(カンガルーやバラマンディを使ったバーベキュー)
オーストラリアの自然については前に書きましたが、私のもう一つの関心は、やはり「食べる」ことです。
オーストラリアの言えば、宗主国イギリスの伝統を受けたフィッシュ・アンド・チップスやミートパイ、あるいはバーベキューというものが思い浮かぶようです。そんなに「美食」の国というイメージはありません、しかし、どこの国に行っても美味しいものはあります。
まずオーストラリアらしい食材としては、カンガルー、クロコダイル、バラマンディ(鱸の一種)あたりでしょうか。これは、エアーズロックを見ながらのバーベキューディナーでいただきました。
カンガルーは固めの牛肉、クロコダイルは鶏肉に近く、バラマンディは鱸よりも少し大味に感じました。いずれも繊細な料理というよりは、バーベキュー素材として豪快にいただくのに向いているという印象でした。
一方、感激したのはシドニーのフィッシュ・マーケット。東京で言えば築地魚市場のようなものですが、もっと一般客に開放されていて、その場で海鮮食材をいただいている客がおおぜいいます。私も生ガキをいただいてみたところ、身はやや小ぶりですが、しっかりと身が詰まっていて、たいへん美味でした。何より、6個7ドル(1個100円もしない)といった、信じられないような安価で食べられるのに驚かされました。
(シドニーの魚市場で手軽に食べられる生ガキ)
そして、今回のオーストラリア滞在でもっとも美味しいものが食べられたのが、パークハイアット・ホテルでのディナーでした。ここは、ホテルとしてだけでなく、レストランとしても一流店で、しかもシドニーの夜景を見ながら食事ができる最高の場所です。
オードブルに新鮮な生ガキやエビを、メイン料理には牛フィレ肉のステーキや鮪(マグロ)首肉の炭火焼をいただきました。すべて美味しかったのですが、なかでも興味深かったのは、鮪首肉の炭火焼。店の人に「マグロは日本料理にはよく使う食材だけど、オーストラリアでもそうなのですか?」と(もちろん英語で)尋ねたところ、「いいえ、珍しい料理です。ここのシェフはオーストラリア人ですが、数年前に日本に行って、こういう料理をインスパイヤーされてきたんです。」という返事が即座に返ってきました。
(パークハイアットホテルで出された鮪首肉の炭火焼)
遠くシドニーへ来て、日本料理にヒントを得たオーストラリアの料理を堪能した夜でした。