

しかし、今回の貫井作品には社会派としての重みがあります。
「失踪」の周辺に見え隠れする現代社会の病巣。
そういうメッセージ性においては、貫井作品の方に軍配が上がるでしょう。
さすがは『慟哭』の作者。

症候群シリーズ、取りあえずは全部読んでみたいです。