田舎の道草

田舎の道草徒然日記

笑顔の素敵なおばあさん

2011-07-02 | まち歩き

3月11日の東日本大震災により、職場(8階建)の外壁の一部が崩壊、

場所を移しての勤務が6月24日まで続いていた。

この間、通勤ルート変更を余儀なくされたものの、その出勤途上で、

2つの思わぬ貴重な体験をすることが出来た。

ひとつは、前回のブログで掲載した石仏のお話しと、笑顔の素敵な

おばあさんと出会ったことである。

出勤途上、足元を確認するかのように、ゆっくりとした足取りで散歩する

年老いたおばあさんと、毎朝、木陰で立話しをするようになったのだ。

いつも同じ時間、同じ場所での立ち話しのひと時は、とても楽しく、

大変癒された。

初めてこちらから声を掛けたのは、「おはようございます。良い天気ですね」

次の日が「おはようございます。お元気ですね」だったかと思う。

お歳は、大正14年生まれで86歳とのこと。

散歩するのは健康維持のためで、子供達に迷惑を掛けたくないからという

お話しに親心が感じ取れた。

おばあさんは、よく笑いますねと話し掛けると、「そうなんです。よく言わ

れるんですよ。笑いはいいですよね」の言葉に、「そうですよね、笑いは

百薬の長といいますから」と念を押させていただいた。

笑顔がとても素敵なおばあさんである。

地震のこと、愛犬のこと、早起きであることなどなど、いろいろ話しを

してくれるおばあさんに、いつの日か母の面影と重ねている自分がいた。

元の勤務場所に戻る日が確定した時、劣悪な環境から開放されるという

安堵感と、おばあさんともう逢えなくなるという淋しさから、複雑な心境

であったことを覚えている。

長い梅雨に入る前日、紐で結んだ手作りの「菊花結び」「箸置き」と

走り書きの感謝の手紙を手渡した。「私も毎日とても楽しみにしていました」と

振り返りながら会釈するお顔に笑顔はなかった。

ゆっくりとした足取りで歩き出す後ろ姿に、思わず熱いものが込み上げてきた。

いつまでも、お元気で散歩を続けられることを祈りたい。


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