
2006年12月26日
於:パラボリカ・ビス@浅草橋
パフォーマンス&朗読:山口小夜子
ホーメイ:山川冬樹
イラストレーション:山本タカト
映像:掛川康典 生西康典
音楽:Ayuo
久々に 生身のアート 生きて血を流すアートに触れた感触。
真っ暗闇に 地の底から地鳴りの様に響くホーメイと 二胡(?もどき?)の音から始まる舞台。 楽器の音は 二胡よりは ぎーぎーと ノイズィー で 不安をかき立てる様な 破壊者の様な音色。 初っぱなから そこには 死のにおい。 世界中で 時代によって 美の基準は違うけれども 世界中 時代を超えて 共通する感覚は 恐怖 不安。
ドンドンドンドン 太鼓の様な音が それにかぶさって響いてくる。 これは 心臓に聴診器をあてた 山川冬樹の鼓動を拾っているらしい。
そこに 舞姫 山口小夜子 登場。 ドレスに薄物を羽織り あの世とこの世の境界の様な空気をひきずっている。 炎が ついたり? 消えたり? と 思ったのは マッチをすっていた? らしい? 客席にまでただよってくる マッチをするにおい。。。 舞台に設置した 蝋燭に 火を灯し 上からつるした照明も フラッシュの様に点滅し
突然 電話のベルがなる。
「もしもし。六条さんのお宅ですか? やすこさん いらっしゃいますか?」
あとから思えば これが また一つの不協和音となって 不安感が より現実的な感覚として迫ってくる要因となっていた。
そして 始まる 山口小夜子のパフォーマンス。 これが 美しい。 かっこよい。 舞台の上には 大きなついたてがあって そこに 映し出される映像。。。が 殆どモノクロ-ムなんだけれども 観客への媚びが 全く存在しない なんとも かっこよくて どうやって ああいう映像作るんだろう? 白い面に 飛沫が飛び散ったり 渦がねじれて 樹々が生い茂り 紙吹雪が舞い。。。 動きはしなやかなのだけれども 刃物で切った様に これ以外はあり得ない という 空間 動作。
丸いスポットの中に 山口さんが スッと立ったと思ったら そのスポットの中心から 顔の中心から 亀裂が走り 闇が広がっていく。この場面が すごいインパクトだった。
強いライトにあたって 山口さんのシルエットが 美しく 後ろのスクリーンに映し出される。 上に羽織った薄物の影も綺麗だし 何より あの 手足の長さ 動きの美しさ。 全て 控えめで 抑制された ゆっくりした動きが 謡いに乗って 妖しく ゆらめく。 まるで この世のものでは無い様な。 神秘なものが 下す 啓示の様に。
そして 恋月姫ドールを抱えて 舞踏は続く。
寸分の隙の無い 完成度の高さ。
初めて聞いたので 意外でびっくりしたのが 山口小夜子の朗読。 声に こんなに演技力があるのか というのに 驚いた。 この声と この肢体と。 自分の魅力を熟知して それを存分に生かした舞台 というのは 素晴らしい。