あび卯月☆ぶろぐ

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若者を見殺しにする国

2010-08-14 00:30:48 | 社会・世相
福岡県が「70歳現役特区」構想を打ち出した、と今夕の読売新聞が伝えていた。
団塊の世代の大量退職を機に、高齢者が当り前に働ける地域社会のモデル事例になるよう国と連携して実施するという。

70歳以上の起業や職場作りに助成するという内容で、具体的には個人事業でも補助金を支給したり、収入が多くても年金を受給できたり、66歳以上でも雇用保険に加入できたりする条件緩和を検討するという。

一読、良いことのように思える。
が、私がこの記事を読んで抱いたのは怒りだった。

今春の新卒大学生の就職率は60.8%。
実に四割近くの新卒生が就職できずに路頭に迷っている。
就職できなかった大学生の中には「新卒生」のカードを得る為に留年の手段を取るケースも少なくない。
あるいは就職浪人するわけだが、一般的な企業は新卒生しか採用しないので、一度大学を卒業してしまうと極端に就活が困難になる。
就職できなかった卒業生に待つのはまさに地獄の道だ。

実は私もそのクチで、大学院に一年余計に通ったのはまさに前者の例。
大学院は留年とは言わないが、それでもかなりの辛酸を舐めさせられた。
就活でどんな目に遭わされたかは私事になるので省くが、就活生の辛さは私も経験してきたから良く解る。

だから、いま支援すべきは老人ではなく若者であるはずだ。
いま述べたように、新卒生の四割が職が無いと喘いでいる。
それなのに老人の就職を支援してどうする。
しかも、団塊の世代の多くはいままでバリバリ働いてきて、貯金もたっぷりとある所謂勝ち組み世代だ。
高齢層(60歳以上)の1世帯当たり平均貯蓄額は若年・中年層世帯のほぼ2倍の2424万円であるというデータがそれを裏づけている。(2003年の統計による)

そういう老人に対して、収入が多くても年金を受給できるようにするだと。
ちょっと感覚がおかしいのではないかと言いたくなる。

マスコミは日本は老人に冷たい国なんていうが、とんでもない。
老人は弱者だというのはもはや過去の話。
国の政策はいつも老年者偏重で、若年層との受益格差は実に四千万円と言われている。
若者から搾取した税金が年金が老人に注がれるという構図だ。
経済的には若者の方が社会的弱者とみるべきだろう。

ではなぜ、こんなに老人優遇の国なのかというと答えはカンタン。
若者が選挙に行かないからだ。
ただでさえ、老人は数が多いのに投票率も高い。
反対に若者は数が少ないうえに投票率も低い。
あなたが政治家だったらどちらの利益を優先するだろうか。

実際に、後期高齢者医療制度にしてももみじマークにしても老人が文句を言ったものはすぐに廃止。
老人の意見はすぐに政治に反映されるのだ。

誤解しないで欲しいが、私はいたずらに若年層と老年層の対立を煽りたいわけではないし、まして、老人を大切にするなと言っているわけではない。
やたら老人と若者の対立を煽る言論も目に付くがわたしはそういう議論に与したくない。
それに何歳であろうと弱者を支援することは当り前のことだ。
私が述べたいのは、行政は支援する相手を間違っていないかということだ。
あるいは、優先順位を間違えているということだ。

例えば今回、福岡県の「70歳現役特区」構想が出た。
「働く意欲や能力がある高齢者が当り前に働ける仕組み」作る必要があるとのことだが、内容をみてもとても支援が必要な老人を対象にしているとは思えない。
しかも、老人の雇用を創出したらますます若者の雇用がなくなるのではないか。

敢えて語弊のある言い方をするが、老人には未来はなく、死が近くに迫っている。
一方、若者には未来がある。
そして、これからの日本を背負ってゆく責務がある。
そんな若者を見殺しにして、やたらと老人ばかりに優しい国はおそらく滅びる。
若者はまづ選挙に行くことから始めたい。