そのころ、世に数まへられぬ古教授ありけり。

この翁 行方定めず ふらふらと 右へ左へ 往きつ戻りつ

6月10日(火)

2008年06月10日 | 昔日記
 ゆるゆるした所用で右往左往の一日。

 教育実習校訪問のため墨田区の××中学へ行く。10:00に訪問する約束で、早めに家を出た。日暮里から京成電車に乗る。どこかで車両故障があったらしく、ダイヤが乱れている。京成は、どうも路線がよく分からない。慌てて乗り換えた電車は逆方向に走り出した。ひと駅先で逆戻りする。八広という駅で降りて歩く。交番で道を尋ねたら、私もこの辺の者ではないから分かりませんと警官に言われた。自転車を押しているおばちゃんをつかまえて、校門を教えてもらった。10:00ジャストに到着。

 校長先生と20分ほどお話しした。実習生は1人だけで、昨日から実習期間がスタートしたのだが、もう教壇実習をやっている。いろいろ配慮をしてくださっていることがよく分かる。。今度は研究授業の参観に来ることになっている。

 今日は暑い。去年買ったクールビズのスーツを着てきたが、シャツはもう汗びっしょりだ。曳舟という駅で電車に乗って、日本橋で乗り換え、神楽坂で下車。14:45から図書館の会議だが、その前に館長室で資料リストを見せてもらうことになっている。14:00くらいに図書館に行けば良いだろう。さて、どこで昼にしようか? 「松庵」で蕎麦でもたぐろうかなと思案しながら前を通り過ぎると、その先に黒っぽい何だかよくわからない店がある。店名が小さな文字で書いてあるので、老眼には読めやしない。すると店の横から、突然K氏が出てきた。

 K氏は以前、「門波」というレストランのシェフをしていた。「門波」には、割とよく通っていたのだが、数年前にこちらの方に店を出したという話は聞いていた。「門波」の後には別の店が入ったが、それも神楽坂に移転して行った。K氏とはほんとに何年ぶりだろう。

 じゃあランチ食わせてよとお店に入る。BGMはベートーベンである。厨房はちょっと雑然としているかな。白ワインを2杯飲んで、ランチをいただいた。K氏のノリは相変わらず。簡単に言えば、まあ下品でスケベな人だ。煙管で煙草を吸っているのは感心しないが、なぜか話が合う。「MANGER KAWANAMI」というお店。「松下」「松庵」の並びで、ちょい西にある。また来てみるかな。でもメニューがなく、値段も表示されていない、いささか入りにくい店である。

 大学の講堂の脇を通ったら、職員のTさんが煙草を吸っている。今、大和和紀とJ准教授が対談していますと言われた。ちょっと覗いてみる。なかなか盛況、観客がたくさん入っている。源氏物語千年紀のイベントだな。

 図書館に着いて、館長室で資料リストを閲覧させてもらった。これはすごい。40分かけてざっと見終わった。それから図書館の会議である。私はこの会議では、常に与党的立場をとることに決めている。館長に対していくつかの質問と、意見を申し述べた。常勤嘱託のMさんも、会議の受付の手伝いをしていた。そのうちおごると申し上げているが、なかなか機会が作れない。申し訳なし。

 会議は1時間ほどで終わった。今度はW中高へ行く。そこの教諭をしているM君からメールが来て、I先生が私に聞きたいことがあるのだという。いつなら研究室に居るかと問い合わせてきたので、こちらから参上すると申し上げた次第。受付で来意を告げ待つことしばし、I先生が現れ、国語科準備室へ案内された。そこでI先生、中山冷泉為親と今城定淳の短冊のカラーコピーを取り出し、読みを確認したいとおっしゃる。やれやれ、難しいものでなくてよかった。ひらがななら大丈夫。何でも今城家の子孫の方からの依頼らしい。相場は1枚25,000円くらいですねと、余計なことまで申し上げた。

 ここは、今は亡き我が指導教授が、かつて校長をしていた学校である。I先生は今やそこの長老?で、本年をもって定年を迎えられるという。M君も顔を出して挨拶してくれた。私はM君が学部1年の時の基礎演習の担当者、つまりクラス担任だったのである。それ以来のつきあいで、修士論文の副査もつとめたし、結婚式にも出席した。おつれあいもお元気とのこと。しっかりと中高の教諭をやっている。I先生から、お礼にとお茶やお菓子をいただく。

 帰りがけにまた神楽坂に寄り、チーズとコーヒーを買った。「緑の豆」では焙煎に10分かかると言われたので、その間「アルパージュ」に行き、でカマンベールを1つもとめた。それから、家の近くの八百屋で、空豆とゴーヤを買う。八百屋のおかみさんに、先生、日に焼けましたねと言われた。しまった、日焼け止めをしっかり塗ったつもりが、汗ですっかり流れてしまったらしい。ゆるゆると右往左往しているうちに、何もできぬまま日が暮れる。