夢発電所

21世紀の新型燃料では、夢や想像力、開発・企画力、抱腹絶倒力、人間関係力などは新たなエネルギー資源として無尽蔵です。

花は自分で咲く

2013-04-07 14:34:57 | 福祉について
 重度の知的障害と自閉症を併せ持ったA君。小学校3年生の頃から関わりを持っている。彼の今は昔のひ弱さも微塵もなく、すっかり成長した体躯に変わっている。
 彼は言葉が言えないことと、そのためか以前から自分の体を傷つけるという行爲「自傷」が時々見られた。自分の頬を叩いたり、自分の体をつねってあちこちが傷だらけになっていた。人の多いところが比較的苦手で、静かな場所を好む。体調が悪いとか、睡眠不足とか、服薬をしなかったりすると、この自傷行為が見られた。

 今日はご機嫌かどうかは笑顔の多さでもわかるが、自傷行為の頻度でもうかがい知れた。3月に入ってその彼が今までは見せなかったスタッフや利用者に噛みつくようになった。安全のために母親に通院を促した。
 利用者の安全を確保するために、彼にスタッフ一人がついて個室で過ごすようになった。一週間ほど経過しているが、その間の彼は心理的に安定して生活した。
 何よりもスタッフ全員が感じているのが、彼のそれまでの日常と違って、失禁することなく自分でトイレに往復し、ビーズ通しなどを短時間ではあるがやる気を見せるようになったことである。
 それまでは彼の関心は、感覚的な遊びや水を飲んでは衣服を汚して、着替えを幾度もするという行動傾向があった。

 その彼が今は別人のごとく、噛み付いたり自傷行為もしない、感覚的遊びも少ないとなれば、今までの集団生活が彼にとって如何にストレスになっていたのかということになるのではないか。 

 空間の設定のあり方は、広汎性発達障害の彼らには大きな意味を持っているようだ。今回の彼の他害行動と、服薬の継続化は少なくとも彼に大きな改善につながったように思う。言葉にならない抗議行動が、他害行動として現れていたように思う。
 今後の彼の支援方法をスタッフたちがどのようにしようとするのか、その方向性が問われている。