月刊誌「中央公論」の時評2011で、経済学者の大竹文雄氏が、「若者の就職難で日本社会が失うもの」という論を展開しています。
以下その要旨です。
・就職活動に苦労した世代は「人生の成功は勤勉よりも運やコネによる」という価値観を持ちやすい。 ・学校失業時の就職市場が悪いと、努力すれば人生で成功できるという価値観が崩れ去ってしまいそうだ。 ・勤勉に対する価値観が崩れてしまう対価は大きい。 ・若年者が就職できないという問題は、単にその世代の生産性を下げるだけでなく、競争市場の否定につながり、更なる生産性の低下をもたらす可能性があるのだ。
・ところが、若年者と高齢者の雇用のどちらを重視するかという問題になると高齢者を重視しているのが現状だ。 ・2010年11月26日に京都地裁で出された、定年後再雇用された労働省が雇い止めとなった事件に関する判決がそれを象徴している。雇い止めが無効という労働者勝訴の判決だ。 ・新卒を採用したことが雇い止め無効の理由として問題視されていることが事実である。若年者より高齢者を重視する司法判断がある限り、若年者の雇用が上向くことは当分期待できそうもない。
若年者が就職できずに、生活の安定が得られない状況は、由々しき問題だと思います。なんといっても、この日本の将来を担うのは若年者なのです。けっして、高齢者ではないからです。
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