そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

6月2日(月)

2008年06月02日 | 昔日記
 朝一番の演習は2人の発表だった。もうちょっとレベルを上げないとなあ。質疑応答の歯車も噛み合っていない。収穫は、歴史的仮名遣いでは「を」となるところが、どうして「お」で書かれている場合があるのかを質問したら、Iさんがさっと手を挙げて、「定家仮名遣い」について立て板に水の説明をしてくれたことだ。大いに褒めておく。

 11:30に編集者の方が研究室にみえる。新しく出す本の相談である。入門編と応用編の2冊の企画になっている。書道関係の出版社なので、そうした色合いが強く出ている。いくつか意見を申し上げた。正午過ぎになって、非常勤の講義を終えたパートナーがやってきた。相談に加わってもらう。できれば共著にして刊行したいと思っている。13:00近くになったので、あわてて教育学研究科の授業に向かう。

 少々遅刻して教研の授業を始める。全国国語教育学会の大会に行ってきたという院生さんに、納豆チョコというのをいただいた。水戸の名物か。今日は2人に発表してもらったが、それぞれに次回補足をお願いする。

 14号館での授業が終わったので、そのまま中央図書館の特別資料室へ。来週からニューヨークへ出張するF調査役に、苺白書大学東亜図書館へ届けてもらう「お土産」を渡した。F調査役は「角田柳作展」開催の業務で渡米するのだが、角田が作った日米文化学会に、昭和3年宮内省図書寮から寄贈された図書に関する公文書が残っており、それに関する資料を届けてもらうことになったのである。苺白書大学東亜図書館に所蔵される日本図書の沿革の一端が明らかになったというわけ。F調査役とは、大口寄託話のその後と、M記購入申請についても相談する。

 それから地下鉄に乗って神楽坂に行った。「松屋東京本店」で法論味噌を買う。木曜の演習で「法論味噌売り」について学生が発表するのだが、その実物を用意する必要がある。店に入るなり「法論味噌ください」と言ったので、先客がビックリして「何事ですか?」と尋ねられた。「授業で使うんですよ」と答えたらますます変な顔をされた。今、「言葉とイメージ」という演習で学生と読んでいる七十一番職人歌合に出てくるのだから、仕方が無い。

 大学に戻ると、もう基礎演習の時間である。2つのチームにプレゼンテーションをしてもらった。これでプレゼンのやり方は一応終了。それぞれpptを駆使して取り上げた論文を説明し、自分たちなりの展開部分を加えてくれている。F氏の論文について批判がでる。私も同感といったら、皆驚いている。論文は正しいとは限らない。疑義や批判は、自分の論文を構想する上で非常に重要なのである。次回までに夏季課題に向けてのテーマの絞込みを宿題にした。それを受けて、研究文献の検索方法をみっちり講義する予定である。

 やっと時間ができた。今日は昼食を摂りそびれた。どこへ行こうか思案して、「五郎八」へ。「勝おろし」の蕎麦をたぐっていたら、「すゞ金」のご主人がお仲間2人と入っていらっしゃった。そちらはもちろんお酒である。19:40からもう一つ講義があるので、当方アルコールを入れるわけにはいかない。とほほ。

 夜学の講義は、文献学の概説が終わった。無駄話が存外ウケた。だんだん受講生は減って行く。5回まではいいけど、6回欠席したら不可にすると宣言しておいた。期末試験の実施方法のアンケートがきたが、だいたい教場試験で済ますつもりだ。

 学部長選挙の自薦・他薦による候補者受付の締め切りが迫ってきた。動きが出てきたようだ。推薦人になることを頼まれたという人の話をいくつか聞く。ふ~ん、そう来たか、なるほどね、という感じ。とはいえ、紅旗征戎は吾事に非ず。X教授が立候補でもすれば投票するのになあ、と思っている今日このごろである。