TSUNODAの経営・経済つれづれ草

身近な経営に関すること、経済に関することを思うままに

東日本大震災、100人の証言-AERA緊急増刊号から-

2011-04-03 20:11:18 | 経営全般

 AERA臨時増刊号が出版されていたので、購入しました。特集は、東日本大震災です。

さて、この特集記事で、内田樹(うちだたつる)神戸女学院教授の文章が掲載されています。数多くの著名な人が記事を書いていますが、私は一番納得した記事でした。以下引用です。

 物語の教訓はシンプル「金より命」「マニュアルより直観」

 パニック映画の登場人物たちが直面する究極の選択は、「カネを取るか、命を取るか」あるいは「マニュアル通りにふるまうか、ルール破りを辞さないか」である。「ジョーズ」では、巨大人食い鮫が出没しているから海水浴客を避難させろという警察署長の訴えに、観光収入減を案じた市長が耳を貸さない。市長が先走って「安全宣言」を発令したせいで、人々は鮫に食われてしまう。

 「ポセイドン・アドベンチャー」では船が転覆したときに「想定内の事故ですから、マニュアル通り、じっと助けを待ちましょう」というパーサーと、「想定外の事故だから緊急避難的な対応は必要だ」と自力脱出を主張する牧師が対立。パーサーたちは全員溺死する。

 原発を鮫に、原発推進派を市長に置き換えると、今原発で起きている出来事は「ジョーズ」の構図とほとんど同じである。おそらく津波直後の原発でも、現場の技術者と経営陣の間では、「ポセイドン・アドベンチャー」のパーサーと牧師との間に似たものが展開していたのではないか。

 パニック映画を侮ってはならない。これらの物語はおそらく人類史の黎明期から繰り返して語られてきた説話を再演しているからだ。

 平穏な時代にどうふるまうかと自己利益が増大できるかのノウハウについては、書店のビジネス書コーナーに有用な知識を満載した本が山積みにしてある。けれどいったん秩序が失われ、マニュアルもガイドラインも無効になったときにどうふるまえば生き延びるかについて書かれたものは、ビジネス書コーナーにはたぶん一冊も存在しない。それは物語の書架に見出すしかない。

 物語が教える教訓はまことにシンプルである。「金とり命」「マニュアルより直観」である。

 この直観ということがなにかたいへん重要な気が私はしています。確かにマニュアルは便利なものですが、マニュアルで決められることは限られています。直観は、人間の創造力に繋がるものだと思います。そして、この創造力が人間が生み出す最高の英知であると私は思っています。