不適切な表現に該当する恐れがある内容を一部非表示にしています
テルミンの彼方へ
宇宙とシェアする楽の音
 





演出 串田和美

清玄 中村勘三郎
権助 中村橋之助
桜姫 中村七之助
見せ物師勘六 笹野高史
残月 阪東濔十郎
長浦 中村扇雀

歌舞伎)  コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )






『五重塔』幸田露伴原作
大工十兵衛 勘太郎
朗円上人  市蔵
大工源太  獅童

『海神別荘』泉鏡花作
美女 玉三郎
博士 門之助
公子 海老蔵

歌舞伎)  コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




十二夜「シェイクスピアの名作「十二夜」を蜷川幸雄の演出で歌舞伎座初上演!この夏、演劇界話題の出逢い」(ちらしより) 舞台を日本に移して オーシーノ公爵やオリヴィアは お公家さん ヴァイオラやセバスチャンは武家 という設定です。

ともかく 蜷川です。 何が蜷川って。 まず 幕開け。 幕があくと 舞台全面鏡です。 舞台の奧の鏡に 客席が写っているのですから それだけで どよめき。 試しに手を振ってみているお客さんもいました。 で それは ほんの一瞬で すぐに暗転。 

次に明るくなった時は 鏡の向うにライトが当たって 鏡の向うが透けて見える様になっています。 鏡の向うは 一面に桜。 チェンバロや 異国の音楽を演奏する楽人達。 手前の鏡には うっすらと 客席が写っています。 そこに 花道を歩いてくる 信二郎扮する大篠左大臣(オーシーノ公爵) 花道には強い照明が当たっているので その姿は 舞台の上の鏡にくっきりと写ります。 それは まるで 鏡の奧の桜の園の中を歩いてくる様な錯覚。

こんな感じ。

そのあとも 大がかりな演出が続きます。 ここは ディズニーランドか? という様な局面も。。。 文句無しに面白かったのですが これで 良いのか 悪いのか 分かりませんー(← 頭 固いかも(>_<)) それでも コクーンほどには 波瀾万丈の舞台にはならずに やはり ここは 歌舞伎座。 演出の違和感は 次第に 置き忘れられ(単なる慣れ?) 物語に引き込まれていきました。

菊之助は 本当は 女性の 琵琶姫(ヴァイオラ)で 遭難後 男性の獅子丸(シザーリオ)に化けて 大篠左大臣に仕えます。 本来は男性の役者が 女形をやって その女形は 舞台の中で男装している という二重の倒錯があります。 それは シェイクスピアの時代の舞台と 一緒です。 大筋は男性のふりをしているのですが 時々 「女性」が出てきます。 この「女性」が 良い。 左大臣を見つめる 獅子丸 この時は お小姓姿なので 変なのだけれども その顔は まるで 女の子の顔です。 菊之助は 女形の方が似合うなぁ と思いました。

鏡は 最初に登場するだけではありません。 芝居が続く間 ずっと 舞台奧に鏡 襖は鏡 舞台袖も鏡(舞台転換の時が面白い) 全編を通じて 現実と虚構のないまぜ という雰囲気が よく出ています。 しかも 自分も鏡に写っているのですから 観客だと思っていた 自分が いつのまにか舞台にいる。 鏡に写る 役者さんの後ろ姿と客席。 視点がどこにあるのか分からなくなりそうです。 そして 最後には 鏡は真実を映す と言う事で 舞台の設営が動いて 鏡の手前も 向うも 一緒の1つの世界になってしまう という 綺麗なオチがついています(なんていう説明は どこにも書いてないですが。でも そんな印象)

この芝居を引っ張っているのは 菊之助です。 この若さで すごいなぁ。 勘九郎に続くパワーを感じるのは 若い世代では まず 菊之助。 この『十二夜』も 菊之助ひとりの為の芝居の様なものです と思ってみていたら 最後は オヤジ が持ってった(笑) 流石 菊五郎。 親子の世代が こうして 新しい演劇の中で 同居している というのは 見ていて 気持が良いです。 よい家庭なだろうなぁ。

ちょっと ん? と 思ったのは 出てくる役者さんの数が少ない。 論理的で ストーリーテリング的な要素が強いので そうなるのかな。 確かめた訳ではないけれども おそらく シェイクスピア劇は どれも こんな感じなんじゃなかろうか と思う。 登場人物が 多くて 2ページくらいで列挙できてしまう様な。 シェイクスピア劇団は 歌舞伎と違って そんな大所帯じゃなかったのかな。 役者さんの数が少なくて ストーリーを追っていく というあり方は 狂言に近い。

あと コメディはコメディなんだけれども 「なんで ここで笑うねっ!?」という客席。 わたしも つい笑ってしまったけれども。 最後 斯波主膳之助と琵琶姫が再会を喜ぶシーン。 菊之助は 主膳之助をやっていて 琵琶姫は 他の役者さんが 代理で舞台に立っています。 それで 声は 主膳之助も 琵琶姫も 両方とも 菊之助がやる。 主膳之助のセリフの時はよいですが 琵琶姫のセリフの時は 菊之助が腹話術をする訳です(ですよね? これ?) 変。 でも おかしい。 菊之助 よく頑張った☆

あとは ●●姫に 身も世もないほど 恋こがれていた人が 事情が変わると 次の瞬間に ころっと ○○姫こそ 自分にとって 運命の人だ みたいに振る舞う事に対する違和感 というのは シェイクスピアには いつも付いて回るので 不問にしよう(ロミオとジュリエットだって そうだった)

歌舞伎)  コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




桜姫勘九郎(現勘三郎)抜きで初めての コクーン歌舞伎です。

原作は鶴屋南北『桜姫東文章』 南北のエロ・グロ・どろどろ・ナンセンスの世界を コクーンで。 はまりすぎ。 演出は 引き続き 串田和美さんです。

筋は よい子は読んではいけません という感じですが。。。ならず者の権助に操を奪われた桜姫 その夜に身籠もった子は 隠して生んで里子に出して さて桜姫は権助の肌が忘れられず 公家の身分を惜しげもなく捨てて(正確には ちょっとした 身から出た錆で 捨てさせられるんだけれども) 地べたに落とされ 権助と一緒になったは良いが ちょっと下々の行儀作法をどこかで習ってこい という事で 非公認の風俗営業店 女郎屋に修行に行き 立派になって帰ってきたものの 権助は実は親の敵だ という事が分かり 酔いつぶれた権助を殺してしまう 回りの人間も なんだかんだと 結局 桜姫に巻き込まれる形で 人生をコワされていく というお話です。

ちらしには「運命に翻弄され、流転の人生を歩む桜姫」 とありますが 舞台の上の桜姫には 悲愴感 というものが 全く無い。 どんな展開になっても 桜姫はびくともしない。 社会的価値観や 制約にしばられて 我が身の不幸を嘆くだけ という男どもと比べて 自分の本能の声だけに忠実な桜姫は たくましい。 公家のお姫様から  遊女へ という変化の中で 自分を惨めに思ったり 不幸を嘆いたり という事が無い。 そもそも 自分を 不幸とは思ってないんじゃないか という気がする。 

う~ん。 これぞ まさしく 姫ぱわぁーー! ここでよよと泣き崩れる なんていうのは姫もどき。。。。というのは わたしの勝手な持論ですが。 不幸 というのは 他人と自分 という 社会的関連性から生まれる感覚です。 ところが 姫にとっては 関係性は 事象と自分 という事しかない。 素晴らしい環境適応能力です。 基準にするのは 自分の心の中からの声だけです。 清玄だって ちっとも社会的動物ではなく 白菊丸の生まれ変わりである桜姫しか眼中にないストーカーな訳ではありますが その結果 狂ってしまう。 桜姫は 狂わない。 それは 生む性である女性の 恐るべき生活力・生命力 でもあります。 

そんな桜姫 の仲間入り はイヤだったみたいですが 遊女には 抵抗が無い様です。 添い遂げたい男に操を立てる為に 出家をしよう とまで思ったのに その男に 「下々の礼儀作法を身につける為に」という事で 遊女屋に預けられる時は 「よっしゃ~♪」みたいなものです(これには 他にも理由はあるのだけれども まあ それはともかくとして) とりあえず 涙涙の愁嘆場 は無い。

桜姫は ちょっとおいといて。 コクーン歌舞伎においては 演出がどうなっているか 芝居の解釈がどうなっているのか という事に 興味があります。 客席と一体となって ときには 役者さんが客席に座り込んで舞台やお客様とやりとりしながら という演出はいつもの事ながら 今回は 見せ物小屋の趣向 という事になっておりました。

例えば 2幕の出だし。 芝居が始まると 舞台の上 役者さんが配置についてポーズを取っています。 そこに 口上役の あさひ7オユキさんが 台に乗って するすると登場。 その台を移動させる黒子さんも 江戸時代の汚い衣装です。 あさひ7オユキさんが 状況説明を弁士の口調で述べ立てる間 黒子さんは ポリポリ体を掻いたりしています。 そして あさひ7さんが 黄色い矢印が先についた 長い棒で 順に登場人物を指し示しながら 紹介。 矢印でさされた役者さんは 一瞬動き すぐまた別のポーズで静止。 からくり人形の様です。 一通り説明すると あさひ7さんの乗る台は 黒子さんが 舞台の袖に引っ込ませて 登場人物は 魔法が解けた様に自由になり 物語が動き始めます。 

この口上役の あさひ7オユキさん。 この人が とっても面白い。 いい味出しています。 他の この人の舞台も見てみたい。

時々 大歌舞伎の真似をするかの如き わざとらしい 大まじめな見得。 計算された稚拙美 みたいな感じが 面白い。 サブカルチャーな歌舞伎が戻ってきた みたいな印象。 ペヨトル工房の今野さん こういうの好きだろうなぁ~。 今 どうしているかなぁ。。。


歌舞伎)  コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )




勘三郎襲名披露祝いの花中村勘三郎襲名披露興業です。

玉三郎さんの『鷺娘』 絶品。 玉三郎さんの舞踊では 動きの軌跡が 目で見えます。 よく バレリーナの漫画で 腕をすーーっと動かすシーンで 千手観音の様に 何本もの手を描いてあるコマがありますが 玉三郎さんの舞踊では 正に それが 見えるのです。 どういう風に 手を動かすと そう見えるのか さっぱり分かりませんが そう見える。 周囲の空気の粘性は小さく 軽い空気の中を 手が すすすすすーーっと動く。

衣装の引き抜きや ぶっ返りなど ビジュアル度満点。 あの 衣装の引き抜き どうやってるのかしら(←自分もやってみたい と思っている) 最後 銀色の衣装で 雪の舞う中 恋ゆえの地獄で 舞い狂うシーン 遂に息絶えてしまうラスト。 瀕死の白鳥です。 と書いてみて 思った。 どちらも 白い鳥なんですね。 

夜の部 勘三郎の演目は 『研辰の討たれ』 
通常 襲名披露興業 と言うと 先代の当たり役 先代と縁の深い演目を持ってくるものですが これは 先代勘三郎の芝居 というよりは 勘九郎(新勘三郎)の芝居です。 さすが 勘九郎。

ロビーの花は 流石に 最初ほどの混雑はなくなりました。

歌舞伎)  コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )