これが私の生きる道

こむずかしいことやきれいごとは
書いてありません。
読みやすさを心がけて書いています。
読んでみてください!!

ダブル・ファンタジー

2009年10月19日 18時29分07秒 | 読書
柴田錬三郎賞、中央公論文芸賞、島清恋愛文学賞と
3賞を受賞したとのことで、どんな小説か気になって借りて読みました。

『あらすじ』 
奈津・三十五歳、脚本家。尊敬する男に誘われ、家を飛び出す。
“外の世界”に出て初めてわかった男の嘘、夫の支配欲、そして抑圧されていた自らの性欲の強さ―。もう後戻りはしない。
女としてまだ間に合う間に、この先どれだけ身も心も燃やし尽くせる相手に出会えるだろう。何回、脳みそまで蕩けるセックスができるだろう。
そのためなら―そのためだけにでも、誰を裏切ろうが、傷つけようがかまわない。
「そのかわり、結果はすべて自分で引き受けてみせる」。

あらすじを見ても分かる通り、きわどい場面が多いお話です。
不倫しても幾人の男性と関係を持とうと
貞操観念がないなぁなんて殊勝なことは言いませんが
一々素晴らしいセックスを解説されるのには閉口しました。
「もしもこれこそがセックスと呼ばれるものならば、
自分は今までセックスをしたことがなかったのだと奈津は思った」とか
そんなこと真顔で言われても困っちゃうし。
「世の中の女性たちはみんな、こんなすさまじい快楽をふつうに
味わっているのだろうか。」って振っておいて
「そうは思えなかった。」って、すごい自慢されているよな、今
と笑ってしまいました。

恋愛小説で面白いのは相手と結ばれるまでのあれこれで
この小説の奈津のように簡単に身体を許してしまうと
あんた、もうちょっと我慢しろよ、と叱りたくなります。
全体的な感想としては贅沢言っているなぁっていうことです。
お金を持っているのに刺激を求める為に万引きしているような
そういう「ブラックな自分探し」という感じでしょうか。

一番好きだったのは、奈津と旦那が別れる・別れないでもめるシーンで
男女の心が離れていくのってこういう感じだよなぁ、
ってリアルな感じがしました。
どちらの言い分も片方だけ聞く分には、それぞれ真っ当な主張なんだけれども
それを摺りあわす際に齟齬が生じるのは現実にもよくある話です。
逆にこのシーンを境に奈津が家を飛び出して行ってからは
急速に興味をなくしていってしまいました。
あと散々盛り上がって、もうこの人しかいないみたいなことを言っていたのに
次の男が出てくるとそういったことはすぅ~と忘れて
迫ってくるとうざったいって思い始める所も
真に迫っていました。

女性が読んだらどう思うんですかね。
こういうのを軽蔑するか羨ましいと思うか
性差によって感じ方も違うんでしょうか。
ブログなんか読んでも賛否両論って感じだし。
それと賞を決めるのは小説の専門家の方々だから
自分のような素人の感性とは違うんだろうなぁと
毎度のように感じました。

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